2017/08/31

【NPSトップ企業に聞く顧客ロイヤルティ向上の秘訣2017】

クレジットカード業界 NPS 第1位 楽天カード株式会社様
~一人ひとりのお客様の声に真摯に対応 NPS業界1位に~

NPS®ベンチマーク調査2017、クレジットカード業界部門で見事第1位に輝いた楽天カード株式会社。成長を続ける同社において、顧客ロイヤルティ向上のための施策とは――。NPS高得点を獲得するに至ったその取り組みと経緯についてうかがいました。

楽天カードは創立以来一貫してネットの強みを活かし顧客に還元

― 今回、NPSベンチマーク調査2017のクレジットカード業界部門で、楽天カード様が1位を獲得されました。この成果を挙げられた御社の取り組みを、本日はぜひおうかがいしたく思います。
まず、御社の事業の現状について、お聞かせ願えますか。

(左)楽天カード株式会社 常務執行役員 野村 猛 様
(中)楽天カード株式会社 執行役員 センター企画部 カード審査部 部長 沼澤 宏郎 様
(右)NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 代表取締役社長 塚本 良江

(以下敬称略)

野村 : 当社は2005年に楽天グループのクレジットカード部門としてスタートしました。現在、会員数が1,400万人、お取り扱い額は昨年5兆円規模で、業界3位の位置づけです。業界の成長率は6~7%ですが、当社はほぼ20%です。

― すばらしいですね。御社はカードの稼働率も非常に高いとうかがっています。

野村 : どれだけお客様にカードをご利用いただいているかが重要と考えています。カード発行枚数が多くても使っていただけなければ意味はありません。創業当時から、年会費は無料、どこで使っても楽天スーパーポイントが100円あたり1ポイントつくなど、分かりやすさがコンセプトです。楽天スーパーポイントが付与されることが認知され、ご満足いただいていることが、この10年余りの成長の大きな要素ではないかと思っています。

― 5兆円の1%で、500億円。これは大変な還元額だと思います。

野村 : 私たちはインターネットをベースにしたクレジットカードですので、申し込みや請求書、住所変更、口座変更などが基本的にネットだけで完結します。ネットを活用することでコストを下げて、それをお客様に還元しています。

― お客様に還元することで顧客利益を高める。そのサイクルがとてもうまくいっているということですね。

野村 : そうですね。ネットの利便性のよさも一つのポイントですが、同時に、お客様のお問い合わせには、一般のカード会社と同様にお電話で対応し、直接お客様にしっかりと対応する体制を整えています。

顧客接点毎にNPSを測り、指標の一つとして活用

― 多くのファンがいらっしゃる楽天カードですが、もっとファンを増やす、顧客ロイヤルティーマネージメント向上にむけて、特別に施策は打たれていますか。

野村 : お客様サービスの側面では、セキュリティーが一つのキーワードです。お客様の不安な心理を解消するため、カードをご利用されたら「お知らせメール」を届けたり、使いすぎたとき支払いのシミュレーションを見せながらリボルビング払いをタイムリーにご案内するなど、ネットのいい面、カードのいい面をうまく合わせてサービスを提供しています。こういった細かいことの積み重ねを大事にしています。

― NPSも指標の一つとしてご活用されているとお聞きしました。

沼澤 : もちろん利益も大事ですが、顧客満足度、従業員満足度、さらに4つ目の指標としてNPSにも取り組んでいます。

― NPSに取り組まれたきっかけは何でしょう。

沼澤 : NPSが話題になり、文献も読ませていただいて、テストとして導入したのが最初です。我々の場合、メール、ウェブ、お客様センター、楽天の媒体など、複数の顧客接点があるので、それぞれの場面でNPSをとっています。楽天カードとひとまとめにするよりも、それぞれの役割分担を踏まえた上でNPSを指標として落とし込むべきではないかと感じました。

― NPSは大きく2種類の調査がありまして、リレーショナルNPSといって年1~2回実施するブランドに対してのNPS。もうひとつは、カスタマーやタッチポイントごとにNPSを把握してPDCAを回していくトランザクショナルNPS。トランザクショナルNPSがうまく回ると、お客様は直接的に改善を体感できるので、顧客ロイヤルティの向上につながります。ただ、そのためには体制やコミットメントが必要になってきます。御社ではトランザクショナルNPSをされているのですね。

沼澤 : そうですね。お客様の声の一つひとつが我々のNPS向上のきっかけになると考えています。

一人ひとりのお客様と真摯に向き合う企業風土

沼澤 : お客様の声にも、お問い合わせ、相談、苦情、感謝の言葉など内容もいろいろありますが、そのなかで我々は1to1という考え方で、一人ひとりのお客様の言葉を大事にして、そのお客様に対する改善策を、すべてのお客様が認める形でやっていく、というのが方針です。お客様の声はメールやセンターに集まりますので、それをお客様相談室で仕分けをし、お客様の意見に対して、改善すべきものは関係部署が対応します。

― お客様一人ひとりに応えていらっしゃるというのはすごい。相当手厚くやっていらっしゃる。

野村 : それを担っているのが、CS推進グループです。お客様相談室からお客様のご意見を受け取り、どのように対処すべきか判断している。この組織ができたのも大きい。

沼澤 : 以前は、改善とかお客様の声は、部署単位ではやっていたのですが、自部署の外に対してはしっかり伝えきれていませんでした。そこでお客様の声を社内外に掲示するページを作り、こうした声を改善していますというメッセージを出しています。社内での情報共有と同様に、社外に向けても楽天カードはお客様の声に対して動いていますと伝えることで、お客様が声を出しやすい環境をつくっています。それがもっといい会社になれるサイクルを作っていると思います。

― 改善を回すことによって、お客様から感謝の言葉を頂戴し、それが励みになるというのも社員の皆様のモチベーションにとって重要なのではないでしょうか。

沼澤 : そうですね。お客様への対応が、自分たちにとって売上の成長にもつながっているし、また、結果としてNPSやCSの評価があがってきている。そういうことを、社員全員で実感できることも大きいのではないでしょうか。

より一層の成長を目指して

― 今後さらに強化していきたい営みはありますか。

沼澤 : 今の取り組みを継続して、これからもお客様の声を真摯にうけとめてやっていきたい。そして、できるだけ早く改善を届けていきたいと考えています。

野村 : 安心、というのは非常に大事なポイントなので、今後は、国内にとどまらず、海外でも安心して使っていただけるように、どんなサポートをすることができるか、といったことも考えていきたいですね。

― 最後に今後の事業の目標をお聞かせください。

野村 : 楽天グループの2020年のビジョンの中で、我々は取扱高7-8兆円、会員も2000万人、そして業界1位を目指しています。この目標を達成し、お客様のご満足いくサービスを提供させていただきながら、安心して、喜ばれるカードとして、お客様に認められ、使っていただきたい。高い稼働率は私たちのカードへの期待。それに応える企業でありたいと考えています。

― 本日はありがとうございました。

【インタビュー後記】by NPSベンチマーク調査担当
NPSベンチマーク調査2017クレジットカード業界の結果から読み取れる楽天カードの強み

NPS1位となった楽天カードは、今回の調査結果でも、「ネットの強みを生かしたクレジットカードであること」が高く評価されていました。

NPSベンチマーク調査では、クレジットカードに関連した17の要因別に満足度を聞いていますが、楽天カードは「手続きのしやすさ」、「サイトの使いやすさ」、「明細のわかりやすさ」といったネットに強いクレジットカードならでは使い勝手のよさで、業界1位の満足度となっていました。また、「年会費とサービスのバランス」、「ポイントの貯まりやすさ、還元率」に代表される、ネットを活用しているからこそ実現できるお客様への高い還元率においても、業界トップの満足度でした。

「推奨者」の推奨理由としては、「楽天スーパーポイントが貯まりやすいし、使い先もたくさん」(女性、40代、会社員)、「楽天での買い物はもちろん、それ以外でも楽天スーパーポイントが貯まったりしてお得だし、何かと便利。手軽に簡単に作れるのもよい。」(男性、30代、その他) といった、楽天スーパーポイントに関するコメントが大多数を占めました。また、「デパートなどでも楽天スーパーポイントが貯められるようになったのでますます便利になりそう」(女性、60代、専業主婦)といった形で、カードが進化していることを高く評価している声もみられました。

高還元、ネット活用型ならではの利便性、といったお客様のニーズにマッチした特徴に加え、クレジットカードの使い先が増えるといった「進化」が評価されており、インタビューでお伺いした、小さな改善の「積み重ね」も、お客様に評価されている様子が伺えました。

NPSベンチマーク調査レポート最新版【クレジットカード】

NPSベンチマーク調査レポート最新版 2021年
【クレジットカード】

クレジットカード会社16社のNPS(ネットプロモータースコア)およびロイヤルティ要因についての分析レポートです。
NPSセグメント別の月間利用金額の差異や、利用の決め手となった情報源についても、取り上げています。是非ご一読ください。