2017/04/18

NPS®(ネットプロモータースコア)入門・導入編

NPS活用で成果を出すためにまずは「設問設計」と「実査」を理解しよう!

NPS(Net Promoter Score)は、顧客満足度に代わる新たな指標として注目されています。既存顧客に対するアンケート調査に推奨度を問う設問を設けることで、NPS調査を実施している企業も少なくありません。すでに欧米では公開企業の3分の1以上が導入しており、国内企業の導入も進んでいるNPSはマーケティング領域でのトレンドの1つとなっています。さらには、NPSを新たな経営指標にする企業も出てきています。

一方で、NPSを導入したものの、NPSスコアの把握のみにとどまってしまい、既存顧客の維持や新規顧客の獲得といった具体的な成果を獲得できずにいるという企業も少なくありません。

そこで、本コラムではNPSを活用して成果を出すためのポイントとしてNPS調査における設問設計と実査について、NPSアンケートにおけるサンプルを用いながら解説します。

NPSは“究極の質問”だけでは意味がない!

昨今、業績との相関性が強いとされていることから、NPSを導入する企業が多くなっています。NPSは、「あなたはこの企業(製品/サービス/ブランド)を友人や同僚に薦める可能性は、どのくらいありますか?」という究極の質問に対して、0~10の11段階のスケールで回答を得ることで顧客ロイヤルティを測ることのできる指標です。最近では、このような推奨度を問うアンケート調査をさまざまな場面で目にすることが多くなりました。

しかし、単に「究極の質問」を盛り込んだ調査を実施するだけでは成果を出すことは難しいでしょう。NPS調査では、スコアを把握するだけではなく、その結果から改善アクションへのヒントを得ることが大切です。そのため、NPS調査の分析方法と同様にアンケートにおける質問内容も重要です。

では、NPS調査におけるアンケート内容には、一体どのような設問を盛り込んでいけばいいのでしょうか??

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適切な設問設計が、改善アクションにつながる分析を生み出す

NPS調査におけるアンケートの設問設計が適切でないと、そもそもの課題を見つけ出すことができない、課題の重要度を測れないなど、その後の改善アクションにつなげるための分析が実現できないという状況に陥ってしまいます。

そこで、NPS調査におけるアンケートの設問設計では「誰(顧客セグメント)に対して、何(施策)をすれば良いか」という意思決定に役立つ材料を得ることを目指しましょう。特にNPSに影響を与えている項目が一体何なのかを特定できるようにしなければなりません。 具体的には、究極の質問によって顧客ロイヤルティを把握することにとどまらず、スコアをつけた理由や各要素の満足度といった要素を問う設問を盛り込んでいきます。

NPSアンケート例(アンケートにおける質問の例):

  1. 推奨度スコアの把握
    Q.あなたはこの製品/サービス/ブランドを友人や知人に薦めたいと思いますか?
  2. スコアをつけた理由の把握
    Q.上記のように評価された理由を具体的にお書き下さい。
  3. ロイヤルティ構成要素の把握
    Q.各要素について、あなたが考える満足度をお答えください。
  4. 属性・セグメント・行動の把握
    Q.この製品/サービス/ブランドについて、何人の同僚や知人に薦めたことがありますか?

とはいえ、NPSに影響を与えている要素を特定したいという思いからあまりにも多くの設問を盛り込んでしまうのも考えもの…。 せっかく設問を設計し調査を実施しても、答えてもらえなければ意味がありません。そのため、設問数や各設問の回答に要する時間にも配慮した設問設計を目指しましょう。

適切なタイミングでの調査実施でより本音に近い顧客の声を収集する

NPS調査においてそのアンケートの実施にあたっては、そのタイミングも重要です。 適切な接点や頻度で顧客の声を拾い上げることで、回答者の本音を吸い上げることができます。また、一回の回答負担を減らし、回答率と回答頻度の向上を図ることにもなります。

調査実施のタイミングは、NPS活用の目的に応じて変化します。

  1. NPSを経営指標として活用したい
  2. NPSを現場の管理指標として活用したい

NPSを経営指標として活用する場合、経営層がビジネス全体における改善ポイントを把握できる必要があります。そのため、サービス全体の評価や総合的な印象を顧客に評価してもらうような設問を用意します。総合的な体験への評価をしてもらう、となると、年に1回、ないしは半年/四半期に1回程度のスパンでの実施が適切でしょう。

一方で、現場のPDCA(改善プロセス)を回すためにNPSを活用する場合は、特定の顧客接点や、特定の取引の流れにおける評価を測定していきます。

例えば、ある旅行サイトでホテルと飛行機を予約した場合、旅行当日、空港へ向かい、飛行機に搭乗し、目的地へ到着した後、少し経つとフライトやスタッフの評価を求めるアンケートがメールで届きます。その後、ホテルへのチェックインを済ませて部屋で休んでいるとまたメールが届き、ホテルのチェックイン時のスタッフの対応、ホテルの部屋への評価を求められます。同じように帰りの飛行機に乗り帰国後、その飛行機の搭乗に関する評価を求めるメールが届きます。 そして最終的には、ホテル全体への評価を求めるメール・その旅行サイトでの体験について総合的な体験への評価を尋ねるアンケートが届くのです。 つまり旅行という一連の体験における顧客接点ごとに都度、NPS調査を実施することで、顧客の体験の印象が薄れる前に、よりリアルな声を集め、かつ、1回の回答の負担を抑える運用が可能になるのです。

成果を出すNPS活用のためのポイントについてさらに詳しく知るには?

今回解説したように、NPSを活用して成果を出すには、適切な設問設計にもとづくアンケートを実施することが大切です。

ただし、NPS活用のためのポイントはこれだけではありません。NPSアンケートを実施した後の分析のフェーズにおいて、「NPSの有効性の検証」、「他社とのNPSの比較」といったことも重要です。さらには実際に業務改善をしていくにあたって、「改善アクションを実行する体制づくり」、「改善アクションの効果性の検証」も成果につなげる鍵となるでしょう。

NPS活用で成果を出すために押さえるべきこのようなポイントは、ダウンロード資料『NPSは“測っただけ”では意味がない! 成果を出すNPS活用のための“6つのポイント”』で詳しく解説しています。アンケート調査の具体的な設計方法や分析方法にも触れているので、ぜひご一読ください。

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