Experian

顧客重視の企業文化で事業成長を実現

エクスペリアン社は、世界各国でデータや分析ツールを提供しているグローバルな情報サービス企業です。企業向けには、信用リスク管理、不正防止、マーケティングのターゲット絞り込みや意思決定の自動化などのサービスを提供しています。また、個人に対しても、信用情報管理や ID 盗難防止などのサポートを行っています。40 億米ドルを超える売上を上げ、80 カ国以上に顧客を抱える同社は、個人と企業の両方に対し、金融やマーケティング分野での意思決定にクリティカルな情報を提供してきました。

1.エクスペリアンの挑戦

優れた顧客体験による差別化

2005 年、エクスペリアンのクレジットサービス&意思決定分析部門(CSDA)は、顧客体験の向上により業績を上げることを目標とした顧客ロイヤルティプログラムを開始しました。2007 年から 2008年、米国で景気が低迷した際、このプログラムの重要性が明らかになりました。景気が低迷しているにも関わらず、顧客ロイヤルティ、リテンション率、マーケットシェアがこのプログラムのお陰で向上したのです。優れた顧客体験は差別化要因になり業績を向上させることができるということが結果として証明されました。

エクスペリアンの顧客ロイヤルティプログラムでは、顧客との関係についてと日々の取引・やりとりに関わるものについての 2 つの側面から、顧客フィードバックの収集と分析を行っています。このお客様の声のフィードバックから、顧客ロイヤルティを牽引する 11 個のドライバー(*1)と、いくつかの改善すべき分野を特定することができました。改善の進捗度を図る指標としては、ロイヤルティドライバーの改善度合い、ネットプロモータースコア(NPS®)、売上成長率を使っています。2012 年に同社は NPS を 33 にし、すべてのドライバーの満足度を 1%向上させるという目標を設定しました。

2.エクスペリアンのソリューション

優れた顧客体験による差別化

同社は Siebel 社の CRM を使用しています。これに加え、顧客との関係構築および日々のやりとりの両側面での改善アクションを起こすことを目的とし、サトメトリックスの NPS クラウドを採用しました。サトメトリックスが提供する NPS クラウドは、単なる分析に留まらず、改善に資するアウトプットを提供します。エクスペリアンは、サトメトリックスのクラウドにより、以下のような 4 つの大きな改善を実現することができました。

  • 解約率の低減と顧客ロイヤルティの強化
  • ロイヤル顧客が更に良いクチコミを広めてくれるような意識付け
  • より深いカスタマーインサイトの発見
  • 責任の所在を明確にすることによる顧客重視の企業文化の推進

エクスペリアンは、3 つの顧客セグメント(大規模、中規模、小規模)すべてに対して「顧客の声を価値につなげる」戦略に沿って、サトメトリックスの NPS クラウドを活用した効果測定を行っています。また、各セグメントにはそれぞれ固有のニーズがあるため、セグメントごとに、顧客体験を決定づける主要な要因を特定していきました。サトメトリックスと Siebel CRM システムを統合したことで、現場担当者は両方のシステムから、顧客フィードバックの獲得、フォローアップ、改善アクションプランを活用できるようになりました。

営業兼顧客サポート担当シニア・バイス・プレジデントのサンドラ・アンダーソンは、顧客体験プログラムの責任者で、NPS プログラムを浸透させ、組織を変革することを目標としています。「サトメトリックスのおかげで顧客体験の改善を簡単にワンストップで実施することができました。」とアンダーソンは述べています。「レポートは取り扱いが非常に簡単で、顧客サービス担当、アカウント責任者、さらには CEO や取締役に至るまで、すべての階層の従業員が仕事に関する洞察を得ています。」

3.顧客重視の文化を推進するためのベストプラクティス

全事業を通じて顧客重視の姿勢を最優先

エクスペリアンでは、顧客を最優先する考え方が企業文化にしっかりと根付いています。 ヴィクター・ニコラス最高経営責任者(CEO)は同社の最重要 KPI としてネットプロモーターを採用しました。 一方、経理担当者や接客スタッフまでもが、NPS を自己啓発と顧客対応改善のために自ら積極的に活用しています。お客様の声(VoC)を企業文化の基盤とする姿勢は、すべての部門にはっきりと見られ、日常的な接客や報告に不可欠なものとなっています。

カスタマーインサイトから生まれた重要な動きの 1 つに、営業とサービスの組織統合があります。顧客からの強い要望である、包括的かつ戦略的知見を提供するために、この組織統合が必要でした。そしてこの改編を成功に導くために、営業教育の強化と報酬制度の根本的な見直しが大きな役割を果たしました。担当地域および顧客管理スキルの強化、業界専門コンサルタントの増員などの大きな投資を行いました。またさらに改革を推進するために、社内で「日常業務におけるお客様への約束」と題したワークショップを定期開催し、顧客を重視した意思決定を行うベストプラクティスの共有を推進しました。各部署で優秀な社員を表彰し、日常業務では得ることの少ない栄誉や称賛を与える機会も設けています。

顧客のフィードバックに迅速に対応し、フォローアップする

エクスペリアンでは、顧客体験プログラムの一環として、主要スタッフが進捗を把握できるように、チーム内で顧客データとフィードバックを常に共有しています。営業チームが迅速に顧客からのフィードバックを入手できることが、成功をもたらす重要な要因となっています。

サトメトリックスのクラウドでは、「批判者」(企業や製品を薦める可能性が低い人)と「推奨者」(企業や製品を薦める可能性が高い人)から回答がくるとアラートが上がり、リアルタイムでアカウントチームに送信され、アカウントチームは 48 時間以内に顧客に対応するようになっています。またデータと顧客の全コメントは現場担当者と営業管理担当者に直接送信されます。

各担当者は、改善に向けたアクションプランを策定し、そのフォローを目的としてスコアカードレビューが行われています。サトメトリックスを採用したことで、こうしたリアルタイムアラートやフォローアップアクションが可能となり、全社でレポート共有が行われたことで、カスタマーインサイトを利用した全社レベルの活動が推進され、また、顧客体験を改善し、責任を明確にすることで顧客重視の企業文化が促進されました。

同社では 1 年に 2 回すべての顧客にリレーショナル調査(*2)を送信、そして日々テクニカルサポート、営業およびサービス担当者が対応したすべての顧客にトランザクショナル調査(*3)を送信し、フィードバックを回収しています。またフォーカスグループ、市場調査、顧客との懇談会、四半期ごとの個別顧客面談により、特別なデータ収集も行っています。

新製品開発へのカスタマーインサイトの利用

年に 2 回の顧客との懇談会から収集されるカスタマーフィードバックは、アイテム数が 1,000 を超える製品戦略にも役立てられ、製品提供および新しい市場機会の獲得に活用されています。こうしたフィードバックの活用で、2011 年には「RentBureau」と「Insight W2」という二つの新製品を開発しました。「RentBureau」は従来の消費者の信用情報に賃貸データを追加し、常に予定通りに賃貸料を支払うことで信用が上がる新たなサービスを開発しました。急成長する市場では、貸し手は借り手の信用格付け情報により良くアクセスできる必要性を感じていることがフィードバックで判明したために、エクスペリアンは「RentBureau」を開発することができたのです。同様に「Insight W2」についても顧客フィードバックを通じ開発されました。貸し手である顧客がクレジットカード発行者の説明責任、責務および開示法に定められた報告義務を果たすために必要な推定所得情報を得られず、期日に迫られていたのです。この顧客を支援するために、製品チームが迅速に動き、これまでにない程の短い開発時間で「Insight W2」を開発しました。

「サトメトリックスとともに、日々の顧客とのコミュニケーションから、製品の改良・開発に至るまで、顧客行動に関わるすべてのプロセスに対してお客様の声(VoC)プログラムを導入しました。わたしたちはお客様をすべての活動の中心に据えています。」とアンダーソンは述べています。

4.導入効果

顧客にとって最も重要なことに対応することでロイヤルティと売上向上を実現

ネットプロモーター・プログラム導入の結果、CSDA 部門は、すべての主要ロイヤルティドライバーにおいて、競合企業に勝る評価を継続してあげています。NPS の 10 点評価で 1 点以上、場合によっては 3 点も差をつけています。

また社内におけるロイヤルティドライバーの満足度を向上させ、2005 年から比較すると 30%、2011年からでは 2%向上させており、目標を上回る結果を出しています。これらの成果は VoC プログラムの重要なマイルストーンとなり、顧客にとって一番重要なことに注力し続けることが、体験を差別化し業績を向上させるということを示しました。

同社では、経営革新と改善に向けたこの取り組みを進めてから、NPS が順調に向上しています。顧客ロイヤルティプログラムを開始した 2005 年以来、NPS は 66.3%上昇し、2011 年からは 15.5%上昇しました。市場環境は良くなかったにも関わらず、CSDA は目標を超える過去最高の NPS36.2 を達成しました。また業績も継続して拡大しており、2010 年以来 15%の増収となり、昨年度は 8%の成長を達成しました。

NPS の経年成長

CSDA 部門のネットプロモータートレンド

北米の最高経営責任者(CEO)ヴィクター・ニコラスは次のようにまとめています。「サトメトリックスの NPS クラウドとネットプロモーター・システムを活用することで、製品の改善と従業員の満足度向上を図るだけでなく、企業を成長させることができます。」

  • (*1) 顧客ロイヤルティに影響を与える要因
  • (*2) サービス全体の評価や総合的な体験の評価を、顧客体験の全体的な印象、企業と顧客の関係性を測る設問にて測定。年1回、半年/四半期毎の頻度で実施することが多い。
  • (*3) 現場における評価や特定のタッチポイントにおける評価を顧客体験の特定要素、特定の取引に対する評価を測る設問にて測定。取引発生直後に実施することが多い。

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