オバマ氏退任、ねぎらいツイートあふれる
黒人初の米大統領、オバマ氏が退任した。リーマン・ショック直後の2009年に就任し、米経済の持ち直しやキューバとの国交回復など多くの「遺産」を残した。短文投稿サイト「ツイッター」では退任演説を引用して「感動した」「涙」などとつぶやく人が多く、リベラルで協調性を重んじるオバマ氏に肯定的な見方の意見がほとんどだった。
調査期間の9日から17日までの9日間で「オバマ」に関連するツイートは約16万件だった。11日に退任演説、12日は米国時間20日に就任したトランプ現大統領の会見、13日には当時のバイデン副大統領に「大統領自由勲章」を授けたこともあり、この3日間は連続で3万件を超えた。
「激アツだ」――。大きな感動を呼んだのが退任演説。「お疲れさま」「感動した」「泣けた」などオバマ氏に心が寄り添った感想が目立った。「Yes, we did.」など演説からの引用も多かった。選挙時から掲げていた「Yes, we can.」で演説を締めくくったことについては「主人公最初の一言が最終回で出てくるなんてアニメみたいに熱い展開」という声もあった。
オバマ氏がミシェル夫人に「この25年間、あなたは私の妻であり、子どもの母であり、そして親友でした」と感謝の言葉を述べたことについて、「食事中にニュースを見ていた旦那がうるっときている」とつぶやいた人もいた。
「オバマさん白髪になったな。お疲れさまでした」などねぎらう声がほとんど。「ひとつの時代が終わった」と思いをはせている人が多かったようだ。
一方でトランプ氏との会見の比較も多く見られ、「これからが不安」「落差が激しい」と心配するツイートが散見された。
13日にはオバマ氏が米国で文民最高位の勲章を、サプライズでバイデン氏に授けた。涙するバイデン氏に「2人の友情で映画一本できる」「粋すぎる」「バイデンあってのオバマ」など、再び感動の声が上がった。「リーダーのあり方を教えられた」とも。
「大統領を辞めたらスポティファイ(スウェーデンの音楽配信大手)で仕事がしたい」とジョークを言ったオバマ氏に対し、スポティファイが「8年以上の国家運営経験、ノーベル賞受賞経験、友好的で温かい態度」などオバマ氏しか当てはまらないような応募要件の求人広告を自社ホームページで公開。このことを「粋すぎる」と紹介したツイートは幅広い層の関心を呼んだようで、多数リツイート(転送)された。
ただ、少数だがオバマ氏に批判的なツイートもある。「オバマが徹底して理想主義に固執した結果のトランプ大統領就任。日本の自民党回帰も同じ」。オバマ氏の退任演説を機に、今後の日米政治について発信している人もいた。
いずれもオバマ氏の表現の巧みさに言及したツイートが多かった。トランプ大統領は就任前からツイッターを使って自分の主張を伝えることが取り上げられてきた。就任後、新大統領についてはツイッターではどんな意見が上がるだろうか。
NTTコムオンライン・マーケティング・ソリューション(東京・品川)がツイッター上で関連する投稿を集めて分析した。
(企業報道部 中藤玲)
[日経産業新聞 2017年1月23日付]