2017/03/08

顧客満足度とNPS®

第2回 “満足度”では測れない?!顧客ロイヤルティを測るために活用すべき指標とは?

顧客との間で長期的な関係を築き、商品・サービスの継続利用やリピート購入を促して業績を向上していくために、顧客ロイヤルティの向上を目指す企業が多くなっています。
一方で、これまで顧客との関係性を示す指標の代表例となってきた顧客満足度と比べて、顧客ロイヤルティは目新しい存在と言えます。

そこで、本コラムでは顧客ロイヤルティについて取り上げ、ロイヤルティの高い顧客の行動特性や業績に与える影響、顧客ロイヤルティを測るために活用すべき指標について解説します。

“ロイヤルティ”の高い顧客とは、どんな人?

「顧客ロイヤルティ」は、顧客の「Head(頭=理性)」と「Heart(心=感情)」の2つの側面から形成されています。

「最良な特性(特徴、品質、機能)を備えた商品を提供してくれている」「最良なサービスを提供してくれている」「商品(サービス)を最良な価格で提供してくれている」というように、その企業が優れた価値を提供していると顧客自身が信じていることが理性面での要素です。

そして、「自分のことをわかってくれている」「自分のことを大切に考えてくれている」「自分の声に耳を傾けてくれる」「自分の価値観・世界観と合っている」というように、その企業との関係に対して顧客が良い感情を持っていることが感情面での要素です。

顧客ロイヤルティというのは、このように理性と感情の複合結果と言えるでしょう。

そして、ロイヤルティの高い顧客は「商品やサービスの継続的な利用」や「リピート購入」、「他者への積極的な推奨」といった行動を起こします。場合によっては、企業に対して「建設的なフィードバック」をもたらしてくれます。

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7000万人が「イイね」する時代に! ネット上での“推奨”が業績に大きな影響を与える

アメリカの心理学者であるアブラハム・マズローの唱えた「欲求5段階説」をご存知でしょうか?

最も低次であり原始的欲求でもある「生理的欲求」から、最も高次の欲求である「自己実現の欲求」に至るまで、人間の欲求を5段階に分類した理論です。

このうち、「自己実現の欲求」の1つ下に位置するのが「尊厳の欲求」です。「尊厳の欲求」は、自分の属する社会において他者から存在価値を認められたいと思う欲求です。社会的な地位や名声を求める心の動きは、この尊厳の欲求にもとづいていると言えるでしょう。

そして、人間が根源的に持っているこの「尊厳の欲求」は、今日ではSNS上での“投稿”や“シェア”、“いいね”といった行動として顕著に現れています。こうした行動は、ロイヤルティの高い顧客の行動特性の中では「他者への積極的な推奨」に分類できます。

近年、SNS上の投稿が顧客の購買行動に与える影響は大きくなっています。株式会社サイバー・バズが行った650人の女性Instagramユーザーに対する調査(※)によると、“「他人の投稿を見て、商品を検索したり、実際に商品購入(店舗来店)をしたことがありますか」(単一回答)と尋ねたところ、88%のユーザーが「経験がある」と回答”したそうです。そして、日本におけるSNSの利用者は、2018年末までに7000万人を優に超えるという予測も示されています。そのため、今後さらにSNS上での推奨者が業績に与える影響は大きくなっていくものと予想されます。企業は、これまで以上に顧客ロイヤルティの向上に努め、顧客自身による「他者への積極的な推奨」を促す必要があるでしょう。

※株式会社サイバー・バズ「Instagramの投稿を元にしたユーザーの購買意向」調査
https://www.cyberbuzz.co.jp/2016/05/650instagram-instagram7.html

“満足度”では、顧客ロイヤルティを測ることはできない?!

では、顧客ロイヤルティはどのように計測すれば良いのでしょうか?

真っ先に思い浮かぶ指標は、顧客満足度です。しかし、「解約した顧客の8割が直前の顧客満足度調査で『満足している』と回答している」という話も…。顧客満足度が高いからといって、必ずしもロイヤルティも高いとは限らないという実態もわかっています。

そもそも、「満足」という言葉は非常にあいまいです。自分の顕在ニーズを満たしており大きな不満が無いという顧客も、予想外の価値を感じた顧客や感動すら覚えた顧客もすべて「満足」した顧客の中に含まれてしまうからです。

では、どのような指標で顧客ロイヤルティを測れば良いのでしょうか?

顧客ロイヤルティを“推奨度”で測った指標「NPS」

顧客ロイヤルティを測る指標として注目を集めているのが、「NPS(Net Promoter Score)」です。

NPSを測る際、「あなたはこの企業(製品/サービス/ブランド)を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」というシンプルな質問に対し、0~10のスケールで答えてもらいます。

「この商品やサービスを人に薦めたいですか?」と聞かれたとき、人は、自分自身が購入したいか、使い続けたいかを考える時よりもシビアな判断を下します。「自分自身では特に不満はないけれども、他人に薦めるほどではない」と判断すれば“推奨”にはつながりません。

そして、このNPSは業績との相関性が強いとされている指標です。NPS考案者の一人であるベイン・アンド・カンパニーでは、おおよその業界においてNPSでトップを走る企業は、競合他社の2倍の成長率を上げているという調査結果を発表しています。

また、NPSが業績に与える影響は、たとえばSNS上でのクチコミについては、「推奨者のポジティブなクチコミ件数」や「クチコミが申し込みの決め手となった割合」、「年間利用金額」といった要素からクチコミ貢献価値を算出することで具体的な数値として把握することができます。

当社の行った「NPSベンチマークレポート【生命保険業界】」でも、このような要素にもとづいて、ある生命保険会社についての推奨者のクチコミ貢献価値を数値化しています。その結果、「推奨者のクチコミによる貢献価値は139,574円」「批判者のクチコミによる機会損失額は40,077円」と算出し、「推奨者のクチコミ貢献価値は批判者の約4.5倍にあたる」ことが判明しています。

このように、NPSを用いることで顧客ロイヤルティが業績に与える影響を具体的な数値として把握できるようになります。

今回ご紹介したNPS調査について、ダウンロード資料『選ぶ指標で”成果”に差がでる!?顧客満足度とNPS』でさらに詳しく紹介しています。NPS調査の設問設計や調査結果の分析といった具体的な内容にも触れているので、ぜひご一読ください。

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