CVRとは、Conversion Rate(コンバージョン率)の略で、日本語では顧客転換率や成約率と表現されます。
例えば、サイトの訪問数100のうち、1件の商品購入が発生した場合、CVRは1%になります。
この記事では、Webマーケティング施策の成果を測る重要な指標の一つであるCVRについて、
必要な知識をわかりやすく解説します。
多くのWebサイトは、サイトを訪問したユーザーに何かしらのアクションを起こしてもらうことを目的に作られています。CVRは、サイトやページを訪れたユーザーが、そのサイトが成果と定めているアクション(商品購入や資料請求など)をどれだけ起こしてくれたかを測る指標です。CVRを正しく計測してサイトやページを改善していくことは、Webマーケティングにおいて重要です。
CVRを計測するとWebページごとのパフォーマンスの成果を図れるので、どのページを優先的に改善するべきか把握できます。CVRが低い場合、セッション数(ユーザーがWebサイトにアクセスした回数)の向上ではなく、サイト内での商品・サービスの見せ方や、注文ボタンのレイアウトなど、コンバージョンを上げるための施策が必要です。一方、CVRが高い場合は、セッション数を増やせばコンバージョンがより多くなる可能性があります。
CVRを算出するといろいろなことがわかります。例えば、訪問者数は多いのにCVRが低いページの場合、コンテンツの内容がターゲットユーザーのニーズにマッチしていない可能性があります。このようにCVRを算出することで、Webサイトの課題の発見と改善が適切に行えます。ほかにも、マーケティング費用の効果を測ることができたり、適切なマーケティング手法が選べるといったメリットもあります。また、ECサイトにおいては、売り上げは、「アクセス数(集客)×CVR×客単価」で算出できるので、CVRを上げることは極めて重要です。
コンバージョンとは、Webマーケティングで「成果」を意味する言葉です。目指すべき成果はWebサイトごとに異なります。
(一例)
「CVR=コンバージョン数÷セッション数(訪問数)×100(%)」で求められます。例えば、セッション数が100で、コンバージョン数が1だった場合は、コンバージョン率は1%となります。
Webサイトを訪れたユーザーのうち、何人がコンバージョンしたかを知りたい場合は、ユーザー数起点でCVRを計算します。計算式は、「CVR=コンバージョンをしたUU(ユニークユーザー)数÷UU(ユニークユーザー)数×100(%)」となります。なお、UU(ユニークユーザー)数とは、Webサイトを訪れた実人数(延べ人数ではない)です。
サイトの特定ページのCVRを求めたい場合、計算式は「CVR=ページAを経由したコンバージョン数÷ページAのセッション数(訪問数)×100(%)」となります。
広告のパフォーマンスを知るためには、広告対象のCVRを求めます。計算式は、「CVR=コンバージョン数÷広告のクリック数×100(%)」となります。
Webサイトや広告の運用において、CVRの目標値を設定することは重要です。目標値が低すぎると利益が伸びず、高すぎると到達が困難になるとともにWebサイトや広告の問題点がわかりにくくなります。適切な目標値を設定するには、同業種・同商品の平均値を参考にする方法もあります。
CVRは業界や商材、コンバージョンに設定する項目などの条件によって数値は異なります。しかし、業界別のCVRを把握しておくと、自社のWebサイトのCVRを判断する基準になります。ここでは、参考値としてアメリカのインターネット調査会社・Ruler Analytixの2023年の統計データから業種別のCVRの平均値を一部紹介します。なお、全業界のCVRの平均値は2.9%です。
平均値を参考にするほかには、自社のWebサイトやアプリの最終目標(売上や会員登録者数など)と現状のPV数から逆算して目標値を決める方法があります。これは比較的オーソドックスな方法です。ちなみに、Webサイトを開設したばかりならCVRの目標値は低めに設定しておき、後述する改善方法などを試しながら数値を引き上げていくといいでしょう。
CVRの改善方法はさまざまな選択肢があり、どの数値を見て何を改善すべきかはケースにより異なります。代表的な改善方法として、確度の高いユーザーに絞る、広告を効果的に活用する、サイト内を改善することが挙げられます。
自社が想定しているユーザーとかけ離れたユーザーに広告や発信するメッセージが届いても、成果にはつながりません。まず、ターゲットとするユーザーについて、きちんとペルソナ設定をすることが必要です。その上で、キーワードの見直しと選定をします。例えば、コンバージョン数の多いランディングページのキーワードは、ターゲットと親和性の高いキーワードと考えられるので広告などに活用するとよいでしょう。加えて、広告文をキーワードに合わせた内容に調整し、ユーザーのニーズを満たすものにします。
Webサイトに訪問してもらうには、検索経由やSNS経由などさまざまなチャネルがありますが、広告をクリックしてサイトに訪れるケースも少なくありません。ですから、広告を効果的に活用することもCVRを改善するのに有効です。ここでは、Instagram広告とYouTube広告を取り上げて解説します。
ある調査によると、Instagram広告のCVRは平均14.29%です。リスティング広告のCVRは平均3.75%なので、非常に高いと言えるでしょう。Instagram広告のCVRを上げるには、適切なターゲティングをする、CTAボタン(訪問者に起こしてほしいアクションを促すボタン)を設置する、ターゲットに合わせて配信時間を設定するなどが挙げられます。Instagram広告にはいくつか種類がありますが、コンバージョン獲得に注目したいのが、ストーリーズ広告です。画像または動画で出稿でき、大画面で訴求できる、閲覧後は自然にユーザー投稿に切り替わり広告感が薄いといった特長があります。
ある調査によると、YouTube広告のCVRは平均2.06%です。YouTube広告が優れているのは、CPA(Cost Per Action:1件の成果や顧客を獲得するために、どの程度の広告費用がかかったのかを示す数字)で、平均CPAは8,292円です。リスティング広告が10,543円、Googleディスプレイ広告は10,606円なので、YouTube広告は費用対効果が高いと言えます。YouTube広告のCVRを上げるには、広告フォーマットごとにキャンペーンをセグメントしたり、スキップされる前までの5秒間でいかにメッセージを伝えるか工夫するなど考えてみましょう。さらに、コンバージョン獲得に注目したいのが、TrueViewアクション広告です。この広告は、動画の冒頭や途中に表示され、CTAボタンが設置できたり、リマーケティング機能(すでに自社と接点があるユーザーに対して広告を配信する機能)に対応しているため、コンバージョン獲得に有効です。
CVRを上げるためには、ユーザー目線で使いやすいWebサイトに改善する必要があります。ここでは、主に4つのポイントを紹介します。
Webサイトを開設しているのにコンバージョンにつながらない場合は、アクセス解析をしてみましょう。アクセス解析の対象は、例えば以下のようなものがあります。
アクセス解析には、無料で利用できるグーグルアナリティクスが用いられるのが一般的です。ほかにも、有料ですが使いやすい解析ツールや、内容によって細かく分析できるツールもあるので目的に合わせて選びましょう。
なお、アクセス解析では入手できる情報が多すぎて、どの指標が重要か判断できないことがあります。適切にアクセス解析を行うには、自社サイトの課題とその課題を把握するためにどんな指標が必要なのか仮説を立てることが大事です。また、Webサイトの改善状況をつかむために、重視する指標に対してKPIを設定し、定期的にアクセス解析をして数値の変化を把握することも欠かせません。
広告内容との連動感や、ユーザーが求めているものを念頭に置きながら魅力的なコンテンツを作ることも重要です。写真や図解で商品特徴をわかりやすく伝えたり、口コミ情報で使用イメージをつかみやすくしたり、動画でインパクトを与えたりと、方法はさまざまです。ユーザーがコンテンツに魅力を感じると、Webサイトの信頼性が高まりコンバージョンへとつながりやすくなります。
Webサイトに多くの情報が溢れていると、本来ユーザーに知ってもらいたい情報に行きつかない、期待したアクションを起こしてもらえないなどの可能性があります。Webサイトを構築する際は、どのようなルートでコンバージョンへつなげたいのか考えましょう。関連性のあるコンテンツを内部リンクでつなげて、必要な情報へユーザーがアクセスしやすいようにするほか、資料請求してほしい場合であれば、各ページに必ず資料請求ページへのリンクを貼るなど、ユーザー目線で導線をつくる必要があります。さらに、適切な情報量にし、ユーザーが何も考えなくても目線が導かれるように、シンプルかつわかりやすくデザインする必要があります。
Webサイトへの訪問数が多いのに申し込みに至らない場合、フォームに課題があるかもしれません。EFO(入力フォームの最適化)は、Webサイトの改善の中でも優先順位が高い取り組みです。改善のポイントとしては、例えば以下のようなことが挙げられます。
CVRを改善するために実施する施策を総称してCRO(Conversion Rate Optimization:コンバージョン率最適化)と呼びます。CROは、後述するLPO(ランディングページ最適化)やEFO(入力フォーム最適化)、サイトの表示速度の改善など多岐に渡ります。CROは、改善点を明確にして仮説を立てる→施策を実施する→結果を解析して次の施策を進める、というプロセスを順に実行します。
Webサイトの改善点を明確にするためには、CVR、PV、直帰率、ユーザー数など、さまざまな指標を使って分析します。必要に応じてユーザーへのアンケートなどを実施し、Webサイトの見やすさや使いやすさなどを聞くこと、つまりユーザー目線に立って分析することも大事です。こうして得られた定量的・定性的データをもとに、コンバージョンに至った理由について客観的な仮説を立てます。
ページのコピーやレイアウトの変更、コンバージョン導線の修正、フォームの改善など施策の内容はさまざまですが、施策の実施にあたっては、A/Bテストも有効です。A/Bテストでは、キャッチコピーや画像の一部を変更したパターンを複数用意してCVRを比較します。CVR改善のためのA/Bテストは、コンバージョンに近い要素から行うことも覚えておいてください。具体的には、入力フォームの一部を改善したものを比較します。なお、A/Bテストを行うときに、複数の要素を同時に変更してテストをすると、どの変更が効果があったのかわからなくなります。必ず要素を絞って変更を行い、テストを実施しましょう。
施策を行ったら、定量的・定性的な視点で改めて結果を解析します。そして、再び仮説を立てて施策を実施して検証と解析を行います。このようにPDCAを回していくことでCROが進みます。世の中の動きやユーザーを取り巻く環境の変化などにも目を向けながら継続的に取り組んでいきましょう。
CVRを改善するためには、他社の成功事例を学び自社で試すことも有効です。ここでは、ランディングページ改善、広告連動、アプリ改善、ボタンの変更によるコンバージョン施策の成功事例を紹介します。
例えば保険会社などは商品の特性上、ランディングページのテキスト量が多くなりがちで、ユーザーの離脱率が高くなりがちです。そこで、ある保険会社はイラストや図などを活用して、テキスト量を抑えつつ、視覚的にわかりやすく商品の魅力を伝えるようにしました。この改修によりユーザーの滞在時間が増え、CVRも向上しました。
ある動画サブスクリプションサービスは、会員登録数を上げるために、広告と連動したCVR改善施策を実施しました。広告の訴求軸に合わせて、単一のランディングページでファーストビューを出し分けるという施策です。例えば、お得を訴求する広告をクリックしたユーザーには、ランディングページのファーストビューでお得を訴求するというように、ユーザーの流入経路に合わせて調整することでCVRを向上させることができました。
ある衣料品専門店は、店舗、Web、アプリでOMO戦略を進めるにあたり、アプリを中心としたCVR改善施策を行いました。アプリにおいて、ユーザー行動をトリガーとしたプッシュ通知するなど、1to1に近いコミュニケーションを実施。その結果、アプリ経由のEC売り上げが大幅にアップし、WebサイトのCVRも向上しました。
あるフィナンシャルサービスは、クレジットカードの申し込みのCVRを改善するために、コンバージョンボタンの色や形、ボタン内のテキストなどを詳細に検討し、A/Bテストを実施。さらに、申し込みボタンに付随する画像のサイズなどもテストを行い検証しました。その結果、仮説と異なる発見がいろいろと見つかり、CVRの向上につながりました。
日本語で「ランディングページ最適化」と訳されます。ランディングページとは、広告や検索エンジンなど外部からのリンクをクリックしたときに、最初に表示されるWebページのことです。ランディングページで直帰してしまうケースは多いので、Webサイトの中でもCVRに与える影響は極めて大きいと言えます。LPOでは、商品やサービス特徴を簡潔にわかりやすく示す、魅力的な写真やイラストを配置する、ユーザーをしっかりつかむコピーを考える、わかりやすいボタンデザインで次のページへ誘導するなど、さまざまな要素について詳細な検討がなされます。
日本語で「入力フォーム最適化」と訳されます。入力フォームとは、商品購入や会員登録、資料請求などを行う際にいろいろな情報を入力・送信するための画面で、コンバージョンに直結するため極めて重要です。入力する情報は、住所、氏名、年齢、メールアドレス、クレジットカード番号などさまざまです。必要以上の項目を入力しなければならない、あとどれだけ入力すればいいかわかりにくい、半角・全角などの入力形式がわかりにくいなど、ユーザーがストレスを感じると、コンバージョン直前にもかかわらず離脱することは珍しくありません。そこで、できるだけ手間がかからず、スムーズに入力しやすいフォームを作ることがCVR向上の大きなポイントになります。
広告のCVRを考える際は、CVRとCTR(Click through Rate:クリック率)の違いを理解しておく必要があります。この場合のCVRは、広告を見た人のうち何%がコンバージョンに至ったかを示す指標で、計算式は「CVR=コンバージョン数÷クリック数」となります。一方、CTRは、広告が表示された回数のうち何%がクリックされたかを示す指標で、計算式は「CTR=クリック数÷ 表示回数」となります。CTRは広告施策の効果を確認する大切な指標の一つです。CVRを向上させるためには、効果的な広告によってCTRを上げることも大事です。
マイクロコンバージョンとは、最終的なコンバージョンに至るまでの中間地点に設定するコンバージョンです。例えば、資料請求の申し込み完了が最終コンバージョンとすると、資料請求はこちらボタンのクリックや、申し込みフォームへの入力がマイクロコンバージョンとなります。マイクロコンバージョンを設定すると、ユーザーがどこで離脱しやすいか数字で把握できて、よりきめ細かくWebサイトの改善ができます。
本記事では、CVRの概要や考え方や計算式、改善方法や事例などを紹介しました。CVRはユーザーの関心を集める広告やWebサイトを実現し、商品・サービスの購入や会員登録など自社の目標を達成するために大変役立つ指標です。社会環境や生活者の興味関心が目まぐるしく変化する昨今、広告やWebサイトも常にユーザーの立場に立って制作し、適切にターゲティングすることが求められます。CVRの理解を深めることは自社のWebマーケティングに大きく寄与します。
CROとは通常、サイトのコンバージョン率(CVR)の最適化を目的とした改善の営みを指します。
NTTコム オンラインでは “収益への貢献”をゴールとすることで、集客から商談化までのUX全体をスコープにサイトの改善を行っていきます。