2018/10/09

【カスタマー・アイデンティティ市場動向】

B2Bにおけるデジタル顧客体験の成功への3つの障害物とそれらを克服する方法

B2Bにおける素晴らしいデジタル顧客体験とは何でしょうか?
多くの分析などが示すところでは、B2Cでの顧客体験に近いもののようです。例えば、Appleはデバイスをまたがってシームレスにコンテンツにアクセスできる環境を消費者に提供していますし、GoogleはWeb、メール、ドキュメントをまたがって簡単に検索できる機能を提供し、Netflixは好みに合いそうなコンテンツを自動的にレコメンドしています。このような体験により、ビジネスユーザーもベンダとのやり取りにおいて同様の顧客体験を期待しているのです。

しかし、より深く掘り下げてみると、ビジネスユーザーのデジタル顧客体験への要求には重要な相違があります。B2Bブランドがビジネスパートナーに提供する顧客体験を改善するためには追加の条件があるのです。まずこの違いについてみたうえで、ビジネスユーザーにベストなデジタル顧客体験を提供するためにこの違いをどのように克服するかを考えていきましょう。

ビジネスユーザーと個人消費者との間の3つの大きな相違点

B2Bのデジタル顧客体験を複雑なものとしているものは何でしょうか?最も重要な論点は以下の3つです。

1. B2Bの購買意思決定は集団的に行われる

ハーバード・ビジネス・レビューによれば、B2Bソリューションの購買手続きにかかわる人数は平均6名以上で、さらに増える傾向にあります。リサーチ・競合分析・予算・支払いなど多くの担当者がかかわることで、B2Bカスタマーは多くの情報を入手し、リスクに敏感になります。そのゴールは、個人的な関心にはなく、ビジネスニーズに基づくベストな決定を行うことなのです。

重要なことは、この決定がデジタルエンゲージメントにますます依存するようになっているということです。Demandbase社の2017年の調査によれば、ベンダのWebサイトを訪問した際に自社に直接かかわるようなコンテンツがあることが最も重要であると回答したB2Bバイヤーは75%にのぼったそうです。

B2Bブランドにとって重要なこと:市場シェアを取るためには、デジタルコンテンツをいろいろなステークホルダーにとって関わりがありビジネス上有益なものとしなければならない。

2. デジタル顧客体験はジョブ・パフォーマンスと直接に結びつく

どのようなものであれ、選択するということはストレスになるものです。ビジネスユーザーにとって、このストレスはさらに大きなものとなります。サプライチェーンからeコマースまで、ビジネスユーザーとベンダとの間のインタラクションはジョブ・パフォーマンスに直接影響します。レポートや見積の作成、顧客にヒットするプライスターゲットの設定、予算の遵守などのタスクがあります。もし、リソースにシームレスかつ定常的にアクセスするニーズを満たせない製品やサービスを使って仕事をしているのであれば、他のブランドを探すことでしょう。

例えば、再注文のプロセスについてみてみましょう。マッキンゼー・アンド・カンパニーが実施した2017年のB2B意思決定者に関する調査によれば、回答者の86%が、再注文については販売担当者に話すよりもセルフサービスを好んだそうです。もしデジタルで迅速かつ簡単に再注文が出来るようになっているのであれば、見積の作成や注文書への記入などを必要としている競合よりも先んじているといえるでしょう。

3. セキュリティとプライバシーがさらに複雑に

EUの一般データ保護規則(GDPR)やカリフォルニア州消費者プライバシー法(CCPA)によって守られる個人データに加え、ビジネスユーザーは契約書・同意した価格・在庫といった多くの機密情報を持っています。ビジネスユーザーは、ますます増え続けるデバイスやプラットフォームからこれらの機密情報にアクセスする必要があるのですが、そのアクセスはアクセスレベル認証により認められた時のみでなければならないのです。アクセスポリシーを設定するタスクを課せられたアドミニストレータには、資格や認証をビジネスニーズにマッピングする機能が必要となります。そのうえ、アクセスマネジメントがあまりにも扱いにくいと、リスクにつながってしまうのです。さらに、認証が十分にセキュアなものでない場合、適切でない人が機密情報にアクセスできてしまい、刑事を含む訴訟やブランド・レピュテーションへのダメージといったリスクとなります。

信頼されるB2Bデジタル顧客体験の特徴

上記のような重要な違いを踏まえて、ビジネスパートナーに提供するデジタル顧客体験をどのように改善すればよいのでしょうか?一言でいえば、「信頼」というコンセプトに集約されます。

リサーチ段階においては、一般的な顧客体験しか提供できない競合に比べ、見込み顧客に対してパーソナライズされたコンテンツを提供できるブランドは優位に立つことが出来るでしょう。先進企業は、市場での差異化につながるパーソナライゼーションを行うために、企業全体でのプロフィールデータやプリファレンスデータ、同意に関するデータを管理するソリューションを実装しています。結果として、ユーザーの関心に沿ったコンテンツを提供する一方で、そのデータ・プライバシーを尊重することにもつながっているのです。

製薬業界におけるイノベイティブな企業はその実例といえるでしょう。医師と営業担当のミーティングの時間は短くなる傾向にあります。つまり、生産性と成長を維持するためには、製薬企業には医師やヘルスケア・プロフェッショナルとエンゲージするための新たな方法が必要となるのです。そのソリューションとして、カスタマー・アイデンティティ・マネジメントシステムをテクノロジー資産の中核と位置づけ、個々のビジネスカスタマーごとにシングル・カスタマー・ビューを構築しています。これによって、Webサイト、メール、イベントなどを通じたコンテンツ戦略を強化し、信頼されるパーソナライズされた顧客体験を創り出しているのです。

このデータの価値は、B2Bのバイヤーのカスタマー・ジャーニーの初期のステージを超えるものとなります。ベンダが製品の売り手ではなく業界のコンサルタントともいうべき行動を取れば、関係は深化し販売機会も増えていくのです。このようなシフトのためには、グローバルトレンドの影響、地域での課題、パートナーシップから得られる潜在的な市場機会といったビジネスバイヤーへの真の理解が求められます。カスタマー・アイデンティティ・マネジメントは、このような理解を促進し、B2B顧客とのデジタルエンゲージメントにおいて利用するキーとなります。

関係が構築された段階では、デジタル・エコシステムへの適切なエントリーポイントがきわめて重要になります。ビジネスユーザーは、使用している多種多様なデバイスやプラットフォームからコンテンツやサービスにセキュアにアクセスできることを必要としています。アクセスレベルに応じたシームレスな登録・ログインフローも必要です。

つまり、簡単に設定可能で、予め定義された、ポリシーをベースとするアクセスマネジメントが不可欠なものとなっているのです。また、SSO, 標準のフェデレーション、さらにはソーシャルメディアアカウントを含む多種多様な認証要素によるあらゆるタッチポイントからビジネスパートナーをセキュアに識別するシステムが求められているということでもあります。

ログイン後、そのユニークなプロフィールをもとに顧客体験がパーソナライズされることでビジネスユーザーの信頼は増していきます。例えば、ベルリンのユーザーがログインした際にその言語・通貨・タイムゾーン設定が反映される、といったことです。
このようなパーソナライゼーションを実現するには、ユーザーが地域や業務内容・職掌を変更した際に顧客体験を修正できるような機能を含む正確なカスタマー・アイデンティティ・マネジメントシステムを提供することが必要です。

データ・プライバシーは、信頼されるユーザー・リレーションにおけるもう一つの大きな要素です。GDPRによる消費者のデータ・プライバシーへの関心の高まりというグローバルトレンドは、ビジネスユーザーに対しても自身のデータがどのように収集・利用されているかについての関心を高めています。ユーザーの同意なしにデータを使うことは信頼を損ねることにつながります。加えて、ビジネスユーザーもプロフィールデータ・プリファレンスデータ・同意データへのコントロールを求めているのです。この新しい現実がB2Bブランドにおける重要なシフトにつながっています。

先進的な企業は、コンプライアンス準拠のための取り組みを信頼構築への出発点として活用しています。ビジネスユーザーのプリファレンスと同意設定を(複数のサイロ化されたDBでばらばらに管理するのではなく)集中管理するためにデータ・マネジメント・プラクティスを再定義し、ユーザーの要望を尊重しています。カスタマイズ可能で簡単に実装できる(out-of-the-box)ワークフローにより透明性を高め、利用規約・プライバシーポリシー・Cookie使用(eプライバシー)・マーケティングコミュニケーションやパーミッションベースのアクティビティへの明確な同意を求めるようにしています。最後に、プロフィール情報・プリファレンス・同意設定などについて、あらゆるデバイスやプラットフォームからアクセス可能なセルフサービス型プリファレンスセンターを通じて管理できる機能をビジネスユーザーに提供しています。
このようなイノベーションにより、B2Bブランドは規制リスクに対応する以上のことを実現しているのです。加えて、ビジネスパートナーのプリファレンスと同意を管理するプロセスを集中化・自動化することで、サービスコストやコールセンターコストの削減にもつなげているのです。

原文はこちらです。(Gigya社サイトに遷移します)
Three Roadblocks to B2B Digital Experience Success, and How to Clear Them

CRMを成功に導く顧客ID統合に欠かせない3つのポイント

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屋代 誠(やしろ まこと)

2011年より、米国ExactTarget社(現在はSalesforce社傘下)が展開する企業向けソーシャルメディア運用支援ソリューション”CoTweet"(2013年に”SocialEngage"へと名称変更)およびSalesforce社の”Social Studio"のプロダクトマネージャーとして、ソーシャルメディアを活用するビジネス戦略の立案・実行支援に携わる。
その経験を生かし、ソーシャルメディアを包含したカスタマー・アイデンティティ・マネジメント分野のエバンジャライズを推進。
Salesforce Certified Marketing Cloud Social Specialist資格を保有。

嶋田 貴夫(しまだ たかお)

大手メーカーでのソフトウェア開発経験を経て、2006年よりWebアクセス解析ソリューションVisionalistの企画・開発に携わる。
現在はCIMソリューション「GIGYA」、および、GIGYAとWebアクセスログ、MAやDMPを連携させたソリューションを紹介・提案するCIMエバンジェリストとして従事。