2019/12/11

市場動向

【海外最新イベントレポート】「Salesforce Dreamforce 2019」AIとデータ統合により実現可能となる新たな顧客体験

2019年11月19日から11月22日迄の期間、Salesforce主催の「Dreamforce2019」が米国のサンフランシスコで開催され、本年もNTTコム オンラインのメンバーが参加しました。
世界最大規模のソフトウェアカンファレンス「Dreamforce2019」では、2,700以上のセッションでSalesforceの製品機能や幅広いユーザー事例が紹介され、革新的な実践方法を学ぶことができます。
Dreamforceを通じて見えてきたマーケティングソリューションの最新トレンドをご紹介します。

【1】会場の雰囲気

Dreamforceでは世界中のSalesforceユーザーやパートナーがサンフランシスコへ集まり、最新のユーザー事例、革新的なマーケティングテクノロジーの情報収集・情報交換に取り組みます。
街はSalesforceロゴやキャラクターで彩られ、さながらお祭りのように賑やかな雰囲気で包まれています。
会場の中に入ると「Customer 360」や「Einstein」、「Integration」、「Analytics」などのカテゴリーで纏められたブースで構成され、効率的に興味のある情報を収集できるように配慮されています。

会場の雰囲気

【2】AI機能の活用領域拡大

AI機能の活用領域拡大

SalesforceのAI機能のブランド名であるEinsteinの名を冠する機能発表が続いており、今年は「Voice」をテーマとした新たな機能の紹介がありました。
既存のSalesforce各プロダクトでも着実にAI機能の活用領域が拡大しています。

●AIの発展により、入力インターフェースとして声を活用する時代に

コンピューターを利用する主な入力インターフェースが、時代とともにコマンドライン入力からマウス操作、スマートフォンなどのタップ操作を経て、声(Voice)を使った対話型インターフェースへと進化しています。
「Einstein Voice Assistant」は、Salesforceより提供されるモバイルアプリに音声機能として話しかけてSalesforceにメモを追加するなど、作業効率向上を支援します。
また、更なる拡張性として紹介された「Einstein Voice Skills」では、Alexaなど他社の提供する音声インターフェースデバイスへSalesforce機能を組み込むことを可能とします。

●Salesforce各プロダクトではAI機能の活用領域が拡大

AIを活用した新たな機能が各プロダクトへ実装されています。いくつかピックアップしてご紹介します。

  • Marketing Cloud 「Einstein Content Selection」・・・メールに掲載するコンテンツの内容をAI機能で自動選択する機能
  • Service Cloud 「Einstein Article Recommendations」・・・発生した問合せケースに対して最適な記事のレコメンドを行う機能
  • Commerce Cloud 「Einstein Designer」・・・AI機能により、商品掲載画面デザインをパーソナライズして自動表示する機能

個別セミナーの中では、「現在はAIが前面に打ち出されているが、定着化に伴いAI機能は当たり前のものとして扱われ裏側に隠れることになるだろう」と説明がありました。
今後、急速にAI機能の活用が業務へ浸透し、定着していくことが見込まれています。

【3】データ統合による一貫した顧客体験の構成

データ統合による一貫した顧客体験の構成

テクノロジーの進化によりデータ統合の実現可能性が高まり、デジタルトランスフォーメーションを目標に掲げる企業で導入が進んでいます。
その中からデータ統合に関わるトピックスを3つ紹介いたします。

●SSOT(信頼できる唯一の情報源)の構築

「Single Source of Truth(SSOT:信頼できる唯一の情報源)」というキーワードも基調講演や各セミナーで繰り返し強調されました。
サイロ化したデータを統合、一元管理し、一貫性のあるパーソナライズされた顧客体験を実現することの重要性が説かれ、ユーザー事例でも「Customer 360」を導入した各企業から自社のブランドメッセージをカスタマージャーニーの中で最適に発信できることを具体的なユースケースを例示して発表されました。

●誰もがシステムの統合やデータの一元化を設定可能に

データ統合の機能を担う「MuleSoft」の展示ブースでは実際にデータ統合を行うためのデータソース設定、マッピング設定などがデモンストレーションで紹介されました。
誰もがシステムの統合やデータの一元化を行えるよう、予め準備されたコネクターによるコード記述の必要ない設定機能が強化されています。

●データ統合におけるオープンソースデータモデルの重要性

データ統合の領域では、エコシステムを構成するサービス、システム間の相互運用の継続性が課題となるため、解決策としての標準化データモデル作成について、Salesforceより新たな発表がありました。
新しい標準化データモデルである「Cloud Information Model」(CIM)は、Salesforceプロダクトのデータ統合に留まらず、顧客体験向上のためにエコシステムを構成するパートナーを拡大する展望を描いており、初期リリースからAmazon Web Services(AWS)などのパートナー企業と連名で発表されています。

以上がイベントのトピックですが、全体として「Customer360」のコンセプトで描く未来が初夏のイベント時とくらべて他企業を巻き込みながら着実に前に進んでいるということを実感しました。
AI活用も未来のものではなく、まさに今施策として検討、チャレンジできる時期にあり益々注目が集まっています。
NTTコム オンラインでは今後も最新のマーケティングテクノロジー情報を取り入れ、貴社のデジタルマーケティングの成功をご支援いたします。

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