株式会社西武ホールディングス様

西武グループ各社の会員サービスを連携させるため、
統合ID基盤「SAP® Customer Data Cloud」を導入!

都市交通・沿線事業、ホテル・レジャー事業、不動産事業をはじめとする多種多様な事業会社を擁する株式会社西武ホールディングス。グループ各社が提供するサービスを連携させ、より多くのお客さまに、より幅広いサービスを提供するため、2024年1月に、統合ID基盤「SAP® Customer Data Cloud」(以下、SAP CDC)を導入されました。そもそもどのような課題があったのか、導入の決め手やSAP CDCの魅力とは……? 詳しいお話を、同社経営企画本部 DX・マーケティング戦略部の山本桂輔氏、手島嗣紋氏、宇津木瑞穂氏にお聞きします。

グループ各社のサービスを連携させ、データを活用した「攻めのDX」を実現したい

― まずは西武ホールディングス様の概要や強みについてお聞かせください。

山本氏 : 当社は、西武鉄道、西武・プリンスホテルズワールドワイドなど、80社以上の事業会社を傘下に置く西武グループの持株会社です。「でかける人を、ほほえむ人へ。」というグループビジョンのスローガンを掲げ、鉄道事業・ホテルを中心に、街や人を笑顔にするようなサービスを提供しております。プロ野球球団を有する西武ライオンズのほか、ペットケアショップを運営する西武ペットケア、滋賀県最古の私鉄として愛されている近江鉄道など、特徴ある企業がグループ会社として名を連ねています。

― 皆様の所属部署や業務内容、貴社が取り組むDX戦略についてお教えください。

山本氏 : 我々が所属する経営企画本部 DX・マーケティング戦略部は、グループ全体のデジタルマーケティング戦略を立案・策定し、推進する部署です。現在は、2021年に発表された中期経営計画に基づき、「攻め」「守り」「体制(人)」の3つのDXを強く推し進めてきました。

「攻め」のDXとは、グループ内外のデータを利活用することで、お客さまによりよいサービスを幅広く、適切にお届けしようという取り組みです。現在グループのマーケティングデータ基盤を構築し、お客さまの行動履歴やポイント履歴など様々なデータを集約、分析し、アウトプットすることを行なっています。

一方「守り」のDXでは、ITによる業務改善やシステムの効率化を行い、生産性を向上させる取り組みを行っています。そして、「体制(人)」のDXで社内のDX人財を増やす活動を進めています。採用、教育、育成などの仕組みを見直し、DXに対する知見を持ち使いこなす人財を増やしていきます。

SAP CDCの導入は、「攻めのDX」の一環としてスタートしました。私がSAP CDCに関するプロジェクトを統括しており、手島がプロジェクトリーダーとして全体の進行や管理を担当。宇津木は途中からジョインしまして、統合IDに関するプロモーションや、WebサイトのUI設計などを担当しています。

株式会社西武ホールディングス 経営企画本部
DX・マーケティング戦略部 マネジャー 山本桂輔氏

各社がそれぞれの会員組織を抱えてサービスを展開。
そもそもシステムが最新ではないなど、課題も多かった

― SAP CDC導入の経緯についてお聞かせください。どのような課題があり、導入についての検討をスタートされたのでしょうか。

山本氏 : 弊社グループが提供しているのは、人と人との接点や動きを生むようなサービスです。人が移動し、直接経験することで価値が実感できるような、リアルなサービスに力を入れてまいりました。

半面、デジタル技術の利活用にやや弱いという課題がありまして……。マーケティングの領域においても、各社がバラバラに会員を抱えてサービスを提供していたため横のつながりが少なかったり、システムやUIが最新のトレンドをとらえられておらずお客さまと社員双方にとって使いにくいものであったりと、いくつも改善すべき点がありました。そこで、西武グループ最大の会員サービスである「西武プリンスクラブ」の170万人の会員データをはじめとする豊富なデータ資産を生かすためにも、変わってゆく世の中に対応するためにも、グループ全体で本気でDXを推進することになりました。

我々の部署では、グループ横断のマーケティングとDXの戦略策定と推進をミッションとし、様々なプロジェクトの立ち上げや、先ほど申し上げたマーケティングデータ基盤の構築やグループ横断でサービスを提供するような仕組みづくりを進めてきました。

2022年に西武プリンスクラブの会員さまを対象に行ったアンケートによると、「西武グループのサービスにひとつだけ登録している方」がほとんどで、「ふたつ以上登録している方」が非常に少ないという結果でした。この結果からも「複数のサービスに登録し活用する」ということが進んでいないことがわかります。

そこで、「弊社グループのサービスを、より多くの方に知っていただき、使っていただくため」の根本的な仕組みとして、統合ID基盤を導入しようと考えました。

全世界700社の圧倒的な実績と
柔軟な許諾管理機能に惹かれ、SAP CDCを導入!

― SAP CDCを知ったきっかけや、選定の決め手についてお教えください。

手島氏 : 以前からお付き合いのあったNTTグループの営業の担当者さまに「なにかよい統合ID基盤はないか」とお聞きして、SAP CDCを紹介していただきました。

導入の決め手になったのは、実績がとにかく豊富だという点ですね。全世界700社の企業で採用されており、国内の企業にも多く利用されていると聞いて、「それだけの企業で安定的に稼働しているなら信頼できる」と思いました。私たちの主業のひとつである鉄道は、決して止めることができないインフラサービスです。万が一にでも止まってしまうと、大変多くの方にご迷惑をおかけしてしまいます。ですから、関連する会員サービスも、止まることなく安定して稼働するものでなくてはいけません。すでに多くの実績を持つSAP CDCなら、私たちのようなインフラ系の企業が求める高い安定性を備えていると考えました。

株式会社西武ホールディングス 経営企画本部
DX・マーケティング戦略部 課長補佐 手島嗣紋氏

山本氏 : あとは、許諾管理が柔軟に行えるところもよいなと思いました。当社の場合は、先述しました通り、多くのグループ会社が、独自にサービスを運営している状況です。例えばA社とB社では「個人情報の取り扱いに関する同意書」で許諾を取っている範囲が異なるということも多々あります。このような場合に、どこまで許諾が取れているかを確認したり、新たに一括で許諾を取ったりすることができる。同意の記録は改ざん不可能なログとして保存されるため、速やかに監査要求に対応することもできます。許諾まわりの複雑な管理を、しっかりと行えるところも魅力的だと感じました。

― 2023年の3月にSAP CDCの導入を決定されたとお聞きしました。そこから運用を開始されるまでの約9か月のなかで、なにかご苦労された点があればお聞かせください。

手島氏 : シンプルに新たに共通IDのサービスを始めるということであれば容易だと思うのですが、当社の場合は、西武プリンスクラブという会員組織がすでにあり、そこと完全に連携させた状態でサービスをスタートさせなければなりませんでした。これが非常に難しかった。約170万人のお客さまにどうIDを切り替えていただくのか、スムーズな切り替えや運用のためどのようにサービスを設計すればよいかといったことをオペレーション部門と何度も何度も話し合いました。また、関係するシステム会社との調整にも時間を要しました。ひとつのミーティングに5~6社のシステム会社が集まることも多く、その都度、課題の確認や、担当についての切り分けを行わなければならなかったのです。

このようなとき力になってくださったのが、NTTコム オンラインの担当者でした。サービス設計についてプロの視点でアドバイスをしてくださったり、課題の整理をしてくださったり。どんな質問をしても、経験に基づいて具体的に、素早く、しっかりと答えてくださいました。また、エラーや課題についてもすべて先回りして取りまとめ、解決策もセットにして報告してくださいました。とてもやりやすく、信頼できる、まさによきパートナーだと実感しています。

2024年1月、「SEIBU Smile ID」の運用がスタート!
西武プリンスクラブを皮切りに、続々と各サービスが連携予定

― 2024年1月16日、西武グループの共通アカウントサービス「SEIBU Smile ID」の運用が始まりました。現在の状況や、率直なご感想についてお教えください。

手島氏 : 西武プリンスクラブの場合は8桁の会員番号でログインしなければならなかったのですが、SEIBU Smile IDはメールアドレスでログインできるようになりました。NTTコム オンラインの担当者から「共通IDの場合はメールアドレスのほうがよい」「忘れたり紛失したりすることが少なく、利用率も上がる」とアドバイスをいただき、このような仕様に決定しました。実際に自分でログインしてみて、「確かにこれは便利だな」と実感しています。

宇津木氏 : 私は、西武プリンスクラブの会員である母に実際にSEIBU Smile IDに登録してもらって、そのスムーズさに驚きました。西武プリンスクラブのWeb登録を行ったときは、私が横についてやり方を教えながら登録してもらったのですが、それでもかなり時間がかかってしまいました。一方、SEIBU Smile IDの登録のときは、ひとりでサクサク終えてしまったんですよね。SEIBU Smile IDのUIは、関係各所と相談を重ねながら「できるだけわかりやすく、シンプルに」を心がけてブラッシュアップをしてきたもので、それがきちんと機能しているのだと思うと感慨もひとしおでした。とても嬉しく思っています。

現在、SEIBU Smile IDでログインできるサービスは、西武プリンスクラブのウェブサイトとアプリのみですが、これからどんどんログインできるサービスが増えるのだと思うと、非常に楽しみです。

株式会社西武ホールディングス 経営企画本部
DX・マーケティング戦略部 宇津木瑞穂氏

― 山本様はいかがでしょうか? ご感想や、今後の展望などについてお聞かせください。

山本氏 : SEIBU Smile IDでログインできるサービスは、今後、続々と増えていく予定です。まずは軽井沢・プリンスショッピングプラザの公式アプリを皮切りに、商業施設や鉄道、ホテルなどのサービスも随時連携する予定です。また弊社グループと認識されていないサービスとも連携していきます。将来的には互いにメリットがありシナジーを生み出せる弊社グループ外のサービスとも繋がっていきたいですね。もちろんSEIBU Smile IDによって得たデータを利活用し、サービスの改善や需要創出に役立てる取り組みを進めてまいります。

SEIBU Smile IDはまだ始まったばかりですが、「西武グループのすべてのサービスがSEIBU Smile IDでログインできる世界」を実現していきます。その時CDCがインフラとして定着し、当たり前のように使われる日が来るといいですね。

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