2017/04/19

【カスタマー・アイデンティティ市場動向】

GIGYAコラム:『新規顧客の獲得』と『既存顧客のリテンション』について

NTTコム オンライン GIGYA担当です。いつもお世話になっております。

今回は、『新規顧客の獲得』と『既存顧客のリテンション』について、コンバージョン支援サービスを提供するinvesp社のブログ記事 "Customer Acquisition Vs.Retention Costs - Statistics And Trends" 等から考えてみます。

新規顧客の獲得と、既存顧客のリテンションの重要性について

多くの企業にとって『新規顧客の獲得』は常に重要な課題であり、業界によっては『新規契約数』自体がニュースとして報道されるほどです。一方で、『既存顧客のリテンション』は、『新規顧客の獲得』ほどの注目を集められていない傾向があるようです。記事では、『新規顧客の獲得』により重点を置く企業が44%であるのに対し、『リテンション』により重点を置く企業が18%である、という数字を挙げています。

本記事は、この論点を考えるうえで参考となる、いくつかの数字を提示しています。

  1. 新規顧客の獲得にかかるコストは、既存顧客を維持するコストの5倍
    なお、この数字については諸説あります。
    White House Office of Consumer Affairs の推計では約6-7倍、eMarketerの2002年の報告においては5-10倍となっており、中には約30倍と推計するものもあるようです。これらの数値については、"Cost of customer acquisition vs. customer retention" にて参照いただけます。
  2. 企業の76%は、顧客生涯価値(CLV)を重要なコンセプトとしている一方で、CLVを正確に計測できている企業は42%に留まっている
  3. 5%のリテンションの向上は、25%から95%の利益の増加をもたらす(Bein and Company, 1990年)
    この数字は、リテンションの重要性を考える際によく引用されるものの一つです。
  4. 既存顧客への販売の利益率は60-70%となる一方で、新規顧客への販売の場合は 5-20%となる
  5. 新規顧客に比べて、既存顧客の新製品を試す意向は50%高く、支出額は 31%高い

これらの数字は、既存顧客がビジネスに与えるメリットに関する数字を紹介しています。

企業の究極的な目標は、利益ある成長の持続である、と考えます。
『新規顧客の獲得』に力を入れているにも関わらず、獲得した顧客のCLVを高めていくための『既存顧客のリテンション』を重視しない企業は、せっかくコストをかけて獲得した顧客をみすみす失ってしまうということにもなってしまいます。

モバイルファーストの時代における既存顧客のリテンションの重要性

企業のマーケティング活動ではリアルからオンラインへ比重が増し、いまや『モバイルファースト』時代に突入したといわれています。スマートフォンやタブレット端末の急速な発展・普及により、顧客体験を演出するデバイスの中でもモバイルがますます重要となっているのです。
 2016年のホリデーシーズン(11月末からクリスマスまでのショッピングシーズン)に、Facebookではモバイルからのコンバージョンが51%を記録し、初めてデスクトップからの コンバージョンを上回りました。これはモバイルファーストが現実的なものになった事実を象徴する出来事といえるでしょう(参考1)。
 アイルランドのWeb解析企業スタットカウンターは2017年3月にインターネットに接続する機器のOSシェアを発表しました。これによるとWindowsの37.91%を上回り37.93%となったAndoridが、初めてネット接続する機器のOSとして首位に立ったということです(参考2)。いまや、デジタルタッチポイントでの顧客体験を設計・構築するに当たって、モバイルを無視できなくなったのです。

本記事でも、オンラインチャネルごとに、『新規顧客の獲得』と『既存顧客のリテンション』に使われる割合についても紹介しています。

  1. ペイドサーチが『新規顧客の獲得』に使われる割合は86%であるのに対し、『既存顧客のリテンション』に使われる割合は2%
  2. 一方、モバイルアプリでの上記数値については、30%:44%(『両方等しく』も26%)

となるなど、企業が目的に応じてチャネルを使い分けている傾向がみられます。モバイルメッセージやメールは『既存顧客のリテンション』に使われる場合が多い、という結果が出ています。

さらに、『既存顧客のリテンション』に最も効果的なデジタルマーケティング手法についても紹介しています。電子メール(56%)、ソーシャルメディアマーケティング(37%)、コンテンツマーケティング(32%)、口コミマーケティング(26%)など、という回答結果となっています。

オムニチャネル時代において、企業にとって新規顧客と既存顧客における検討や購買の違いを把握し、それぞれにベストなタイミングでのコミュニケーションやオファーの提示が大事になります。
そのため、企業は、多様なチャネルに存在する顧客IDやデータの統合を行い、ひとりひとりの顧客に対し最適なコミュニケーションができる仕組みを構築することが必要となってきています。

そのためにも、これらのデータを参考にしつつ、『新規に顧客となっていただくために、どのチャネルでどのようなコミュニケーションを取ればよいのか。』『既存の顧客に対しロイヤルティを高めていただくために、どのチャネルでどのようなコミュニケーションを取ればよいのか。』というカスタマー・ジャーニー戦略を立て、戦略を実行し、その結果を戦略の修正に役立てていく、という活動が求められている、と考えます。

参考

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中村 匡史(なかむら ただし)

大手製造業、スポーツマーケティング企業、IT金融企業でのマーケティング職を経験したのち、ソーシャルマーケティング企業にてコンサルティングに従事。
顧客データの一元管理や企業内データと外部データのシンクによる顧客分析プロジェクトなどで成果を上げ、消費財におけるマネタイズモデルの開発等を経て現職。
カスタマー・アイデンティティ・マネジメント プラットフォームGIGYAのプロジェクト担当を務める。

屋代 誠(やしろ まこと)

2011年より、米国ExactTarget社(現在はSalesforce社傘下)が展開する企業向けソーシャルメディア運用支援ソリューション”CoTweet"(2013年に”SocialEngage"へと名称変更)およびSalesforce社の”Social Studio"のプロダクトマネージャーとして、ソーシャルメディアを活用するビジネス戦略の立案・実行支援に携わる。
その経験を生かし、ソーシャルメディアを包含したカスタマー・アイデンティティ・マネジメント分野のエバンジャライズを推進。
Salesforce Certified Marketing Cloud Social Specialist資格を保有。