ジャパンラグビーマーケティング株式会社様

複数のラクビー関連サービスを「SAP CIAM」で統合管理。
約23万人のデータを利活用し、ジャパンラクビーを盛り上げる!!

ラクビーファンのエンゲージメントを高めるためのマーケティング事業を行うジャパンラグビーマーケティング株式会社。主に日本代表チームやプロリーグに関するWebサイトの企画・運営や、システムの管理・運用などを手掛けています。そんな同社が、2022年の会社設立とほぼ同時期に導入したのが、統合ID基盤「SAP® Customer Identity and Access Management」(以下、SAP CIAM)」でした。現在は、日本代表チームのファンサイト、プロリーグのファンサイト、そしてECサイトやチケットサイトなど、7つのサービスをSAP CIAMで統合管理していると言います。導入前に抱えていた課題、活用法、実際に使ってみてわかったSAP CIAMの魅力などについて、同社システムグループの塩谷篤史氏に語っていただきました。

ワールドカップの盛り上がりを追い風に、
マーケティングの力で、日本のラグビーファンを増やす!

― まずは貴社設立の経緯や事業内容についてお聞かせください。

塩谷氏 : 当社は2022年に設立されたばかりの比較的新しい会社です。

2015年に開催されたラグビーワールドカップで、日本が強豪南アフリカに勝利し、大きな話題になりました。一気にラクビーが注目され、メディアでの露出が増えて、ちょっとしたお祭りのような状態に。その熱が冷めやらないなか、2019年に日本でワールドカップが開催され、このときも大変多くのファンの方々に日本代表を応援していただきました。

「この勢いを絶やしてはいけない」「もっともっとラクビーのファンや競技人口を増やし、日本ラクビーを盛り上げたい!」。そんな思いのもと、公益財団法人日本ラグビーフットボール協会(JRFU)、一般社団法人ジャパンラグビーリーグワン(JRLO)、ソニーグループ株式会社の3社によって、ジョイントベンチャーという形で、当社が設立されたと聞いています(その後、株式会社NTTドコモも参画)。

現在の主な事業は、日本代表ファンサイトの企画運営、アプリや映像配信サービスによるコンテンツの配信や、ファンを増やしエンゲージメントを高めるためのマーケティング活動など。ラクビーに関するECサイトやチケット販売サイトの運営なども幅広く手掛けています。マーケティングの力で日本ラクビーを盛り上げる、そんな活動に手広く取り組んでいる会社です。

― 塩谷様はどのような業務を担当されているのでしょうか?

塩谷氏 : 私はシステムグループで、自社システムの開発や運用に携わっています。2023年10月に入社しまして、以降、ファンクラブのプラットフォームを検討したり、データの分析を行ったり、新機能を開発したり、リリースされたサービスの保守を行ったりと、システムに関するあらゆることに最初から最後まで関わっています。

ジャパンラグビーマーケティング株式会社 システムグループ エグゼクティブリーダー
塩谷篤史氏

会社設立とほぼ同時にSAP CIAMを導入。
まずはIDを統合し、データ活用の基盤を作る

― ここからは貴社が抱えていた課題についてお聞かせください。SAP CIAMは、2022年の貴社設立とほぼ同時期のタイミングで導入されたとお聞きしています。どのようなお悩みがあり導入することになったのでしょうか?

塩谷氏 : ワールドカップの追い風を生かしてファンを増やすため、当社が設立されたのですが、そもそも最初はファンマーケティングを行うための基盤すらない状態だったのです。

以前は、日本代表チームのサイトや、プロチームのサイト、グッズ販売サイト、チケットサイトなどがそれぞれバラバラに動いていて、ユーザーは、一つひとつのサービスに会員登録をしなければなりませんでした。当然、集まってくるデータもバラバラです。IDの紐づけがなされておらず、例えば、「チケットを買ってくれたAさんがどのチームのファンサイトに登録しているか」「どんなサイトや情報を見てグッズの購入に至ったか」といったことがまったくわからない状態になっていました。

まずはここをどうにかしないと始まらないということで、会社設立とほぼ同時期にSAP CIAMを導入した次第です。

― 多くのソリューションの中からNTTコム オンラインの提供するSAP CIAMを選ばれた理由についてお聞かせください。

塩谷氏 : 大規模なシステム開発に対する理解や実績が選定の決め手になったと聞いています。当社は全社員20名程度の、規模の小さな会社です。システムを担当する社員も数名で、そんななか、ある程度の規模のサービスを作り上げなければなりませんでした。ですから、システム開発のことをきちんと理解していて、適切な段取りを踏みながら、クオリティを担保しつつ進めてくださるベンダーさんと組みたいという思いが強かったようなのですよね。

また、運用にも人員を割けないという事情がありました。現在は、私ともう1名の社員の2名ですべてのシステムを見ているのですが、少ない人数で回さなければならないからこそ、当初から、「運用負荷の少ないシステム」「パートナーとして伴走してくれる能動的なベンダー」を意識して選定していった……という話を聞いています。

ほかに、登録画面やログイン画面などのテンプレートが豊富に揃っているところ、サービスの連携がさせやすく拡張性に優れているところ、これらの強みによって開発工数が抑えられるところもポイントになったようです。

課題を見つけ、提案する。
先回りの伴走サポートが大きな魅力!

― IDの統合はどのように進めて行かれたのでしょうか? 開発時の計画やその後の段取りなどについてお教えください。

塩谷氏 : 最初は、日本代表のファンクラブである「SAKURA CLUB」、JRLOのECサイト、JRFUのECサイトの、3つのサービスを統合したという話でした。統合IDの登録画面をどんなデザインするかといったことや、どう遷移させるかなど細かいことを決めなければならなかった上、並行して3サービスのサイト側でもSAP CIAMとの認証に伴うユーザビリティの検討や対応も行う必要があったことから、開発には10か月近い時間がかかったようです。

その後、アプリ、チケット販売サイト、プロリーグのファンサイト、映像配信サイトが加わり、現在は、計7つのサービスがひとつのアカウントで利用できるようになっています。

サービスの追加連携は私が担当しているのですが、既に登録画面や型が出来上がっていることもあり、とてもスムーズに進みました。要件定義から稼働までで、だいたい2か月ぐらいでしょうか。特に苦労することなくローンチに漕ぎつけられています。

― 実際にSAP CIAMを使ってみて、いかがですか? 率直な感想をお聞かせください。

塩谷氏 : 導入の決め手のところで「運用負荷が少ない点や伴走サポートがポイントになった」とお話したのですが、その通り、とてもラクに運用ができています。SaaS型のサービスなので、こちらでサーバーを用意したりメンテナンスをしたりする手間がかかりませんし、常に最新のバージョンで利用することができています。また、GDPRレベルの統一管理機能がしっかりとあり、セキュリティの面でも安心して使えています。

なにより私がよいと思っているのが、NTTコム オンラインの手厚い伴走サポートです。なにかわからないことがあったときはSlackやメールですぐに答えてくれますし、「しっかりすり合わせたい」とお伝えすると、迅速に打ち合わせの場を設けてくださいます。

それだけでなく、課題を見つけ、提案してくださるところが有難いんですよね。以前、「半角必須の入力欄にユーザーが全角で情報を入力してしまい、登録エラーが起きてしまう」という事象がチラホラ発生していたときがあったのですが、それに気付いたNTTコム オンラインの担当者が、「全角を自動で半角にする方法」をサッと教えてくれたことがありました。こういうちょっとしたことを、よく見て、拾ってくださるのです。

他に、「SAP CIAMと連携させている独自契約のメールサービスに障害が発生し、登録に関する重要なお知らせが届かなくなった」という大きめのトラブルが発生したときも、NTTコム オンラインの方が素早く対応してくださいました。「SAP CIAMに標準装備されているメールサービスを使うこともできますよ」と教えてくださり、ものすごい早さで、切り替えのための調整や検証をしてくださったのです。事態が収束したため、結局、切り替えを行うことはなかったのですが、あのときの動きの早さ、柔軟性には、とても救われたことを覚えています。

どんなに優れたシステムであっても、それだけでは成り立ちません。最後はやっぱり“人”なんですよね。親身になって、提案型の手厚い人的支援をしてくださり、いつも本当に助かっています。

統合IDの登録ユーザーは、現在、23万人!
メールマーケティング、ポスティングなどの施策を実践中

― 導入の効果についてお聞かせください。

塩谷氏 : 統合IDの登録ユーザーは、現在、約23万人で、うち8割がアクティブユーザーであることがわかっています。2019年のワールドカップのときにできた前身的なIDのときは登録者数が15万人程度で、しかもアクティブユーザーはそのうちの2割程度でした。ですから、「23万人もの方が登録してくださっている」「8割がアクティブ」ということが、まずはひとつの成果と言えるのではないかと思っています。

また、統合IDによって、登録者の年齢が全体的に高いことも見えてきました。60歳以上の方がもっとも多く、次いで、50代、40代という感じなんですよね。登録者は増えているけれども、若い方には刺さっていない・裾野が広がっていないという状況もはっきり捉えられるようになりました。これを受けて、いま、若者向けの施策を強化しようと動いているところです。

他に、テスト的にではありますが、メールマーケティングにも取り組み始めています。新規の方を無料で試合にご招待したり、あるセグメントの方に割引券をお送りしたりと、データに基づいてメールの内容を変えつつアプローチしている感じですね。

加えて、試合に来場してくださった方の居住地を確認して、来場者が多い地域にチラシをポスティングするという取り組みも。いろいろな施策を、少しずつ始めている状況です。

― 今後についてはいかがでしょうか? 最後に、これからの展望や計画についてお聞かせください。

塩谷氏 : 本格的に統合IDを活用しはじめて、まだ1年足らず。現在は、やっとデータが溜まってきたような段階です。今後は、このデータをどう分析し、なにをするのかを考えていかなければなりません。先ほど申し上げたメールマーケティングやポスティングだけでなく、SNSの運用やグッズの企画などにも、SAP CIAMによって得られたデータの利活用を広げていきたいですね。

ちょうどいま、NTTコム オンラインから、データ分析ツールや、登録者の年齢層が高めなことも考慮して顔認証システムの提案を受けているところです。なにか「新しいことをしたい」となったとき、NTTグループだけでなく他社のものまで含めた幅広いソリューションをご提案いただけるのも有難いなと思っています。

これからも、頼れるパートナーとして、一緒に伴走していただきたい。そして、SAP CIAM、NTTコム オンラインとともに、大いにジャパンラグビーを盛り上げていけると嬉しいな思っています。

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