デジタル化やモバイル化の急速な進展に伴い、企業が提供するサイトやアプリの数も増加しています。ここで、企業内の各部門が独自にサイトやアプリを開発し、それぞれ登録ユーザーのデータを格納するデータベースを構築すると大きな問題が発生します。同じ企業が提供しているにもかかわらず、新しいサイトやアプリを使おうとするたびに、ユーザーはアカウント登録や属性などデータの入力を何度も強いられる事態を招くからです。

 ユーザーデータを部門ごとに保管している企業は、一人のユーザーに対する包括的で正確なデータを構築できていないという課題に直面するでしょう。同じユーザーであるにもかかわらず、サイトやアプリごとに複数のアカウントが存在していたり、さらにアカウントによって登録されたデータの内容が異なっていたりするのです。

 これは、複数のサイトやアプリ、さらには店舗など企業とユーザーの接点であるタッチポイントをつなげて企業とユーザーの長期的な関係を構築・強化していく「カスタマージャーニー」をデザインする際の大きな障壁となります。タッチポイントにかかわらず、一貫した正しいデータに基づくパーソナライズが難しくなり、第1回で紹介した素晴らしい「顧客体験」を提供できなくなってしまうのです。

 こうした背景から近年、グローバル企業は、部門ごとにユーザーデータを収集・保管している「データのサイロ化」状態の見直しに着手しています。その解決策として、企業全体でユーザーデータを収集・保管し、必要に応じて各部門がデータを使用できる「シングル・カスタマー・ビュー」を構築する動きが急速に広まりつつあります。

パーソナライゼーションの重要性とそれを阻害するデータのサイロ化

 ユーザーの属性や興味・関心などのデータに基づくパーソナライゼーションは既に大きな役割を果たすようになっています。Invesp社がオンラインショッピングに関する各種の調査をまとめたOnline Shopping PersonalizationStatistics and Trends1には、次ページに示したデータが紹介されています。


1 Online Shopping Personalization - Statistics and Trends
https://www.invespcro.com/blog/online-shopping-personalization/


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