2019/02/25

【NPSトップ企業に聞く顧客ロイヤルティ向上の秘訣2018】

ネット専業型旅行会社部門 第1位 楽天トラベル(楽天株式会社)様 
~仕組み化とテクノロジー活用の両輪でNPSを社内に浸透。企業風土が変わり始める~

NPSベンチマーク調査2018、ネット専業旅行会社部門で第1位に輝いた楽天トラベル(楽天株式会社)。NPSを本格導入してから1年強という短期間で、NPS活用の仕組み化を確立し、クラウド・サービス「NPX Pro」を利用しながら社内にNPSを浸透させてきました。成長を続ける楽天トラベルに、NPSの導入プロセスや展開方法についてお伺いしました。

NPSを通じて、「よい」利益を追求していく

― 今回のNPSベンチマーク調査において、ネット専業旅行会社部門で楽天トラベル(楽天株式会社様)が1位を獲得されました。誠におめでとうございます。最初に、楽天トラベルの事業概要と、その中でのNPSや顧客満足度の位置づけをお聞かせください。

(左)楽天株式会社 コマースカンパニー トラベル事業 品質管理室 品質管理企画グループ 品質管理チーム 山本 歩依 様
(中)楽天株式会社 コマースカンパニー トラベル事業 品質管理室 品質管理企画グループ マネージャー 業務管理グループ マネージャー 長松 泰樹 様
(右)NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 代表取締役社長 塚本 良江

(以下敬称略)

長松:楽天トラベルは、70以上のサービスを展開する楽天グループの一員として旅行予約サービスを提供しています。国内で1億人を超える楽天会員の強みを活かし、メインとなる国内外の宿泊予約や、宿と航空券、バス、レンタカーなどを組み合わせたパッケージ予約サービスを提供しています。
NPSの活用は、2016年1月から楽天グループ全体で取組みがはじまり、品質向上活動に一層の力を入れはじめました。NPSが大事であるというメッセージがトップから繰り返し発信され、それに基づきグループ全体で重要な活動として取り組んでいます。楽天市場、楽天カードなども含む20以上の事業が集まり、お互いの取組みを定期的にシェアする機会も設けています。

山本:その流れの中で、楽天トラベルもNPSへの取組みを活性化させています。現在の売上は過去の取組みの成果である一方、NPSには、未来の売上のためにどうしていくべきかといったヒントが詰まっていると考え、重視しています。

長松:楽天トラベルとしてより良い成長を目指す中で、短期的というよりも、中長期的な成長につながるNPSは非常に重要な数値であるということですね。

サービス単位でトランザクショナル調査を実施。アクションにつながる声を集める

― NPS調査には、リレーショナル調査とトランザクショナル調査の2種類があります。リレーショナル調査ではブランド価値や企業へのロイヤルティをはかり、一方トランザクショナル調査では、お客さまとの接点があるタイミング毎に細かく調査をおこない、小さい改善活動を回していく。楽天トラベルでは両方のNPS調査を取り入れてらっしゃるとお伺いしています。どのように活用していらっしゃるのかお聞かせください。

長松:リレーショナル調査は、オンライントラベルエージェントの中での楽天トラベルの立ち位置を定点観測するという目的で、四半期に1回程度実施しています。ただ、楽天トラベルの事業は多岐に渡りますので、リレーショナル調査のみですと、大まかな数値に留まってしまい、私たちのどの活動がNPSに影響を与えているかが分かりません。そこで、個々のサービスのパフォーマンスを知るために、9つのサービス単位で毎月を基本としてトランザクショナル調査を実施しています。お客さまに直接メール配信をして、細かい部分で小回りを利かせて調査を実施しています。

山本:その中で、私たちは事務局として、各サービスの分析担当者を巻き込み、NPSをあげていくという取組みをおこなっています。

定期的にNPSについて議論する場の設定で、NPSが浸透していく

長松:各サービスのNPSを上げていくことで、楽天トラベル全体のNPSを上げていく。そのために、社内の仕組みづくりを進めています。具体的には、経営やサービスに関わる判断をする事業長、開発トップ、部長陣も参加する月次のミーティングを設定し、サービス毎に、トランザクショナル調査の結果に基づいた改善計画やアクションといったPDCAの報告をしてもらっています。ミーティングに参加するにあたり、各サービスの担当者は、トランザクショナル調査の結果を毎月分析し、お客さまからのコメントも読み込んでもらっています。
こうすることで、NPSの数字が何を意味していて、どのような改善の必要性が示されているのか、という判断をサービスの担当者自身ができるようになります。仕組み化によって、毎月様々な部署の50~60名のスタッフが、サービス毎に数百件のお客さまのコメントを読み込んで分析するようになりました。楽天グループ全体としてお客さまの声を大事にしていく中で、NPSを活用した改善もやっていきましょう、という組織の風土が徐々にできあがっています。

― 改善については、担当者レベルで改善できる場合と、責任者クラスも含めた複合的な意思決定が必要な場合があります。月次のミーティングで、次の改善アクションが決められていくのでしょうか。

長松:担当者が対応可能な改善については、各サービスでおこなっているトランザクショナル調査で声を吸い上げ、各サービスの中で対応しています。一方で、ブランドイメージや経営に関わる問題など、楽天トラベル全体に関する声については、リレーショナル調査で把握するという流れになっています。サービスレベルでは解決できない大きな問題については、何が課題なのかを認識し、月次のミーティングで議論をしています。

山本:月次のミーティングでは、営業、マーケティング、開発、CSなどの担当者から経営層まで様々なステークホルダーが一堂に会しています。お客さまから上がってきた声について、それぞれの視点でフラットに意見を出し合う場を設けられたことが、事業規模の課題改善に向けた大きな進化だと感じています。

― 社内の仕組みづくりが非常にうまく進んでいらっしゃるのですね。

長松:この取組み自体がグループから始まっていますので、私自身当初は、どうしても受け身だったのも事実です。ただ、NPSについて理解を深めていく中で、NPSはただの数字ではなく、現場の改善の意識を高めて、会社として企業風土をつくっていくことがキーだと気づきました。NPSの浸透を図ると決め、山本とチームを作りやってきた中で、1年強という短期間で目指していた組織風土がある程度できてきたと感じられたのは良かったです。

ツールの活用により、お客さまの声がダイレクトに各サービスに届き始め、改善活動に弾みがつく

― 楽天トラベルは弊社が提供しているNPS向上を図るためのクラウドツール、NPX Proを利用してくださっています。導入前後で変化はありましたでしょうか。

山本:ツール導入以前は、お客さまの声がCS部門に集まってくるということで、「お客さまの声には、CSが対応する」という感覚があったかもしれません。しかしツールを導入したことで、自分が担当するサービスに対して直接ご意見が届き、それを目にするようになり、サービスの担当者側から「これは何とかしないといけない」という声が上がり始めました。最初は事務局主導でしたが、今では課題分析からアクション実行まで各サービスが主体となって進めています。

長松:トランザクショナル調査がわれわれにとっては改善のメインだと思っていますので、ツールを使うことで、トランザクショナル調査の頻度を増やし、セグメントを細かくするといったことも実現できています。各サービスが仮説をもって分析をして実行していくということが可能になり、PDCAサイクルが多く回せますので、その結果改善が進み、NPSが上がっていくと考えています。
また、NPS調査では、ポジティブな声を含め幅広いご意見を頂くことができます。これまで吸い上げることのできなかった声を知ることができているという実感がありますね。

― 直接お客さまの声を目にすることができる、見える化によって、マインドセットが醸成されてきたというところですね。そのほかにもNPSのツールでの分析ですと、NPSと各項目の満足度との相関を見る、といった使い方もありますが、今はむしろ推奨理由といったお客さまの声の部分を重視されているという感じでしょうか。

山本:最初は相関係数などの数値ばかりを見ていたのですが、それでは具体的にお客さまが何を評価し、何に困っているのか、現場が把握しづらいという課題がありました。そこで一度数字から離れて、コメントをしっかり読み込んで、具体的な知見がたまってきたら定量的に見ていく、というステップを踏みました。

長松:当然NPSは経営指標としては重要で、経営層や各サービスの分析担当者には活用されていると思っています。ただ、現場の担当者には、NPSをそこまで意識しなくていいですよ、と伝えています。サービスによっては母数が小さい場合もありますし、本質を理解せずに数字に振り回されてしまうと迷子になってしまうこともあるためです。NPSなどの数値はいったん置いておいて、目の前の生の声としっかり向き合って欲しい、とお伝えしています。

― NPSの導入にあたっては、経済性分析に寄りすぎてしまう、ということも起こりえますけれども、本質はそこではないということですね。

eNPSの導入も視野に、さらに優れたサービスの提供を目指して

― 今後のことについてお伺いします。NPSを活用していきながら、今後はどんな楽天トラベルにしていきたいとお考えでしょうか。

長松:NPSをつかってもう一つやりたいことがあります。eNPS(注:Employee Net Promoter Scoreの略で、企業で働く従業員のロイヤルティを数値化した指標)、あるいはそれに準ずる指標を取り入れることで従業員の満足度を高めていきたいなと考えています。eNPSが上がれば、労働環境としても良い場所だと示すことができます。
NPSを通じた取組みの歯車が噛み合ってくると、好循環な企業風土ができてくると思います。まず、ポジティブな内容も含めたお客さまの声が寄せられて、それをもとに事業を更に改善することができ、その結果、よりたくさんのポジティブな声が集まってくる、というサイクルですね。私自身もそうですが、自分の仕事が世の中に貢献していると感じられると、「明日はもっとがんばろう」と思えます。
好循環が回ると同時に従業員の満足度自体も上がっていくのではないでしょうか。リテンションにも繋がり、長く働く人が増え、知識やリテラシーが高い社員も増えます。そして、もっと良いサービスを提供できる。それがまたNPSにも反映されて…という流れを作りたいと考えています。NPSは今も最重要指標として取り組んでいますが、それと同時に従業員の満足度も考えていきたいですね。

― 従業員の方たちがどう仕事に向き合えているかは、お客さまとの関係性を考えていくうえでも非常に重要ですね。
NPSの社内への浸透に当たる仕組み化や、NPS指標やコメントの捉え方など、大変参考になるお話でした。どうもありがとうございました。

Net Promoter®およびNPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

NPSベンチマーク調査レポート2018【総合型旅行会社・ネット専業型旅行会社】

NPSベンチマーク調査レポート2018
【総合型旅行会社・ネット専業型旅行会社】

総合型旅行会社・ネット専業型旅行会社のNPS(ネットプロモータースコア)およびロイヤルティ要因についての分析レポートです。

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