2018/09/19

【カスタマー・アイデンティティ市場動向】

「チェックボックス・マーケティング」を脱却し顧客体験に本当の透明性を導入するには

前回の記事では、マーケッターが最近陥っている「ヘル(地獄)」と、ばらばらに保管されたデータによりパーソナライズド・マーケティング・プログラムが顧客との関係を損ないかねない状況について説明しました。今回は、信頼を定義するにあたって企業が陥りやすい誤解と、素晴らしい顧客体験を継続的に届けることがなぜこれまでにも増して重要なのかについて説明します。

端的に言えば、データの収集・利用において透明性を高めるといった意図を説明するばかりではなく、歩みを進めるべき時なのです。この歩みは、顧客との最初のタッチポイントから始め、顧客を獲得するまでの購買ジャーニー全体、さらには顧客をつなぎとめるカスタマー・ジャーニー全体まで継続するものです。本質的には、私たちは私たちの意図について率直に平易な言葉で説明したうえで、データと引き換えに本当の価値を届ける必要があります。

まず、多くの企業を悩ませている初歩的な問題を理解することから始めましょう。いわば「善意は必要を満たす」というマインドセットにより、「チェックボックス・マーケティング」というべき習慣が出来てしまうということです。これは、以下のようなものになります。

快適なWebサイト
SEO
メールマーケティング
ソーシャルメディア
既成概念を打ち破る言葉
トレード・ショウでのブース
新製品の写真の「リーク」
トップクラスのスポーツイベントでの実験的なマーケティング
顧客からの信頼

これが現代のマーケティングの悩みの種なのです。マネージャーは、その生産性を証明するためにTo-Doリストの項目にチェックを入れることに多くの時間と予算を使っていますが、それがどのような効果を上げているかについて理解できていないのです。マーケッターが透明性を示すために「複雑性」を加えることで、顧客体験を破壊してしまう例を数多く見てきました。

GDPRがカリフォルニアに?

企業は、内部的にスマートで顧客についてよく知っているように見えるだけでなく、対外的には自分たちがいかにトランスペアレントであるかについて発信するために大きな努力を傾けています。特に、ある特定の問題について自分たちがどのように発信しているかを人々に知らしめるために過ぎない「ヴァーチュー・シグナリング(注:チャリティー・リボンを身につけたり、SNSで特定の人物へのサポートを表明するためにプロフィールを更新したりすることによって、自分は正しい政治的観念を持っていると主張すること)」な思考によるエンゲージメントは、顧客体験全体を通じてのものとして捉えられていきます。
「ご愛顧に感謝申し上げます」「信頼が当社の最大の資産です」「●●イベントでの当社ブースにお越しください」「サステナビリティへの当社の取り組みはこちら」「180日間返品OK」「チリの熱帯雨林を守ろう」などというように、この実例はあちこちで見受けられます。しかし、時間が経つにつれて、これらの空虚な言葉の効果は薄れていくのです。

「信頼を築くには時間がかかるが、失うのは一瞬」 - Bill McDermott

最近の例でいえば、プライバシー・ポリシーや利用規約のアップデート、新しい「Cookieの受容」ボタンといった、多くの企業がとったGDPRに対応するための「証拠を残しておく」やり方です。これは、GDPRがより良い顧客体験を届けるためのものであるということに納得しておらず、公的なプレッシャーと規制に強制されたという証拠なのです。

善意はともかく、「信頼」とはバリュー・プロポジションの声明ではないのです。顧客が企業への信頼を失えば、取り戻すことはほぼ不可能なのです。一方で、83%がパーソナライズされた顧客体験のために自身のデータをシェアする意向がある中で、自分が知らないうちに取得された、あるいは、直接に提供したものではないデータによる顧客体験は「踏み込み過ぎ」という人が2/3にのぼるという状況においては、マーケッターは際どいラインを渡るというリスクにあるのです。

つまり、顧客体験を、他のマーケティング活動と同様のもう一つの「チェックボックス」として考えるのは終わりにすべき時なのです。では、信頼を速やかに構築するにはどうすべきなのでしょうか?顧客体験をパーミッションに基づいて届け、カスタマー・コントロールを各タッチポイントの中核にすべきです。

信念としての透明性

顧客からの信頼とロイヤルティという「約束の地」に到達するためには、たった一つのトランザクションや耳触りの良いスローガンから始めるのではなく、顧客の関心に沿う形でのバリュー・ドリブンな取引を通じて長期顧客を獲得したいという意志から始めるべきです。時が経つにつれ、このプロセスは、顧客が自身についてのより多くの情報を提供し、そのことによるベネフィットを自覚することで、顧客との間により自由な関係をもたらすようになるでしょう。

透明性を信念とすることで、平凡な決まり文句ではないコミットメントを顧客との間に結ぶことになります。これが、ブランドへのロイヤルティが醸成され、将来にわたって競争に勝ち残ることが出来る道なのです。

原文はこちらです。(Gigya社サイトに遷移します)
How to End “Marketing as a Checkbox” and Inject True Transparency into the Customer Experience

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屋代 誠(やしろ まこと)

2011年より、米国ExactTarget社(現在はSalesforce社傘下)が展開する企業向けソーシャルメディア運用支援ソリューション”CoTweet"(2013年に”SocialEngage"へと名称変更)およびSalesforce社の”Social Studio"のプロダクトマネージャーとして、ソーシャルメディアを活用するビジネス戦略の立案・実行支援に携わる。
その経験を生かし、ソーシャルメディアを包含したカスタマー・アイデンティティ・マネジメント分野のエバンジャライズを推進。
Salesforce Certified Marketing Cloud Social Specialist資格を保有。

嶋田 貴夫(しまだ たかお)

大手メーカーでのソフトウェア開発経験を経て、2006年よりWebアクセス解析ソリューションVisionalistの企画・開発に携わる。
現在はCIMソリューション「GIGYA」、および、GIGYAとWebアクセスログ、MAやDMPを連携させたソリューションを紹介・提案するCIMエバンジェリストとして従事。