マーケティング施策の実行にデジタルを活用することで、新しいビジネススキームに移行した企業が次々に現れている。

 しかしマーケティングオートメーション(MA)ツールの導入にとどまらず、営業部門とマーケティング部門の役割分担、さらにはシステム部門との連携など、デジタルマーケティングの推進にはさまざまな課題が待ち受ける。

 NTTグループの、データ解析を強みとするマーケティング・ソリューションを展開するNTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションで、マーケティングインテリジェンス本部長を務める若松幸太郎氏が、失敗しないデジタルマーケティングを解説する。

 その第1回は、いくつかの企業で具体的な検討が始まっているMAについて、選定時に多くの企業がはまる落とし穴について述べる。

 ちまたでよく耳にする「マーケティングオートメーション(MA)」。2014年3月に日本市場に参入したマルケトの記者発表会で、出資会社の1社であるサンブリッジ社のアレン・マイナー氏が「今年はMA元年になる!」と発言しました。実際、それからの2年で「デジタルマーケティングツール」は日本で、類を見ないほどの盛り上がりを見せてきました。

 この盛り上がりは、私にも自分事のようにうれしいです。私自身このマーケティングツールを誰よりも待ち望んでいた一人であり、MA元年の契機となったMarketoの日本法人の立ち上げにも、1年ほど取締役として参画しました。

 私は10年くらい前から、「見込み客の獲得」「育成(買う気にさせる)」「販売チャネルに渡す」「購買/再購買」といった活動を一連のプロセスとする「デマンドジェネレーション/リテンションマーケティング」の提案を幾度となくクライアント企業にしてきました。今では世界中で100種類を超えるとされているMAツールが、ほとんど無いころのことです。

 その反応はどこの企業様も「素晴らしい!」「是非やってみたい!」というものでした。なぜなら、そのころのKPI(重要業績指標)は「バナー広告で、1000クリックしてキャンペーンページにサイト来訪してもらいます!」といったものが一般的だったからです。KPIの理解が進んでいる企業でも「バナー広告から1000件のキャンペーン応募を取ります!」という広告の評価か、サイトのUU/PVによる評価が主流でした。

 それが「このキャンペーンを開始3カ月間で、Yahoo!のプランドパネルで1000件のキャンペーン応募を受け、50人を成約させましょう!」という、成約人数や期間をKPIとしたマーケティング・プロセスを提案したためです。それまでの目に見えない数字や定性的な評価を中心としていたマーケティング担当からすれば、経営陣に自分たちの活動の意義を正当化する(予算を取る)には非常に分かりやすい提案として映ったのかもしれません。

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