[ニュースリリース] 再就職希望の女性と雇用側の意識格差に関する調査結果 ~専門的学習や他者との問題意識共有や協働を目的に大学での学び直しにも期待の声~

2015年12月11日

  NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長:塚本 良江、以下NTTコム オンライン)と実践女子大学人間社会学部准教授 斎 藤明(以下、斎藤明研究室)は、NTTコム オンラインが運営するインターネットアンケートサービス「NTTコム リサーチ」の登録モニターのうち、就業経験はあるが現在働いてない再就 職希望の女性、および企業の採用担当者の方を対象に、就業希望側と雇用側での意識格差に関する現状や再就職に向けた学習について調査を実施しました。有効回答者数はそれぞれ再就 職を希望の女性が304名、企業の採用担当者の方が160名でした。
  尚、本調査は実践女子大学 斎藤明研究室が財団法人日本SOHO協会からの研究助成を受けた研究の一部になります。

調査結果の詳細:https://research.nttcoms.com/database/data/002009/

<総括>

  子育て等の理由で現在未就業でありながら再就職を希望する女性にとって、仕事の条件面や子供と仕事の両立について不安を感じている傾向がみられる。女性側は「パソコン操作」「 外国語」などに学びたい意欲があるが、企業側は「コミュニケーション能力」や「ビジネスマナー」「プレゼンテーション能力」などのスキルを求める傾向で、再就職希望の女性の学習 意向スキルと、雇用側企業が求めるスキルとの間でミスマッチが生じている。企業側は正社員を採用したい意向が高く、社員に対しては「行動特性や業務の遂行能力」として、「自己成 熟性」や「組織・チームワーク力」「対人・営業活動スキル」なども求めていることから、再就職にはそれら能力についてのスキルアップも考慮すべきであることが推察される。
  能力・スキルを習得したい場所として「書籍、教材」「通信講座」「資格スクール」が高いが、『正社員』で就業したい方の回答には「大学・大学院」での学習意向もみられる。上記 の場所では学習が難しい、より専門的な知識や他者との問題意識共有や協働による学習の場所として、大学への期待が伺える。
  女性の半数は自宅にいながらSOHO形式での就業を希望しているものの、企業側の導入意向は、「既に導入済み」(4.4%)、「この先検討予定」(20.0%)を合わせて24.0%程度にとどまり、 大半の企業が予定はなく、両者間でニーズが釣り合っていない状況が伺える。

<調査結果のポイント>

(1)再就職にあたっては、職場環境や子供と仕事の両立についての不安を感じている傾向
  以前に就業経験があり現在未就業だが今後働きたい女性にとって、「子育て」(50.7%),「働きたいが仕事がない」(29.6%),「働くためのスキルがない」(15.5%)等の理由が再就職 への妨げとなっている傾向がみられる。再就職を考えるのにあたり、『正社員』を希望する方は「職場に馴染めるか」「希望の収入が得られるか」等の仕事の環境・条件面に対する不安 を、『契約・派遣社員』を希望する方は「子供が病気の際の対応」「子供の預け先がない」等の子供と仕事の両立についての不安を感じている傾向がみられた。

(2)希望する就業形態においても未就業女性と雇用側の希望に大きな開きがみられる
  現在未就業の女性で前職は「正社員:役職なし」が最も高い(57.6%)が、再就職で希望する就業形態では「希望はない」(38.5%)が最も高く、「正社員:役職なし」の希望は34.9%で、 前職との比較で22.7ポイントも減少する。一方、雇用側の人事担当の意見としては、女性の再就職で想定する雇用形態について、「正社員」でかつとりわけ「役職が付く職位」での採用 も想定している傾向がみられ、就業希望側と雇用側双方の希望に大きな開きがある結果となっている。

(3)企業側と再就職希望の女性との間で求めるスキルとコンピテンシーにミスマッチが生じている
    企業側が求めるスキルとしては「コミュニケーション能力」「ビジネスマナー」などが高く、以下も「データをまとめるスキル」「プレゼンテーション能力」「人事、労務関連」「 経理、財務関連」などで、再就職を希望の女性との間にミスマッチが生じている。再就職をするには、企業側が求める能力についてのスキルアップも考慮すべきであることが推察される 。
  さらに再就職希望で特に正社員に対しては、「行動特性や業務の遂行能力(コンピテンシー)」として「自己成熟性」(71.4%)や「組織・チームワーク力」(68.4%)、「対人・営業 活動スキル」(61.2%)を求める数値が高い結果となった。

(4)「コミュニケーション」「プレゼン」能力などにも能力不足を感じるものの、学習意欲が高くない傾向
  再就職に向けて、不足と感じ今後学びたい能力・スキルを聞くと、「パソコン操作」が55.9%と最も高く、以下「外国語」(30.6%)、「タイピング能力」(24.3%)と続く。不足スキル と今後学びたいスキルについての数値の差をみると、上記項目以外に「コミュニケーション能力」や「ビジネスマナー」「プレゼンテーション能力」などの項目についても、不足スキル と今後学びたいスキルの間に数値差が大きい傾向があり、能力不足を感じているものの、学習意欲は高くない項目であることが伺える。
  能力・スキルを習得したい場所としては、「書籍、教材」「通信講座」「資格スクール」の順で高くなっているが、『正社員』で就業したい方の中には「大学・大学院」での学習意向 がみられる。「大学で研究された上でのより専門的な知識を得られる」「年齢層の近い人がより多く、同じ問題意識や感覚が共有できそう」など、他者との問題意識共有や協働を目的と した学び直しの場所として大学に期待している傾向も伺える。

(5)企業側半数が「再雇用後の社内制度・環境」に課題を認識、SOHOの業務委託も大半が予定なし
  子育て・介護をしながら働く女性に対する企業側のサポート制度としては「勤務時間の短縮制度」(64.4%)が最も高く、「休暇取得制度」(50.6%)、「遅刻、早退の許可」(41.3%) と続き、『従業員500人以上』の大企業ではそれに加えて「在宅勤務」や「託児所設置」などの制度が充実していることが分かる。
  一方、未就業女性を再雇用する場合の課題として「特に課題はない」が半数(54.4%)であるものの、残り半数は「再雇用」と「復職後の社内制度や環境」に対し何らかの課題を感じて おり、特に全体との比較で大企業においてその割合が高い傾向がみられた。また企業での(SOHO形式での)業務委託の導入意向については、大企業で導入意向が34%と若干高いものの、 「既に導入済み」「この先検討予定」を合算しても全体では24.4%にとどまっており、「予定はない」と回答した企業が大半を占めた。

調査概要

・調査対象: 「NTTコム リサーチ」登録モニター
・調査方法: 非公開型インターネットアンケート
・調査期間: 平成27年10月14日(水)~平成27年10月16日(金)
◆現在未就業女性 : 有効回答者数: 304名
回答者の属性:【同居家族】:配偶者:87.8%、子供:65.1%、親(配偶者の親も含む):18.8%、祖父母(配偶者の祖父母も含む):1.6%、兄弟姉妹(配偶者の兄弟姉妹も含む):4.3%、 同居家族なし(1人暮らし):2.0%
【世帯年収】:400万円未満:21.1%、400万円~700万円未満:41.7%、700万円以上:24.0%、不明:7.2%、未回答:5.9%

◆企業採用担当者  :  有効回答者数: 160名
回答者の属性:【業種】:人事企画:73.8%、採用関連:93.1%、人事制度関連、働き方の支援業務:71.3%、教育、研修関連:68.8%、評価関連:59.4%、労務関連:63.1%、その他 :1.3%
【従業員数】:10~50人未満:25.0%、50~100人未満:18.1%、100~200人未満:17.5%、200~500人未満:10.0%、500~1,000人未満:8.8%、1,000~2,000人未満:6.9%、2, 000~5,000人未満:4.4%、5,000人以上:9.4%

本調査に関するお問い合わせ先

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
リサーチ&CRM本部

03-4330-8402

research-info@nttcoms.com

https://www.nttcoms.com/