2023/06/08
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社は、生命保険業界を対象に顧客ロイヤルティを測る指標であるNPSベンチマーク調査を実施しました。有効回答者数は5,891件でした。
※NPSのベンチマーク調査を通じて、対象の生命保険の契約者が、友人や同僚、家族にそのサービスを「どのくらいおススメしたいか」が分かります。
<調査対象企業(アルファベット順、50音順)>
SOMPOひまわり生命、アクサ生命、アフラック、オリックス生命、かんぽ生命、住友生命、ソニー生命、第一生命、東京海上日動あんしん生命、日本生命、プルデンシャル生命、明治安田生命、メットライフ生命
対象の生命保険13社のうち、NPSのトップはプルデンシャル生命(-30.7ポイント)となりました。2位はソニー生命(-34.7ポイント)、3位は東京海上日動あんしん生命(-36.3ポイント)でした。対象13社のNPS平均は-45.8ポイント、トップ企業とボトム企業の差は25.4ポイントとなりました。
生命保険業界におけるNPS平均の7年間の推移を比較したところ、2017年の-52.4ポイントから6.6ポイント向上しました。生命保険各社におけるNPSの導入が進む中、ボトム企業におけるNPSの向上もみられ、業界平均のNPSが向上している傾向となりました。
図:業界全体のNPSの経年推移
業界全体のNPSが向上している背景について分析をしたところ、2020年の調査と比較すると、「マイページ・契約者ページの使いやすさ・分かりやすさ」が与えるロイヤルティへの影響度が年々高まっており、NPS向上の要因の一つになったとみられます。
図:「マイページ・契約者ページの使いやすさ・分かりやすさ」がロイヤルティに与える影響度の変化
(※「マイページ・契約者ページのわかりやすさ・使いやすさ」の項目は2020年から聴取)
このほか、生命保険業界におけるロイヤルティの醸成につながる要因としては「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」や「保険商品の魅力」、また「お問い合わせ時の応対の良さ」といった項目となりました。
一方でロイヤルティを向上させるために優先的に改善すべき項目としては、「企業の寄り添う姿勢やお客様の声を大事にする姿勢」や、「加入後のアフターフォローの手厚さ」、「自分に合った保険サービスを提案してくれる」といった生命保険会社の企業姿勢やアフターフォローなどの対応面のほか、「特約の充実度」や「Webサイトでの商品説明のわかりやすさ」となり、今後の改善が期待される結果となりました。
図:業界全体のロイヤルティ要因分析(ドライバーチャート)
※詳細はダウンロード資料をご参照ください:https://www.nttcoms.com/service/nps/report/lifeinsurance/inquiry/
NPS1位となったプルデンシャル生命においては、「自分に合った保険サービスを提案している」のほか、「担当者の対応の良さ」や「担当者の説明のわかりやすさ」、「担当者からの中立的なアドバイス・リスクやデメリットに関する説明」といった担当者に関連する項目がロイヤルティを醸成する要因となりました。2位となったソニー生命においては、「企業の寄り添う姿勢・お客様の声を大事にする姿勢」や「企業イメージ・ブランドイメージの良さ」が、また3位の東京海上日動あんしん生命は「保険商品の魅力」、「特約の充実度」といった商品性がそれぞれ評価される結果となりました。
ロイヤルティの醸成要素でもあるマイページ(契約者ページ)の利用経験について調査したところ、全体の14.0%がマイページ利用したことがある結果となりました。またマイページ利用者と未利用者別にNPSを分析したところ、マイページ利用者のNPSは-19.4ポイントとなり、未利用者のNPSより高くなりました。
図:マイページ利用有無別NPS
マイページの利用有無別での満足度項目についても分析したところ、いずれの項目においてもマイページ利用経験がある契約者の方が満足度項目が高くなりました。マイページ・契約者ページに関連した4つの項目で分析したところ、最も大きな差となったのは、業界全体の課題項目でもある「Webサイトでの商品説明のわかりやすさ」となりました。このほか「加入後のアフターフォローの手厚さ」、「申込や住所変更などの手続きの簡単さ」、「健康増進や健康への関心を促進させる取り組み」も非利用者の満足度を上回っており、マイページの利用により、保険商品の理解や利便性の良さが評価されていることがうかがえる結果となりました。
図:マイページ利用有無別満足度平均
生命保険会社においては近年契約者の健康増進に向けて健康増進を意識した保険商品の提供や、健康に関するイベントの開催、スマートフォンアプリでの健康管理サービスの提供などの取り組みを進めています。これら生命保険会社が提供している健康増進への取り組みについてどの程度知っているか調査をしたところ、「知っている(よく知っている/ある程度知っている/聞いたことがある)」と回答した契約者は全体の45.4%となり、前年から3.4%増加しました。
対象の生命保険会社が提供する健康増進への取り組みを経験したことがある契約者は全体の33.5%となりました。これらの契約者に対して、生命保険会社が提供する健康増進への取り組みを通して自身の健康に気を遣うようになったか調査したところ、「そう思う(非常にそう思う/そう思う)」と回答した契約者は61.0%となりました。また、これらの印象別にNPSを分析したところ、「非常にそう思う」と回答した契約者のNPSは35.0ポイント、「そう思う」と回答した契約者も-21.6ポイントと高くなりました。生命保険会社による健康増進への取り組みを通して、自身の健康に関心を持ってもらうことの重要性がうかがえる結果となりました。
上図:健康増進の取り組み経験による健康増進への意識変化
下図:健康増進への意識変化別NPS
生命保険会社の営業職員から、自分の友人や知人を、その担当者に紹介してほしいという依頼を受けたことがあるか調査したところ、全体の13.7%が「紹介の依頼を受けたことがある」と回答しました。
また紹介の依頼を受けたことがある契約者に、紹介依頼を受けてその気持ちに変化があったか調査したところ、34.2%の契約者が「紹介したい気持ちが高まった(とても高まった・高まった)」と回答しました。
一方で8.9%の契約者が紹介したい気持ちが「下がった(とても下がった・下がった)」と回答する結果となりました。
対象の生命保険会社のNPSと、各社の2016年度から2021年度までの「保有契約高(金額)」の年平均成長率を分析したところ、NPSが高い企業においては、保有契約高の年平均成長率も高い傾向にあり、NPSと企業の成長との相関が高い傾向がみられました。
図:NPSと保有契約高の年平均成長率
(※保有契約高の年平均成長率は各社2016年度~2021年度の決算関連資料を参照)
対象の生命保険会社において、今後の継続利用意向を0~10の11段階でたずねたところ、 「推奨者」(推奨度が「9」~「10」の回答者) は平均9.4ポイント、 「中立者」(推奨度が「7」~「8」の回答者)は平均7.8ポイント、「批判者」(推奨度が「0」~「6」の回答者)は平均5.7ポイントとなり、推奨度が高いほど継続利用意向も高くなる結果となる結果となりました。
図:推奨セグメント別継続利用意向
【生命保険】
Net Promoter®およびNPS®、Predictive NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。
また、eNPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の役務商標です。