お知らせ 2022年6月21日
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
NTTコム リサーチ結果 (No.252)
「購買行動」に関する調査結果
~オンライン店舗とリアルな場との「ハイブリッド型」購買パターンがオンライン購買を促進する~
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江)が運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」 (*)は、登録モニターのうち全国20歳以上の男女を対象に、「購買行動」について調査を実施しました。有効回答者数は1,078名でした。
総括
本調査では、2020年3月頃より始まった新型コロナウィルスの感染拡大防止対策として、不要不急の外出自粛等で行動が制限されたことが購買行動にどのような変化を与えたか、を商品別に調査した。
結果、コロナ禍で「インターネットで買物をすることが増えた」と32.4%が回答した。商品別では、衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨で、オンライン店舗を主な購買場所とする割合が20.3%から28.6%に増加するなど、日用品等をはじめ調査を行った12の商品群*のうち9の商品で、購入場所をリアル店舗からオンライン店舗にシフトしている傾向が見られた。
一方で、コロナ禍においても、食料品や日用品の購買は「小売店や専門店」などリアル店舗が最も多い。オンライン店舗での購買を行わない理由は「配送料がかかる」(36.3%)、「実物の確認ができない(商品やサービスの情報が十分でない)」(32.7%)が上位である。オンライン店舗の利用が増えているが、未だオンライン店舗はリアル店舗の補完的な位置づけであることがわかる。今後は、商品の確認と購買で店舗を使い分ける「ハイブリッド型」の購買パターンが、オンライン購買利用を促すカギになるといえる。
*12の商品群:「衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨」「本、雑誌」「医薬品、化粧品」「水・ジュース・酒類等の飲料」「洗剤、ペーパー類などの日用品」「PC、扇風機、電子レンジなどの中・小型家電」「冷蔵庫、テレビ、洗濯機などの大型家電」「DVD、CD、ゲームなどのデジタルコンテンツソフト」「惣菜、弁当などの中食」「生鮮食品(肉・魚・青果)、冷凍食品などの食料品」「コンサート、遊園地などのエンターテイメントのチケット」「旅行、交通系のチケット」
調査結果のポイント
(1) コロナ禍における購買行動の変化として最も多かった回答は、「具体的な目的のない買物のために出かけることを控えるようになった」。
コロナ禍の影響で変化した購買行動について訊いたところ、「具体的な目的のない買物のために出かけることを控えるようになった」が64.0%、「商品を購入する場所の感染防止対策を気にするようになった」、「日常生活に不要と思われる買物を控えるようになった」が61.7%となった。「衣料品、靴、鞄などの服飾雑貨を購入することが減った」(50.5%)、「外食の代わりに、家で料理をすることが増えた」(50.3%)と続く。また、32.4%が「インターネットで買物をすることが増えた」と回答した。
(2) コロナ禍前と比較して、最も多く利用する商品の購入場所をインターネット上のオンライン店舗とする割合が増加し、購入場所をリアル店舗からオンライン店舗にシフトしている傾向。特に、衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨や本・雑誌で増加が目立つ。
商品別に、コロナ禍前後で、最も多く利用する購入場所の変化について調査した。全般的に購入店舗をリアル店舗からインターネット上のオンライン店舗にシフトしているケースが多い。最も多く購入する場所をオンライン店舗とした割合の変化は、衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨が20.3%から28.6%、本・雑誌が29.4%から36.8%となり、特に増加傾向が大きい。
またコロナ禍における行動制限の影響で、コンサートや遊園地などのエンターテイメントや旅行のチケットを購入する機会が減少したようだ。チケット類の購入に関しては、コロナ禍前よりインターネット上のオンライン店舗での購入が最も多く、コロナ禍で発生したチケット類の購買についても、引き続きその傾向が見られる。そもそも電子チケットがコロナ禍より前から普及しており、インターネット販売との相性の良さが影響していると考えられる。
(3) インターネットを利用して、月1回以上商品・サービスを購入すると回答した人は79.3%。30代の割合が一番高い。
79.3%の回答者が月1回以上商品・サービスを購入する。20代の4.5%、30代の4.9%の回答者が、ほぼ毎日インターネットを利用して商品・サービスを購入すると回答しており、日常的な買物をインターネットで行っている若年層が一定数存在すると推測できる。頻度は年齢層が高くなると低くなる傾向にあるが、高年齢層においてコロナ禍において購買場所をインターネット上に変えた層も存在することから、高年齢層に向けたインターネット販売の需要がポテンシャルとして潜在することが伺える。
(4) インターネット上の店舗で商品を購買しない回答者が考えるデメリットは「配送料がかかる」。
インターネット上の店舗で商品を購買しない回答者に、インターネット上の店舗で商品を購入するデメリットについて訊いた。「配送料がかかる」と回答した人が36.3%で一番多く、32.7%の「実物の確認ができない(商品やサービスの情報が十分でない)」、26.0%の「インターネットを利用しないでも、満足できる購入場所がある」が続く。インターネットでの購買を利用しない層のインターネット購買利用を促すには、配送料と実物の確認を工夫する必要がありそうだ。
調査概要
調査対象 | 「NTTコム リサーチ」登録モニター |
---|---|
調査方法 | 非公開型インターネットアンケート |
調査期間 | 令和4年2月25日(金)~3月1日(火) |
有効回答者数 | 1,078名 |
回答者条件 | 20歳以上の全国男女 |
回答者の属性 |
《 補足 》
■「NTTコム リサーチ」
https://www.nttcoms.com/service/research/
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(http://www.nttcoms.com/)が提供する高品質で付加価値の高いインターネットリサーチ・サービスです。
自社パネルを保有するとともに、「モニターの品質」「調査票の品質」「アンケートシステムの品質」「回答結果の品質」の4つを柱とした「クオリティポリシー」に基づく徹底した品質確保を行い、信頼性の高い調査結果を提供するインターネットリサーチとして、多くの企業・団体に利用されています。
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
マーケティング・アナリティクス部
URL: http://www.nttcoms.com/
メールアドレス:research-info@nttcoms.com
調査結果データ
(1) コロナ禍における購買行動の変化として最も多かった回答は、「具体的な目的のない買物のために出かけることを控えるようになった」。
コロナ禍の影響で変化した購買行動について訊いたところ、「具体的な目的のない買物のために出かけることを控えるようになった」が64.0%、「商品を購入する場所の感染防止対策を気にするようになった」、「日常生活に不要と思われる買物を控えるようになった」が61.7%となった。「衣料品、靴、鞄などの服飾雑貨を購入することが減った」(50.5%)、「外食の代わりに、家で料理をすることが増えた」(50.3%)と続く。【図1】
(2) コロナ禍の影響で「インターネットで買物をすることが増えた」、「ネットスーパーを利用することが増えた(使い始めた)」とした回答者が、最も多くインターネット上で購買するようになった商品は、水、ジュース、酒などの飲料。洗剤、ペーパー類などの日用品、衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨および生鮮食品(肉・魚・青果)、冷凍食品などの食料品が、続く。
コロナ禍の影響で「インターネットで買物をすることが増えた」とした回答者は32.4%、「ネットスーパーを利用することが増えた(使い始めた)」としたのは14.6%だった。インターネット上での購買が増えた対象の商品は、水、ジュース、酒などの飲料が44.3%、洗剤、ペーパー類などの日用品が36.1%、衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨および生鮮食品(肉・魚・青果)、冷凍食品などの食料品が、共に34.5%、本・雑誌が31.7%となった。【図1、2】
(3) コロナ禍前と比較して、最も多く利用する商品の購入場所をインターネット上のオンライン店舗とする割合が増加し、購入場所をリアル店舗からオンライン店舗にシフトしている傾向。特に、衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨や本・雑誌で増加が目立つ。
商品別に、コロナ禍前後で、最も多く利用する購入場所の変化について調査した。全般的に購入店舗をリアル店舗からインターネット上のオンライン店舗にシフトしているケースが多い。最も多く購入する場所をオンライン店舗とした割合の変化は、衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨で20.3%から28.6%、本、雑誌で29.4%から36.8%、医薬品・化粧品は11.5%から16.9%となり、特に増加傾向が大きい。またコロナ禍における行動制限の影響で、コンサートや遊園地などのエンターテイメントや旅行のチケットを購入する機会が減少していた。チケット類の購入に関しては、コロナ禍前よりインターネット上のオンライン店舗での購入が最も多く、コロナ禍で発生したチケット類の購買についても、引き続きその傾向が見られる。そもそも電子チケットがコロナ禍より前から普及しており、インターネット販売との相性の良さが影響していると考えられる。
【図3-0~図3-12】
*注)以下、サンプルグラフとして一部商品についての調査結果のグラフを表示しています。その他の商品についての調査結果はダウンロードで確認ができます。
商品別購買場所の変化 ~衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨~
商品別購買場所の変化 ~医薬品、化粧品~
(4) 購買場所を決定する理由として「近所にあるから」が一番多かった商品は食料品、中食、飲料、日用品など。「価格が安いから」は衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨、家電など。「慣れているから」はエンターテイメントのチケット。
商品を購入する場所を決定する理由ついて商品別に調査したところ、食料品は76.1%、中食は66.8%、日用品は63.9%、医薬品・化粧品は54.6%で「近所にあるから」の理由が最多となった。また、衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨は33.7%、大型家電は40.2%、中・小型家電は43.8%で「価格が安いから」が一番多かった。旅行、交通系のチケットやコンサート、遊園地などのエンターテイメントのチケットについては、「その他」の回答を選択し「購入しない」とコメントした回答者が多数あった。チケット系については、「慣れているから」が他の商品と比較して多い。コンサート、遊園地などのエンターテイメントのチケットについては、「慣れているから」が最も多い。インターネット上のオンライン店舗での購入が普及していることと関係があることが推測できる。【図4-1~12】
*注)以下、サンプルグラフとして一部商品についての調査結果のグラフを表示しています。その他の商品についての調査結果はダウンロードで確認ができます。
商品別購買場所を決定する理由 ~衣料品、靴・鞄などの服飾雑貨~
商品別購買場所を決定する理由 ~医薬品、化粧品~
(5) インターネットを利用して、月1回以上商品・サービスを購入すると回答した人は79.3%。30代の割合が一番高い。
79.3%の回答者が月1回以上商品・サービスを購入する。20代の4.5%、30代の4.9%の回答者が、ほぼ毎日インターネットを利用して商品・サービスを購入すると回答しており、日常的な買物をインターネットで行っている若年層が一定数存在すると推測できる。頻度は年齢層が高くなると低くなる傾向にあるが、高年齢層においてコロナ禍において購買場所をインターネット上に変えた層も存在することから、高年齢層に向けたインターネット販売の需要がポテンシャルとして潜在することが伺える。【図5-1、図5-2】
(6) インターネット上の店舗で商品を購買する回答者が考えるメリットで最も高かったのは「荷物を運ぶ必要がない」。
インターネット上の店舗で商品を購買する回答者に、インターネット上の店舗で商品を購入するメリットについて訊いたところ、56.0%が「荷物を運ぶ必要がない」と回答した。半数以上が「営業時間を気にしなくてよい」、「時間・労力が節約できる」、「実店舗に行かなくてよい手軽さ」を、メリットとして挙げた。「価格の比較がしやすい」は46.3%、「価格が安い」は45.7%。商品の価格に関するメリットよりも、利便性にメリットを感じる傾向があることがわかる。重量のある飲料や洗剤、嵩張るペーパー類などの日用品をインターネット上の店舗で購入することをメリットと感じる層が、購買場所をインターネット購買へシフトしているといえそうだ。【図6】
(7) インターネット上の店舗で商品を購買する回答者が考えるデメリットで最も多かったのは「実物の確認ができない(商品やサービスの情報が十分でない)」。
インターネット上の店舗で商品を購買する回答者に、インターネット上の店舗で商品を購入するデメリットについて訊いた。実物の確認ができないことをデメリットとする人が最も多く、62.5%に上った。どこで買っても品質が同じであるチケット類、家電や本・雑誌、飲料などはインターネット上の店舗での商品の購買との相性が良いといえるであろう。【図7】
(8) インターネット上の店舗で商品を購買しない回答者が考えるデメリットは「配送料がかかる」。
インターネット上の店舗で商品を購買しない回答者にも、インターネット上の店舗で商品を購入するデメリットについて訊いた。「配送料がかかる」と回答した人が36.3%で一番多く、32.7%の「実物の確認ができない(商品やサービスの情報が十分でない)」、26.0%の「インターネットを利用しないでも、満足できる購入場所がある」が続く。インターネットでの購買を利用しない層のインターネット購買利用を促すには、配送料と実物の確認を工夫する必要がありそうだ。そのような観点から、実店舗に行って商品を確認し、配送料が工夫されたインターネット上の店舗で購入するという、商品の確認と購買で店舗を使い分ける「ハイブリッド型」の購買パターンが、販売戦略上において一定の意味を持つことが推測できる。【図8】