2020/12/17

【NPSトップ企業に聞く顧客ロイヤルティ向上の秘訣2020】

電力部門 第1位 楽天でんき(楽天モバイル株式会社)様
~お客様の声に耳を傾け改善活動を続けることで、お客様にとって最もベネフィットのあるサービスを提供~

電力小売の全面自由化から4年。2018年から始まった「楽天でんき」は、独自の視点から明瞭な料金体系のシンプルな電力供給サービスを展開しています。楽天グループ全体でNPSへの取り組みが進む中、楽天のエネルギー事業サービス「楽天エナジー」においても連携を図りながら、時代と共に変わるお客様のニーズに応えるため、日々お客様の声を追いかけて、改善活動のPDCAを回しています。お客様の声にどのように耳を傾けているのか、また、顧客体験向上のために、どのように改善活動を回していらっしゃるのか、お伺いしました。

お客様のベネフィットを第一に考え、商品力に特化した電力小売サービスを提供

―「楽天でんき」はNPSベンチマーク調査電力部門で1位を受賞されました。おめでとうございます。サービスの特徴や、今回1位になられた要因について、お聞かせください。

インタビュー受け手
(右)楽天モバイル株式会社 エネルギー事業本部 プロダクト推進部 部長 兼 オペレーション企画・推進部 部長:須藤 啓様
(中右)楽天モバイル株式会社 エネルギー事業本部長:中塚 裕之様
(中左)楽天モバイル株式会社 エネルギー事業本部 セールス&マーケティング部 部長:原 朋慶様
(左)楽天モバイル株式会社 オペレーション企画・推進部 課長:加藤 康之様

中塚 : 「楽天でんき」が1位を受賞したことを、大変嬉しく思っております。
楽天は、これまでも様々な業界において、お客様にとって最もよいサービスを提供していくために、商習慣に変化を起こしてきました。「なぜ楽天が電力小売をしているのか?」と思っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、4年前に電力業界に自由化の風穴があいたことで、これまでにない、ベネフィットあるサービスをお客様に提供するチャンスが生まれました。これが「楽天でんき」誕生のきっかけとなっています。
我々のビジネスやサービスの設計思想は、「お客様にとって一番ベネフィットがあるものを提供する」ということで、常にお客様が中心となっています。こういったお客様中心の思想が、NPS1位に結び付いたと考えています。

―お客様にとって一番ベネフィットがあるのは何かという判断は、どのようにされているのでしょうか。

中塚 : 戦略的な判断としては、一番お客様にとって大事なものは、電気代をどう節約できるか、つまり「安さ」だと考えています。従来型の販売モデルにおいては中間コストがかかってきますが、我々はウェブチャネルに特化したサービスを提供しています。この結果、他社に比べてコスト構造の強さを発揮し、それをお客様に還元できていることが当社の強みであると思っています。
また、ウェブに特化したサービスは、お客様にとってわかりやすくないと選んでいただけません。対面であれば多少複雑でも説明ができますが、ウェブではパッと見てすぐ理解できる明快さが必要になってきます。結果として色々なものをそぎ落としてサービスをシンプル化したことが、わかりやすさという評価につながったと思っております。

お客様の声をもとに改善PDCAを回し、顧客ロイヤルティを向上させる

―NPSや顧客ロイヤルティ向上のために、どのようなことに取り組んでいらっしゃいますか。

須藤 : NPSについては、楽天グループ全体でも取り組みに力を入れてきていることもあり、グループとも連携しながら進めています。定期的にNPSのスコアを調査し、同時に、その背景となるお客様の声についても集めています。

: お客様の声はサービスの申し込み前の段階、申し込み頂いた直後、初回の電気料金ご請求直後の3つのタイミングでお伺いするようにしています。お申し込み前のタイミングでは、「楽天でんき」の認知度や印象を調査し、どのようにすれば申し込んでいただけるサービスになるかということを調べています。
2つ目のお申し込みを頂いた直後の調査では、お申込み頂いた理由、またお申し込みに際してウェブ上の体験について調査し、ウェブ改善につなげています。
最後の請求書が発行されたタイミングについては、「楽天でんき」が本当に安いと感じられたか、請求をされて初めてマイページを見にいくお客様もいらっしゃるので、そこの使い勝手やサービスの利用感などを聞いています。サービスの訴求ポイントや、マイページの改善に活用しています。

―NPSの活動の中では、お客様がその企業のファンになる瞬間を“モーメント・オブ・トゥルース”といって重要視しており、そこでの顧客体験の向上に注力します。貴社の強みであるウェブチャネルでの体験と、価格面が「楽天でんき」における“モーメント・オブ・トゥルース”に当たるようですね。

: まさにそうですね。お客様の声をより効果的に改善に繋げることを重視し、ウェブの評価と商品の評価をしていたただけるポイントに焦点を絞りました。請求時に申し込み時の体験を聞いても覚えていらっしゃらない場合も多いので、申し込み時、請求時、いずれも体験直後にお客様の声を集めるようにしています。

―集めたお客様の声はどのようにサービスの改善に活用されていますか。

須藤 : 基本的には現場が改善活動のPDCAをそれぞれの判断で回しています。一方で、大きな意思決定をしなければいけないところについては、当然事業長の中塚含め、その他関係者の決定を取ってから実施します。

加藤 : 例えば、コールセンター関連の改善プロジェクトも、毎月相当数があり、現場のところで裁量を持って取り組める領域はすごく多いです。業務に関わるメンバー同士で共有し合いながら改善活動をおこなっており、マーケティングや商品開発等と、適宜連携しながら進めています。

トップから現場まで、お客様の声に耳を傾ける

―改善活動の実施にあたり、コールセンターなどに集まったお客様の声も参考にされていらっしゃるのでしょうか。

加藤 : 最小粒度の分析ともいえるお客様の声、VOC分析もおこなっております。サービスのオペレーションを続けていると、どうしても専門家の目線になってきてしまうのですが、常にお客様目線を持てるよう、お客様の声に耳を傾け、サービス改善に取り組んでいます。

―お客様の声は、社内の皆様が共有されるのでしょうか。

中塚 : お客様の声が現場であると思っていますので、私自身も含め、実際にお客様の声を全員で聞くようにしています。企画サイドの社員もお客様のVOCを実際に聞いて、お客様が感じてらっしゃる不満点だとか、熱量を全員が理解、共有し、PDCAをまわしていくというところがポイントになっていると考えております。

お客様のニーズをくみ取り、顧客ロイヤルティの向上に努めていく

―今後さらに顧客ロイヤルティを向上するために取り組まれていることなど、将来の展望や期待などをお聞かせください。

中塚 : 今回、NPSで1位をいただけたというのは、我々にとって驚きでもあり、非常に嬉しいことでもありました。同時に、今のサービスが完璧だとは決して思っておりませんので、これに驕ることなく、引き続き、サービスの向上に取り組んでいきたいと思っています。特に、電力小売の全面自由化から4年が経ったことで、インフラの切り替えについて保守的だった方も切り替えのご検討をされる段階に入ってきています。今まで上手くいったことだけを続けるのではなく、色々なお客様にとってより良いベネフィットをお届けできるようなサービスになるよう、改善を続けていきたいと考えています。

NPSベンチマーク調査レポート最新版【電力(関東・関西)】

NPSベンチマーク調査レポート最新版 2021年
【電力(関東・関西)】

電力会社9社のNPS(ネットプロモータースコア)およびロイヤルティ要因についての分析レポートです。
一般電気事業者・新電力別のNPS分析や、企業からの情報発信の経験有無などについても取り上げています。
是非ご覧ください。