新しいことを始めるにはスモールスタートがいい。

 しかしスモールでスタートし、そのままスモールで消えてしまったとか、スモールすぎて効果が見えず中止になったとかいった話もよく耳にするかと思います。

 デジタルマーケティングの取り組みで、スモールスタートで着実に成功に向かい進んでいる会社、そして社内でもあまり口にできないような失敗をした会社では、取り組みにどんな違いがあったのでしょうか。

 マーケティングオートメーション(MA)ツールの導入に当たって、ほとんどの会社はツールベンダーやインプリベンダーから「まずは、スモールスタートでいきましょう!」と薦められるはずです。それ以前から、ツール導入すると同じようなことを社内で実践していたのであれば別ですが。

 せっかく最新のツールを導入するので、大きな期待とワクワクがあるかもしれません。これまで見聞きした、他社の先進的な導入事例を明日からでも自社にも実践したい思うかもしれません。しかし、ここはぐっと我慢しましょう。

 残念ながら世の中に出てくる事例は、導入してから数年が経過している企業の話か、他の方法を駆使して高度なことを実践していた企業の話ばかりです。初めての試みをする企業が、導入してすぐに同じようなレベルに達する――ということはまずありえません。

 登山と一緒です。

 登山未経験者が、いきなりエベレスト登頂をするのは絶対に不可能ですよね。まずは身近にある低い山からスタートし、登山の経験と知識、体力と装備を増やしていくはずです。さらにガイドがいると、登頂までのスピードや成功率も大幅に上がります。こうした役割をしてくれる人物を、効果的に使うことも重要です。

 では、どのような第一歩を踏み出すことが成功へのスタートなのでしょうか。

 答えは実にシンプルです。「スモールスタート」ということを意識せずに、どうやったら「QuickWin(クイックウイン)」を出せるかを考えるのです。

 つまり「素早い成果」のために、スモールスタートの範囲を定義することです。

 大きな成果を多くの時間を使って得るためには、いくつかの成功体験の積み重ねが必要です。そこでまずは、上司あるいは経営層が「おっ!?」と興味を持つような小さな成果でよいので、とにかく「短時間での効果」を意識することが重要です。

 残念ながら会社というものは、成功するか失敗するか分からないものに大きな投資をすることに難色を示すことが多く、経営者の興味も日々変わっていきます。少ない投資で1日でも早く経営層に成果を見せることで、その後の拡張や投資につなげて、結果として様々な活動が大きな成果となって実を結ぶようにするのです。

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