2020/12/14

【NPSトップ企業に聞く顧客ロイヤルティ向上の秘訣2020】

代理店型自動車保険部門 第1位 東京海上日動火災保険株式会社様
~NPSを活用した業務プロセスの改善を通して、満足のさらに上を行く「心地よいCX」を提供していく~

NTTコム オンライン NPSベンチマーク調査2020の「代理店型自動車保険部門」で1位となった東京海上日動火災保険株式会社(以下「東京海上日動」)。「心地よい」CXの提供を目指し、パートナーである保険代理店と共に取り組みを進めています。業務プロセスの改善によるCX向上に向けたお取り組みや、NPSに対する期待などについてお聞きしました。

CX・プロセスデザイン部を立ち上げ、お客さまにとり心地よい顧客体験の提供を目指す

―2年連続のご受賞おめでとうございます。ご受賞にあたってのご感想や、1位となった要因をどのよう点にあると捉えていらっしゃるか、教えていただけますでしょうか。

(右) 東京海上日動火災保険株式会社 CX・プロセスデザイン部 改革推進支援室 担当次長:山田 玲子様
(中右) 東京海上日動火災保険株式会社 専務取締役 国内営業総括:伊藤 直哉様
(中左) NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社 代表取締役社長 塚本 良江
(左) 東京海上日動火災保険株式会社 執行役員 CX・プロセスデザイン部長:山内 崇司様

伊藤 : まずは、2年連続の受賞という事で、大変嬉しく思っております。
当社は経営理念として「お客さまの信頼をあらゆる事業活動の原点におき、お客さまへの「安心と安全」の提供を通じて快適な社会生活と経済の発展に貢献する」を掲げております。お客さまのリスクや不安に対する備えとなる商品・サービスを開発し、「いざ」というときにお役に立てるような会社を目指して努力をしています。
この経営理念の実現には、当社だけでなく、日々お客さまと接している保険代理店の取組みが非常に重要になってきます。当社からしますと、保険代理店の存在こそがダイレクト型自動車保険との一番の違いであり、強みでもあります。お客さまに寄り添い、一番身近に感じていただく存在という意味で、保険代理店の果たす役割は非常に大きい。これまで両者で共に行ってきた様々な取り組みが、今回の受賞につながったと考えております。

―顧客ロイヤルティを高めファンを増やすことや、CX(カスタマー・エクスペリエンス、顧客体験価値)の向上といった点に力を入れていらっしゃるとお伺いしています。どのような取り組みをなさっているのでしょうか。

伊藤 : 当社では、2020年4月より新たに「CX・プロセスデザイン部」という部署を新設しました。CX・プロセスデザイン部のミッションは、これまで当社の提供してきた「お客さま本位の業務運営」に加え、「CX」向上の取り組みを推進していくことであり、お客さまが当社とのお取引全般を通じて感じて頂ける「快適さ」や「心地よさ」、「わかりやすさ」などを実現することです。カスタマーセンターやお客さま相談センターの運営を行い、実際のお客さまの声を聞くことに加えて、業務プロセス全体をデザインし、変革をしていく。この結果として、自然にお客さまに「心地よい体験」を提供して、当社のファンになっていただくことを目指しています。

NPSに関する知見を深め、お客さまとの関係性向上に向けて、活用を進める

―CX向上の文脈での、NPSへのお取り組みについてはいかがでしょうか。

山内 : NPSについては、昨年度から研究していまして、調査についても不定期ですが実施しています。NPS調査を継続することによって、改善状況や、ベクトルがどちらに向かっているのかという方向性もわかりますので、継続的にやっていく必要性を感じています。
日本市場では、金融商品でのNPSはなかなか高くでませんが、海外に目を転じると、東京海上ホールディングスの中でも、ブラジルの現地法人がNPS中心の経営をしていて、劇的な改善を実現しています。このような背景もあり、東京海上グループ全体としてはNPSに対する理解も期待も高まってきています。

―NPSの調査をする中で、CS(顧客満足度)とはまた違う視点で、見えてきたものはありますか。

山田 : 推奨者の方が、お薦めしますか、という問いに対し「9」や「10」をつけてくださるのは、やはり特別な理由があります。保険代理店とのやり取りの中でよい経験をしていたり、事故や災害で保険をご利用いただいた際に助かったという気持ちがあったりといった具合です。保険に加入する際の体験で、そこまでの気持ちをもっていただくことができるのか、といった新たな視点がでてきました。

山内 : さらに掘り下げて調査をする中で、お客さまとの関わりという意味では、加入したときだけの接点だけでは足りないことが分かってきています。このため、現在は加入や保険利用以外の接点を作ることに取り組んでいます。例えばマイページや「モバイルエージェント」という保険アプリを通じて、台風などの災害時にコミュニケーションを取るようにする、あるいは保険代理店から情報発信ができるような仕組み作りについても検討を進めています。

―今回の調査結果でも、事故経験者で助けてもらったという経験がある方たちは、NPSが高い傾向が出ています。同時に、もう一つポイントとして取り上げたのが、商品理解です。商品理解の有無によって、NPSに大きな差が見られましたが、それについてはどう思われますか。

山内 : おっしゃる通り、そこは重要なポイントです。しっかり説明を受けて、自分で選んだという意識が高い方ほど、NPSが高い傾向があります。今後、NPS調査を本格化させる際に、NPSと、理解度や継続率の関係をもう少し細かく分析できるようになると、経済的価値をリアルに試算することができるようになっていきます。そういうことも、今後取り組んでいきたい分野になります。また、お客さまとの最も重要な接点である保険代理店の役割も、商品理解の部分でますます大切になってきます。

保険代理店と共に、CX向上の取り組みを実施

―顧客ロイヤルティやCXの向上につきましても、代理店さんと共に進めていくようなイメージでしょうか。

山内 : 実際に保険代理店は、保険がよくわからないと思っているお客さまにとって、安心してお任せできる、ある意味最高のCXを提供する存在であると思います。一方で、デジタル化が進む現在では、「まずはインターネットで調べる」など、お客さまの思考や行動が変わってきています。
今後は、デジタルとリアル両面でのベストミックスを提供していくようなビジネスモデルを作ることで、よりCXを高めていくというのが、当社全体の方向性です。保険代理店というリアルな接点においても、デジタルをさらに活用することで、よりお客さまに寄り添えるよう、共に取り組んでいるところです。

山田 : 例えば、お客さまの体験をより向上させていくには、万が一事故にあったときに安心を提供する当社のアプリと、お客さまに寄り添う保険代理店との両方で価値を提供していくことが大切になってきます。保険代理店からアプリをお客さまにお薦めいただき、アプリの中に連絡先を登録してもらうことで、いつでも事故の連絡ができるようになると同時に、保険代理店とお客さまの接点の強化にもつながります。

―CXの向上に取り組まれる中で、力を入れていらっしゃるのはどのような点でしょうか。

山内 : CXや顧客ロイヤルティ向上には、お客さまの声を聞くだけでなく、お客さまの行動を観察し、「声なき声」を聞くことが重要であると思っています。実際に、ホームページの改善活動のために、ユーザーの行動観察調査を行っていますし、メンバーにも、そのための専門的なスキルを身に付けてもらっています。また、デザイン思考などの手法を取り入れて、お客さまの潜在的なニーズに迫るような取り組みも実施しており、試行錯誤しながら進めています。

山田 : また、CXの社内浸透にも力を入れています。当社がCXに取り組む意義を理解するためのツールとして、マンガの小冊子や動画を作成し、社員への配布・配信を行っています。CXが何故重要なのか、保険会社である当社としてどのような取り組みを進めていくべきか、をわかりやすく表現しています。これに対する反響として、「もう少し詳しく知りたい」「勉強会を実施してほしい」等の声もでてきていますので、これに応えていくことで、さらに理解を深めていけるよう、日々進めてきています。

NPSを活用し「保険といえば東京海上日動」という世界観を目指す

―最後に、NPSへの今後の期待についてお伺いさせてください。

伊藤 : 顧客ロイヤルティを向上させていく上で、NPSはひとつの手段として非常に有効なものでないかと思っています。代理店型自動車保険での1位に甘んじることなく、保険業界全体で1位を目指し、「保険といえば東京海上日動」と思っていただける世界観を作るために、NPSを活用していきたいと思っています。そして、今後もパートナーである保険代理店と共に、お客さまに安心を提供できる企業を目指していきたいと考えています。

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