ネットプロモーター®を活用して顧客満足の向上と収益増加を達成

セーフライト社は、400万人近くの顧客を抱え、米国で車両ガラスの修繕・交換サービスを提供する大手企業です。同社は顧客ロイヤルティ測定のためにネットプロモータースコア®(NPS®)を採用し、NPS®向上のための効果的な取り組みを行っており、アップル、アマゾン、トレーダー・ジョーズなどの定評のあるネットプロモーターリーダーよりも高いNPS®を記録しています。ネットプロモーターは役員レベルから現場スタッフまで行き渡っており、セーフライトの企業文化の変革を支え、ビジネスプロセスを改善し、顧客満足の向上に焦点を絞ることで、同社の成長を促進しています。

1. ネットプロモーターとは?

ネットプロモーターはサトメトリックスとベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルドの三者で共同開発されたものです。ロイヤルティを測る指標であり、ビジネスを管理するための業務指針となります。ネットプロモーターでは、ブランドの推奨度によって顧客を0-10のスケールを用いて次の3種類に分類します。

  • 推奨者(9-10をつけた人)はあなたの会社の製品やサービスを買い続けてくれ、他の人にも薦めてくれるロイヤルティの高い顧客です。
  • 中立者(7-8をつけた人)は満足しているものの強い思い入れはなく、競合他社に奪われやすい顧客です。
  • 批判者(0-6をつけた人)は不満を抱えており、ネガティブなクチコミであなたの会社の成長を阻害し、ブランドを傷つける顧客です。

ネットプロモータースコアは、推奨者の割合から批判者の割合を差し引いて算出します。

NPS®は測定するだけでは成功に繋がりません。より重要なのは、組織的にNPS®を改善するための行動を起こすことです。ロイヤルティの高い顧客を創り出し、成長を促進するためには、顧客からのフィードバックを活用し、顧客にとって重要なすべてのタッチポイントでの顧客体験を改善する必要があります。

2. セーフライトのNPS®はネットプロモーターリーダーに並ぶ

セーフライトでは顧客満足度とロイヤルティを測定するために、2006年にネットプロモーターを指標として採用し、2007年に米国で本格展開、素晴らしい結果を収めました。初年度はNPS®が73でしたが、2010年には84まで上昇したのです。

セーフライトは時間をかけてNPS®を改善
セーフライトは時間をかけてNPSを改善

これは素晴らしい実績です。ネットプロモーターに関するビジネス書のベストセラー『The Ultimate Question(究極の質問)』(*1)の著者であるフレッド・ライクヘルドによれば、企業の平均的なNPS®は5から10です。

サトメトリックスが発表する年間ネットプロモーター業界ベンチマークでは、NPS® 50-80を記録する企業としては、アマゾン、アップル、トレーダー・ジョーズ、コストコやその他有名ブランドのマーケットリーダーが目立ちます。以下に2011年のトップ10を掲載します。(*2)
年間ネットプロモーター業界ベンチマーク 2011年のトップ10

2010年のセーフライトのNPS®は84でした。なぜセーフライトは多くの人々に支持されているブランドより高いスコアを記録できたのでしょうか?

NPS®を変化のきっかけとして利用することにより、企業文化の変革に乗り出したからです。顧客満足を向上させることに焦点を絞り込み、数多くの顧客主導型の業務改善を次々と推進し、利益成長を加速することで他社よりも高いスコアを達成しました。

3. 採用とトレーニングにおける業務プロセス改善

セーフライトはメールアドレスを登録したすべての顧客に対して、サービス利用後もしくは取引後24時間以内に顧客満足に関するアンケートを送信しています。このアンケートには「推奨度」を尋ねる質問が含まれており、顧客は自分の言葉でフィードバックを行うことができます。そしてセーフライトは、収集したフィードバックを投資決定判断やプロセス改善の指針として利用しています。具体的には、「顧客の心を掴む」行動をとった社員を見える化し、サービススタッフに徹底的なトレーニングを行うことで、顧客にとって重要かつ目に見える分野の強化に重点を置くようにしています。

顧客の心を掴む行動と従業員能力開発:採用とトレーニングにおけるセーフライトの哲学の根幹

セーフライトの哲学とは、業務経験やトレーニングよりもソーシャルスキルを重視した採用を行うことです。つまり、共感能力が高く、人を助けることが好きな人を採用しようとしています。最近では、顧客満足をもたらす能力、コミュニケーション・スキル、クリエイティブな思考ができること、営業向きであるなど、「顧客の心を掴む」行動を特定するのに役立つ特別な採用評価ツールを開発しました。このツールは、採用候補者が「顧客の身になって自然に行動できるかどうか」を判断するのに役立っています。また同社は社員トレーニングにも熱心で、カスタマーサービス担当スタッフとサービス技術者の両方に対して特別な教育を行っています。

カスタマーサービス担当スタッフのための講義とOJTトレーニング

セーフライトでは、カスタマーサービス担当スタッフが会社を代表する声であり、顧客との最初の接点でもあります。そのためカスタマーサービス担当スタッフの能力開発には多額の投資をしており、優秀な成績を収めたスタッフには報酬を与えています。カスタマーサービス担当スタッフは2週間のトレーニングに参加します。最初の週は座学で、インストラクターによる講義が行われます。2週目には、学んだことを実践するために、営業コーディネーターがすぐ近くにいて必要があればサポートできるような環境で、実際に顧客からの電話に応対します。そしてスタッフが無理なく対応できるようになると、コールセンターに正式に配属されます。

セーフライトのお客様への約束

  • お客様の車は認定技術者が安全に高い品質で取り付けを行います
  • 作業中はお客様の車を絶対に傷つけません
  • 車内のガラス破片は掃除機を使用して除去します
  • 車の外装ガラスを清掃します
  • 全米保証付きですので、国内どこに旅行しても保証対象となります

トレーニングを通じてカスタマーサービス担当が身に着ける「5つのB」

  1. Be sure. (確実に実行する)
  2. Be helpful. (お客様のお役に立てるようにする)
  3. Be sympathetic. (お客様のために親身になる)
  4. Be honest. (誠実な対応をする)
  5. Be appreciative. (感謝の心を忘れない)

セーフライト社のコンタクトセンターの水準は高く、電話応答平均時間は11秒(呼び出し音2回)です。カスタマーサービス担当スタッフは88%の通話に呼び出し音4回以内で応答します。スタッフが応答する前に電話を切る顧客は3%以下です。

また同社は、顧客からのすべての電話に同社の従業員が対応することも約束しています。そのため自動音声システムや外部委託したコールセンターは使用していません。また、優秀な顧客サービスを行った社員にボーナスを与える報酬モデルもあります。

お客様に満足してもらうための技術者の約束

カスタマーサービス担当スタッフを「会社の声」とすれば、サービス技術者は「セーフライトブランドの顔」です。これらの社員が全体的な顧客体験の重要な構成要素となります。

技術者は着任前に8週間のトレーニングコースを完了することになっています。そして「5つのT」を実践するように奨励されます。

  1. Time(時間):到着時間をお知らせするために、事前にお客様に電話します
  2. Touch(触れ合い):握手をし、お客様の目を見て対応します
  3. Technical excellence(優れた技術):初めから、そして毎回真剣に対応します
  4. Talk(話す):お客様に作業手順を話してから作業に取り掛かります
  5. Thanks(感謝):セーフライトを選んでいただいたことに感謝します

技術者は現場に到着した時、作業前点検から取り付け後のチェックリストまですべての修理プロセスにわたって満足していただけるように、顧客にパンフレットを渡します。パンフレットには、セーフライトのお客様への約束のほか、修理窓口のフリーダイヤルが掲載されています。

2008年のセーフライトのNPS®は80台をキープしていましたが、修理後にカスタマーサービスの問題が発生した顧客のスコアは平均わずか19でした。セーフライトは問題の核心を突き止めるために、この重要な顧客グループの体験をいかに改善できるか調査を開始しました。調査の一環として、顧客満足度に関する既存の調査を見直し、重要顧客に対して「セーフライトのサービスについてどう感じているか」インタビューをしました。また、業界で最高のサービスを提供する企業について再調査し、ベストプラクティスを学びました。

この調査がきっかけとなり、カスタマーサービスの問題を解決する40名の専門スタッフからなるエグゼクティブサービス部門が設立されました。このチームは、カスタマーサービス部門での平均勤続年数4年のベテラン社員で構成されており、他のカスタマーサービス部門において、難しいカスタマーサービスの問題で一貫して顧客を満足させる能力を発揮した人物を昇格させました。担当者は、さまざまな車両破損シナリオ、同社の保険パートナー企業の文化、高度な問題解決の戦略などについて学ぶ特別トレーニングを受けます。またエグゼクティブサービスアドボケイト(*3)は、より大きな意思決定権を与えられており、顧客の問題を自分たちの判断で処理し、解決することができます。

現在では、アンケートで問題を報告した顧客や、批判者に該当するスコアをつけた顧客をエグゼクティブサービス部門が素早く見つけ出し、すぐさま連絡をとり、報告された問題に対応しています。カスタマーサービスの問題が解決した後、同社はエグゼクティブサービス部門の対応を評価してもらうために2つ目のアンケートを顧客に送付しています。チームは毎月これらのスコアを評価して、以前不満を抱いていた顧客がセーフライトブランドの推奨者に転換することができるよう取り組んでいます。

そしてエグゼクティブサービス部門への投資が効果をもたらしました。設立以来、カスタマーサービスで問題を体験した顧客のNPS®は19から58に上昇しました。

またエグゼクティブサービス部門は、顧客満足を向上させるためには非常に時間がかかるということを証明しました。同社では顧客の期待値を超え、顧客と長期的な関係を構築し、毎回満足させるように努力しています。同部門はまた、2010年のスティービー賞(*4)の中のセールス&カスタマーサービス賞を受賞しました。

4. お客様満足のために社員をやる気にさせる

NPS®はセーフライトにとってロイヤルティ指標以上のものです。NPS®は社員を顧客満足のためにやる気にさせ、業績向上と成長を促進する効果的な方法でもあります。

セーフライトの代表取締役兼CEOのトム・フィーニー氏は、同社のネットプロモータープロジェクトの強力な支援者です。企業文化変革の先頭に立ち、顧客満足への重点的な取り組みを推進し続けています。フィーニー氏は、NPSそのものの理解に加えて、個人の貢献がいかに顧客体験に、ひいてはNPS®に影響を与えるかをすべての社員が確実に理解することを優先しました。社員が確実にNPS®を受け入れられるよう、以下の方法で社員のモチベーションを高めました。

個人向けNPS®

セーフライトではNPS®モデルを他社よりも一歩進んだ形で活用し、個々の社員に対して適用しています。NPS®の調査プロセスにおいて、顧客に技術者に対するスコアをつけてもらうことで、技術者が質の高い作業をするように動機付けしています。技術者は毎週スコアと顧客のコメントを確認して、顧客に好まれる行動は継続し、不十分なところは改善するようにしています。

サービス優秀賞

セーフライトは期待以上の働きをした社員に対して、正式にサービス優秀賞を授与しています。表彰された社員は、たくさんの賞品の中から自分の好きなものを選び、賞状とCEOからの個人宛の手紙を受け取ることができます。サービス優秀賞を1年間に5回以上受賞した社員はガラス製の像を授与され、本社に写真が飾られます。

四半期ごとのマーケットリーダー表彰

セーフライトはNPS®を牽引したマーケットリーダーを招いて四半期ごとに祝賀夕食会を開催し、チームやチームメンバー間での競争を促しています。

5. セーフライト社のNPS®による収益増加に触発された親会社も34ヶ国でネットプロモーターを展開

セーフライトではNPS®導入以後、収益成長が加速し、ネットプロモータースコアが業績向上と連動していることを証明しました。

NPS®を測定した初年度から、収益は7,400万ドル近く増加しています。2年目以降、収益はさらに1億900万ドル増え、わずか2年間で合計1億8,300万ドルに増加しました。
セーフライト ネットプロモータースコアと業績向上

イギリスに本拠地を置くセーフライトの親会社ベルロンは、米国事業におけるセーフライト社のネットプロモーターの結果に感銘を受け、34カ国でグローバルなベストプラクティスとしてネットプロモーターを展開しました。このグローバルプログラムを支援し、共通の測定フレームワークを提供する目的で、ベルロンはサトメトリックスの優れたNPS®クラウドを利用しています。顧客からのフィードバックを測定し、読み解き、これに対して行動を起こすためです。クラウドベースの技術によってベルロンは顧客感情をグローバルなスケールで把握することができ、素早く問題に対処し、計画と実績のギャップを埋めるクローズドループのプロセスを使用することが可能になります。

セーフライトとベルロンの両社は、ネットプロモーターを企業文化に取り込むことに成功し、業績向上と顧客満足の向上を実現しました。

  • (*1) Fred Reichheld, The Ultimate Question:Driving Good Profits and True Growth (Boston: Harvard Business School, 2006)、フレッド・ライクヘルド(2006)『顧客ロイヤルティを知る「究極の質問」』堀新太郎監訳、鈴木泰雄訳、ランダムハウス講談社
  • (*2) 2011年 サトメトリックス社調べ
  • (*3) 「アドボカシー(advocacy)」とは、「支援」「擁護」「代弁」などの意味。顧客との強固な信頼関係を築くことを目的に、顧客の意向を最優先し、徹底的に顧客本位で接することをミッションとする役割を担う人のこと。
  • (*4) スティービー賞::国ワシントンD.C.郊外に拠点を置く、ザ・スティービーアワードが主催するビジネス賞で、2002年に創設された。国際的なコンペティションとして広く認知され、「全米賞」「国際賞」「アジア太平洋賞」「女性賞」「セールス&カスタマーサービス賞」「ドイツスティービー賞」の6つの部門で構成されている。
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