2020/01/29

ソーシャルログイン

戦略的顧客データ管理にソーシャルログイン機能がもたらす4つのビジネスメリット(後編)

前編では、日本でのソーシャルメディアの利用動向と、2つのビジネスメリットについて解説しました。
今回は、残り2つのビジネスメリットについて解説します。

ビジネスメリット その3---グローバルに顧客を獲得する

訪日外国人観光客や国境を越えた購買を可能にする「越境EC」など、いまや顧客をグローバルに獲得するための競争は激化する一方です。サイトやアプリを多言語化し、グローバル顧客とのデジタルな接点を創り出す動きも顕著になっています。
ソーシャルメディアサービスのユーザーはグローバルに存在していることを踏まえると、ソーシャルログイン機能はグローバルな顧客獲得競争の下では必須のツールといえるでしょう。

数多くのファッションブランドをグローバルに展開する英国のエイソス社では、ECサイトへのソーシャルログイン機能を導入しました。登録ユーザーの情報一元化を実現し、毎年2桁以上の成長率を実現しています。
特筆すべきは、売上高の海外比率を12%以上に高めたことです。英国外からの顧客の獲得が急成長している中で、グローバルユーザー向けのソーシャルログイン機能が大きな役割を果たしていると考えられます。

グローバル顧客の獲得を考える際には、ターゲットとする国のユーザーがどのソーシャルメディアを使っているのかを理解する必要があるでしょう。当該国で普及しているソーシャルメディアのアカウントを選んで、そこにソーシャルログイン機能を提供することが求められます。
中国では、「Wechat」や「Weibo」など中国独自のソーシャルメディアサービスが普及しています。これらのサービスのアカウントを使うソーシャルログイン機能が必須となるでしょう。

KLMオランダ航空は、同社サイトでのマイレージプログラムへの登録・ログイン機能で、表示言語ごとに利用するソーシャルログインで使えるサービスを切り替えています。例えば、日本語サイトではFacebookやmixi、X (旧Twitter)などが使えますが、中国語サイトで使えるソーシャルアカウントはWechat、Renren、Weiboに切り替わるようになっています。

ビジネスメリット その4---ユーザーアカウントを守る

今日、多くのサイトやアプリが使う主な認証手段はパスワードです。しかし、パスワードの脆弱性は多くの調査報告で指摘されています。

Intel社が2016年に公表した調査報告によれば、「インターネットユーザーは平均27個のパスワードを持っており、うち37%は少なくとも毎週一つのパスワードを忘れている」という結果が出ています。
(参考: INTEL HATES PASSWORDS, EVEN ON WORLD PASSWORD DAY

Microsoft社が2006年に公表した調査報告では、こんな結果が出ています。「インターネットユーザーは平均25個のパスワードが必要なアカウントを持っている一方で、使っているパスワード数は平均6.5個で、1つのパスワードを平均3.9のサイトで使い回している」
(参考: A Large Scale Study of Web Password Habits)

さらに、ユーザーが設定しているパスワードも脆弱なものとなっています。2016年に最も多くのユーザーが使ったパスワードは「123456」だったという調査結果も出ています。
(参考: 日本経済新聞2017年1月20日「最もよく使われたパスワードは16年も「123456」」

パスワードを求められるサイトやアプリがあまりに増えた結果、ユーザーにはパスワードを使い回す傾向が強まりました。そしてそういう場面で使われるパスワード自体も脆弱であることから、もはやパスワードそのものが企業の顧客データ管理におけるリスク要因となっていると考えるべきでしょう。

グローバル企業では、ユーザーアカウントを不正ログインから守るために、複数の要素認証機能の提供をはじめとする様々な動きをみせています。ソーシャルログイン機能も、ユーザーが(他サイトで使っている、破られやすい)パスワードを登録する代わりに、ソーシャルメディアアカウントのパスワードを使ってログインするようにして、パスワードに関するユーザーの負担を軽減するためのものです。
さらに、多くのソーシャルメディアサービスでは複数要素認証など様々なアカウントセキュリティ対策を提供しています。ソーシャルログイン機能は結果的に企業サイトやアプリの認証強化にもつながるのです。

顧客データを適切に取得し、デジタルマーケティング戦略を推進しながら顧客データを守るためにソーシャルログイン機能は、一部のユーザーのためのオプション機能ではありません。ユーザーと企業の双方に様々なメリットをもたらす必須機能となりつつあるといえるでしょう。

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