2023/11/30
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、ダイレクト型自動車保険業界を対象に顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSのベンチマーク調査を実施しました。有効回答者数は2,763件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象の自動車保険会社の利用者が、友人や同僚、家族にその自動車保険会社を「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
<調査対象企業(アルファベット順、50音順)>
SBI損保、アクサダイレクト、イーデザイン損保、セゾン自動車火災保険、ソニー損保、チューリッヒ保険会社、三井ダイレクト損保
ダイレクト型自動車保険7社のうち、NPSのトップはソニー損保(-11.2ポイント)、2位は三井ダイレクト損保(-27.9ポイント)、3位はイーデザイン損保(-29.1ポイント)となりました。保険金不正請求問題の報道前後での各企業のNPSには大きな変化はみられず、業界全体のNPS平均は-28.7ポイント、トップ企業とボトム企業との差は25.3ポイントとなりました。
ダイレクト型自動車保険業界全体におけるロイヤルティを醸成する要素としては、「保険商品の魅力・充実度」や「コストパフォーマンス(保障内容と保険料のバランス)」といった項目となりました。また、「事故時の初期対応、事故解決等の対応スピードの速さ・スムーズさ」や「事故発生から保険金のお支払いまでのお客様に寄り添った対応や問題の解決力」、「保険金請求手続き・支払いのスムーズさ」といった事故時や保険金請求時の対応力もロイヤルティを押し上げる要素となりました。
一方で、ロイヤルティを向上させるために優先的に改善すべき項目としては、「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」や「お客様に寄り添う姿勢、お客様の声に耳を傾ける姿勢」となりました。また、「事故解決サービスの充実度」や「自分に合った保険サービスを提案してくれる」といった項目についても、今後の改善が期待される結果となりました。
図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
ソニー損保は、「保険商品の魅力・充実度」や「事故解決サービスの充実度」といった商品性に関する項目に加え、「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」や「お客様に寄り添う姿勢、お客様の声に耳を傾ける姿勢」がロイヤルティに影響を与える結果となり、NPSおすすめランキング1位につながりました。2位の三井ダイレクト損保は「コストパフォーマンス(保障内容と保険料のバランス)」や「申込や住所変更などの手続きの簡単さ」において、3位のイーデザイン損保は「契約者の安全運転の促進や交通事故を未然に防ぐ取り組み」や「交通・運転データを活用し、社会全体の交通事故を削減する取り組み」において高い評価を獲得しました。
対象の自動車保険会社で契約更新をしたことがある契約者に対し、更新のタイミングに受けた説明や提案の内容を調査したところ、ダイレクト型自動車保険においては「現状の契約内容(請求条件など)の確認」(29.6%)が最も高く、次いで「更新に伴う保険料の変更についての説明」(26.4%)、「現在の契約内容の見直しの提案」(20.4%)が続きました。また、事業種別で比較すると、代理店型自動車保険のほうがダイレクト型自動車保険よりも更新時に説明や提案を受けた割合が高く、特に「更新に伴う保険料の変更についての説明」においては顕著な差がみられました。
図:事業種別の契約更新のタイミングに受けた説明や提案の内容
契約更新タイミングでの契約内容の説明や提案の有無別NPSを分析したところ、説明や提案を受けた契約者は、そうでない契約者と比較してNPSが高い傾向がみられました。ダイレクト型自動車保険においては、代理店型自動車保険と比べて更新タイミングでの説明や提案は少なくなっているものの、マイページやアプリでの通知・連絡といった、担当者以外のコミュニケーション手段を通じた、説明や提案の重要性が示唆されました。
図:契約更新のタイミングでの説明や提案の有無別NPS
自動車保険各社において、契約者の安全運転をサポートし交通事故の削減につなげる、安全運転支援サービスの提供が進められています。そこで、自動車保険会社が提供する安全運転支援サービスの利用経験を調査したところ、いずれかの安全運転支援サービスを利用しているのは全体の12.7%にとどまりました。一方で、「今後いずれかの安全運転支援サービスを利用したい」と回答した契約者は20.2%となり、現状の利用率と比較して高くなりました。また、安全運転支援サービスを今後利用したいと回答した契約者のうち、具体的な利用したいサービスについても分析したところ、最も高いのは「安全運転状況に応じた保険料の割引やポイントの付与」(42.1%)となり、次いで「ドライブレコーダーやスマホアプリによる安全運転診断・運転サポート」(33.7%)が続きました。いわゆる運転行動連動型(PHYD:Pay How You Driveの略)のテレマティクス保険サービスの利用意向が高い結果となりました。
図:安全運転支援サービスの利用意向率
また、安全運転支援サービスの利用者を対象に、安全運転支援サービスの利用を通じて自身の安全運転意識が高まったり、事故防止につながっていると感じるかを調査したところ、「とてもそう感じる」が11.4%、「ややそう感じる」が43.4%と、半数以上が安全運転意識が高まった回答しました。特にNPS上位企業においては、安全運転意識が高まった割合が高くなりました。また、安全運転意識の変化別にNPSを分析したところ、安全運転意識が高まったと回答した契約者のNPSは24.7ポイントと、そうでない契約者と比較してNPSが非常に高くなりました。安全運転サービスの利用を通じて、実際の安全運転につながり、ロイヤルティにも寄与することがうかがえる結果となりました。
左図:安全運転支援サービスの利用を通じた安全運転意識の変化
右図:安全運転支援サービスの利用を通じた安全運転意識の変化別NPS
対象のダイレクト型自動車保険会社において、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、 「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者) は平均9.5ポイント、 「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均7.7ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均6.0ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となる結果となりました。
図:推奨セグメント別継続利用意向
【ダイレクト型自動車保険】
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。