【プロヴィデント・ファイナンシャル】
2013年、イギリスのブラッドフォードに本拠を置くプロヴィデント・ファイナンシャル・グループの一部門であるプロヴィデント・パーソナル・クレジットは、顧客向けに短期間の信用を提供するデジタルサービスであるサツマ・ローンを開始しました。
2年を経て、そのサービスコンセプトは受け入れられることが証明されたものの、サイトの顧客体験において本質的な問題を解決しなければならないことに気づきました。サイトにおけるセキュアなセルフサービス機能やプロフィール管理機能が存在していなかったのです。ログイン機能がないため、全てのサイト訪問者を「ゲスト」として取り扱い、新しいユーザーとリピーターの顧客体験に差がなかったのです。
サツマ・ローンのカスタマー・リテンション&エンゲージメント担当シニア・マーケティング・マネージャーのJohn Grimbaldeston氏は、「私たちは十分に顧客のエンゲージメントを高めることができておらず、リテンションも、顧客体験への付加価値も十分とは言えませんでした。そのため、より説得力のあるオファーを行う競合に負けていたのです。顧客はローンを借りるだけでなく、セキュアなログインを通じて貸し手と関係を構築することが出来ていたのです。」と語っています。
サツマのモデルは「有期クレジット」であることから、顧客は2つまでのローンを同時に返済することが可能であることから、サツマにとっての理想的な戦略とは、アカウントを開いたり閉じたりするのではなく、個々の顧客とライフサイクルを通じて関係を構築することで、高いリテンションとライフタイムバリューを得ることにあります。
Grimbaldeston氏とチームは、顧客を識別し顧客体験をカスタマイズするための機能を持っていないことに気づきました。業界の特性と貸し手側への既成ソリューションが存在しないことから、ログインとプロフィール管理のためにインハウスのシステムを構築する慣行が伝統としてありました。そこでプロヴィデントも自社構築に着手しましたが、カスタマイズされたソリューションを構築した後に、Grimbaldeston氏はそれが「小規模のスケーラビリティしかない。機能面ではOKだが、ベストなものではなく、将来性も保証できない」と気づいたのです。
それまでのアプローチが必ずしも適切ではないと気付いたことから、プロヴィデントはサードパーティプラットフォームの調査を開始し、アナリストレポートを参照したり、タグ管理・トラッキング・分析などのために既に使っていたアドビ社のアドバイスを求めたりしました。アドビ社は、テクノロジーパートナーとしてのGIGYAの実績とアドビ社の多くの製品との構築済みのデータ連携などをもとにGIGYAをベストなソリューションとして推奨したのです。これが決定を後押しし、構築プロセスが始まりました。
短期間でセキュアな登録システムを立ち上げ、稼働させ、サツマのシステム全体と統合させるために、GIGYAのグローバルサービスチームは提案の初期段階から関係者とコンタクトし、3.5ヶ月間でビジネスバリューを実現できるプロジェクトスコープと実装スケジュールプランのの青写真を早期に描き上げました。
GIGYAのRaaSソリューションはサツマの顧客にアカウントを新規作成しログインするための簡単な機能を提供します。8月には新規ユーザーにログイン機能の提供を開始するとともに、わずか4ヶ月後の2016年9月後半には、既存アカウントの70%が登録されており、これは年末時点の目標であった66%を超過しています。同時期にサツマは合計450万ポンド相当の9,500件のローンを新規に提供しており、これも最初のゴールを超過しています。これらの事実は、この新しい機能が努力に見合うものであったことを示しているのです。
顧客がログインすることの想定されていなかったベネフィットは、平均ローン残高に対する効果です。オンライアカウントを有する顧客は、登録していない顧客に比べローン1件当たりで20%以上も多く借りていたのです。Grimbaldeston氏によれば、その理由は認知にあります。
例えば、既存顧客が600ポンドのローンオファーについての一斉メールやSMS、ダイレクトメールを受け取れば、顧客はそれを全てのサツマの顧客にオファーされているものととらえる傾向にあります。しかし、GIGYAを通じてログインした後は、顧客はより多くのクレジットを借りる資格がある時だけローンオファーを受けるようになります。Grimbaldeston氏はこれを「これは私へのローンオファーである。サツマは私が600ポンドを借りる資格があるといっている。300ポンドを借りようと考えていたが、400ポンドを借りよう」という思考プロセスになる、と述べており、事実多くの顧客はそのように考えていたのです。
サツマのスケーラビリティへのニーズはGIGYAのプラットフォームとも合致しており、2016年5月後半から9月後半まで、たった1件の問題もなく、1日平均で4,000件から6,000件、合計で402,000件のログインを処理しました。Grimbaldeston氏は、「GIGYAは私たちが必要としていたレベルのスケーラビリティを発揮し、GIGYAを選択したことが正しかったことを証明してくれました」と語っています。
アカウントベースのアプローチから顧客ベースのアプローチにシフトすることで、ユーザーは自身のデータにアクセスし自身のアカウントを管理するセルフサービスオプションを持つことができるため、顧客とのエンゲージメントも高まりました。一方で、サツマの顧客にとっては慣れないコンセプトでもあったことから新しい課題も生まれ、このオンラインエンゲージメントはサポートコールの件数が一時的に増える結果ともなりました。
しかしGrimbaldeston氏は、「これは私たちのデータにおける一時的な欠点を露呈したものですが、これは良いことです。なぜなら、このことにより、私たちは顧客を一人ひとりとして認識する正しい方法にシフトしなければならなくなるからです。」と語っています。
GIGYAのソリューションを実装することで、サツマのモバイルアプリを提供する道も拓かれました(2016年10月にベータ版を開始予定)。RaaS機能の実装なしでは実現できなかったことです。
金融業界の企業として、サツマは、PCIDSS、EUのGDPR、PECRなどの政府による基準や規制に準拠しなければなりません。GIGYAは、例えば同意の管理というきわめて重要なツールキットを提供することで、この点においてもサツマをサポートしています。
Grimbaldeston氏によれば、「マーケティングにおける同意の管理、データプライバシー、そしてデータの利用においても、GIGYAにより、私たちがアカウントレベルではなく個々の顧客のレベルにおいてそれらを管理できていることを確信できました。」と述べています。
サツマのデータ保護、ITセキュリティ、マネーロンダリングオフィサー、そして法務やコンプライアンスの関係者が全てカスタマージャー二―の実装のプロセスにおいてかかわっています。Grimbaldeston氏は、「彼らは強力なサポーターです。なぜなら、セキュリティ、プライバシー、そしてデータ保護を実現するセキュアなアクセスマネジメントであることを確認しているからです。」と述べています。
プロヴィデント・ホーム・クレジット部門のメンバーは、サツマのGIGYA実装の成功を目にして、自身のカスタマー・フォーカスなデジタル戦略を検討しています。Grimbaldeston氏は、「これは長いストーリーの第1章ではないかと感じています。ホームクレジット部門は私たちが達成したことを目にしていることでしょう。そして、GIGYAという信頼できるサードパーティを使う以外のことを選ぶとすれば驚きです。なぜなら、これまでのところ、私たちが成し遂げたかった素晴らしい成功体験を得ているからです。」と述べています。
GIGYAによって、短期間でセキュアなユーザー登録システムの実装が完了しました。さらに顧客を識別し顧客体験をカスタマイズすることで、顧客とのエンゲージメントを高め、自社サービスの平均ローン残高を増加させることができました。
「GIGYAによって、短期間でセキュアな登録システムを実現し、顧客とのエンゲージメントを高めることができ、本当に素晴らしい経験でした」