2019/01/23

市場動向

SAP Customer Data Cloud from GIGYA とCRM/CDPとの間の4つの相違点

「遠い昔、現在の私たちのビジネスから遥か彼方の銀河系で、マーケッターとセールス担当はプラスチックのディスペンサーに貼り付けられたカードで顧客情報を管理していました。今や伝説的なローロデックスは過去のものとなりました。今日では、目まぐるしく新しい選択肢を次々と提示する数十億ドル規模の産業に成長しています。

何年にもわたり、カスタマー・リレーションシップ・マネジメント(CRM)ソリューションが解答と考えられてきました。最近、カスタマー・データ・プラットフォーム(CDP)がCRMの支配に挑戦しています。そして、この議論に新しいプレイヤーが加わっています: SAP Customer Data Cloud from GIGYA です。

今回は、この3つのソリューションを分析し、SAP Customer Data Cloud from GIGYAがデジタル時代において信頼されるパーソナライズされたカスタマー・リレーションシップを構築するためのユニークな機能を提供していることをご紹介します。

CRM、CDP、SAP Customer Data Cloud from GIGYA

CRMは絶対的に有力な存在です。2017年、その市場規模は、データベース管理システムを上回りソフトウェア産業最大の395億ドルになっています。このマーケットにおけるベンダは、コンタクト・マネジメント、セールス・マネジメントなどを通じて顧客や見込み顧客との関係を改善するためのソフトウェア・ソリューションを提供しています。

CDP市場は急成長しており、2023年までに32億ドルを超える規模になると予測されています。CDPベンダは、他のシステムからアクセス可能な統合された顧客データベースを構築する、技術部門ではないマーケッターが管理するシステムを提供しています。CDPは、複数のサイロ化されたソースにあるデータをマーケティング・テクノロジー資産に存在する分析やオペレーションのシステムに正確なデータを提供する単一のレポジトリに統合します。

SAP Customer Data Cloud from GIGYAは、顧客ID&アクセス管理とプリファレンス管理という2つのカテゴリをリードしています。登録やエンゲージメントをつなげるためにデバイスやチャネルをまたがって顧客をセキュアに識別し、カスタマー・ライフサイクルを通じて顧客のパーミッションや同意を管理し、データを中央化されたセキュアな環境に設置される統合化されたカスタマー・プロフィールに移転します。

類似点:パーソナライズされた顧客体験のためのプロフィール・データ

これらの3タイプのソリューションは、いずれもワン・トゥ・ワンのパーソナライズされた顧客体験を提供するためのカスタマー・プロフィールを構築することを訴求しているので、混乱するのも当然かもしれません。しかし、深くみていくと、その要求と結果は大きく異なっているのです。

構造化された属性データにより構築されるCRMのプロフィールは、セールス担当やアカウント・マネージャーがセールスプロセスにおいて顧客や見込み顧客を理解するために必要な詳細データを保有しています。他のカスタマー・エンゲージメント・システムとの連携により、このプロフィールは購買履歴、エンゲージメント履歴、そして「コンタクトへのパーミッション」ステータスといったデータを持つかもしれません。

一方、CDPは主にマーケッター向けのものです。CDPは、異なるブランドやチャネルをまたがってエンゲージメントをパーソナライズするための新たな方法を決定するために顧客データにアクセス・測定・分析することを可能にするものです。CDP内に構築される構造化・非構造化データにより、マーケッターは、顧客行動の深い分析、多様なデータの相互関係に関するビジネスインテリジェンスの提供、そして顧客との新たなエンゲージメントのやり方を明らかにするのです。CRMとは異なり、CDPは膨大な量のデータを取り込むよう設計されています。データ品質管理、分析関連機能、機械学習機能などデータ・インテリジェンスを強化するための機能も提供します。

そして、カスタマー・データ・マネジメントです。例えば、SAP Customer Data Cloud from GIGYA は、ファーストパーティデータから構築される単一の統合されたカスタマー・プロフィールを通じてマーケティング・セールス・カスタマーサービスなどを支援するソリューションを提供します。重要なことは、これらのプロフィールは顧客の同意やプリファレンスに関する全ての重要なエレメントを含んでおり、信頼されるパーソナライゼーションを提供するために全社レベルで正確かつ調和を取った形で中央管理することが可能という点です。加えて、この「調和」とは継続的な双方向でのデータ同期化であり、このシステムに接続されたアプリケーションやサービスにおける顧客データの更新がリアルタイムで統合プロフィールに反映されるのです。

このように、この3タイプのソリューションは全て顧客データを収集・トラック・管理することで価値のあるカスタマー・インサイトを提供します。そして、(セールスチームのデータ管理のために設計された)CRMと(マーケッターにオーディエンスに関する深いインサイトと他のテクノロジー資産にスループットを提供するために設計された)CDPの明らかな違いをお分かりいただけるでしょう。
では、カスタマー・データ・マネジメント、特にSAP Customer Data Cloud from GIGYAとこれらとの違いはどこにあるのでしょうか?

SAP Customer Data Cloud from GIGYAの4つの差異化ポイント

SAP Customer Data Cloud from GIGYA が提供する、他のソリューションには困難な機能を4つご紹介します。

同意とプリファレンスに関するデータの収集

EU一般データ保護規則(GDPR)の施行やその他のデータプライバシー法規制を見越した場合、同意とプリファレンスに関するデータ管理は世界中のビジネスにとって最優先の課題となっています。CDPやCRMでもある程度はこれらのデータをトラック出来ますが、SAP Customer Data Cloud from GIGYA は、ビジネスが必要とする際に新しいバージョンの利用規約やポリシーへの同意を収集する機能などを有するエンタープライズレベルのソリューションといえるでしょう。このソリューションの提供開始以降、SAP Customer Data Cloud from GIGYA は12億件以上の同意レコードを収集したことは特筆に値するでしょう。

「オーディットレディ」な環境

データ保護に関する市場環境の進化に対応するために、SAP Customer Data Cloud from GIGYA はプロフィール、プリファレンス、同意に関するデータを「オーディットレディ」な環境に保管しています。これらの属性データは7年間保存され、プロフィール内で簡単に読めるタイムラインフォーマットで表示可能です。この機能により、顧客や規制当局が特定期間におけるデータ主体の同意ステータスについて訊ねた際に対応のための時間やコスト、リスクの削減につながるのです。

個人データの顧客によるコントロール

カスタマー・データは静的なものではありません。名前や住所は変わります。「いいね!」や関心は変わります。メールアドレスも変わります。さらに重要なことに、同意やコミュニケーション・プリファレンスも変わるのです。GDPRのようなデータプライバシー法規制は、顧客に自身のデータをコントロールするための機能を提供するようビジネスに要求しています。一般的に、CRMやCDPはこのような本質的な変化に対応するための機能を他のシステムに依存しています。

顧客体験における「Xファクター」:カスタマー・アイデンティティ

CRMもCDPもカスタマー・アイデンティティに特化したものではありません。その代わりに、これらは、カスタマー・プロフィールを構築するアイデンティティ・データを収集するために、eコマースシステム、コンテンツ・マネジメント・システム、あるいはカスタムビルドの登録・認証ソリューションに依存しているのです。
一方で、SAP Customer Data Cloud from GIGYAは、全てのプラットフォームとデバイスをサポートするために、Web, モバイル、IoT, ひいてはインストアチャネルをまたがってのブランドイメージに沿った登録・ログインフローを標準化し実装する、強固な顧客ID&アクセス管理・ソリューションです。言い換えれば、より一貫したセキュアなフロンドエンドの顧客体験を可能とするのです。

SAP Customer Data Cloud from GIGYAの中核であるRegistration-as-a-Serviceには以下の機能が包含されています:

  • シングルサインオン(SSO)
  • SAML 2.0 および OpenID Connect プロトコルによるデータ・フェデレーション
  • 生体認証ログイン(FaceIDおよびTouchID)
  • 二要素認証、リスクベース認証
  • 25以上のグローバルのソーシャルログインやアイデンティティ・プロバイダを登録・ログインフローに簡単に追加

これらのオプションにより顧客体験がスムーズなものとなり、顧客のパスワードの健全性が今日最も深刻なセキュリティ上の課題であることから、顧客がパスワードを入力できる回数を制限することで顧客データの漏えいやアカウントのハッキングのリスクを低下させることにつながるのです。

「どちらを選ぶ」という状況ではない

これらの強力なテクノロジーの違いを理解することは、自社の目標やゴールを達成するためにより効果的なテクノロジー資産を整備する一助となるでしょう。強固なデータ・プライバシーとパーソナライズされた顧客体験のバランスを取るためにこれらのソリューションを統合することが適切なソリューションであることは多くの事例が示唆するところです。

原文はこちらです。(SAP社サイトに遷移します)
Four Big Reasons SAP Customer Data Cloud Differentiates from CRMs and CDPs

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