2022/08/30

技術・アーキテクチャ

SAP Customer Data Cloud機能紹介: シングルサインオン(SSO)

ビジネスのDX対応の必要性が高まる中、Webサイトやモバイルアプリにおける顧客体験(カスタマーエクスペリエンス・CX)を改善することの必要性がますます高まっています。特に、いろいろなサービスがオンラインで提供されるようになった結果、登録・ログインを求められる機会はますます増えています。CXを決定づける要因の一つが、ユーザーアカウントの登録・ログインに関する操作性なのです。
新規登録に際して不必要と思えるほどに多くの入力項目を要求されたり、登録・ログインを不必要に何度も要求されたりすると、ユーザーは離脱してしまい、二度と戻ってこないという結果につながります。これは、新規顧客獲得や顧客リテンションにおける大きな機会損失といえるでしょう。サービス提供事業者側としては、個々のユーザーを正しく認証するために登録・ログインは必須とならざるを得ませんが、これがユーザーに不便を強いることにもつながっているのです。

この二律背反を解消できる技術として昨今大きな注目を集めているのがシングルサインオン(SSO)です。SSOとは、1度のユーザー認証によって複数のサービスの利用が可能になる仕組みをいいます。
SSOを上手に活用することでユーザー登録・認証の機会を最小限に留め、カスタマージャーニー全体をよりスムーズなものとすることで、顧客体験を改善し、コンバージョンやリテンションを高めることを期待できます。特に、例えばコンテンツサイトから購入サイトへ誘導する際にそれぞれのサイトのドメインが異なっているといった場合に、これらのサイト間でSSOを導入しておくことで、ユーザーをスムーズに購買まで誘導することが出来るでしょう。
また、パスワード忘れなどに起因するサポートへの問い合わせの減少や、ユーザーが二重に登録してしまうことの防止、さらには、ユーザーに関するデータの信頼性の向上などのメリットも期待できるのです。
一方で、ユーザーのプライバシーに関する意識・関心の高まりを受けて、SafariやFirefoxといったブラウザはトラッキング防止技術(Intelligent Tracking Prevention)を導入し、サードパーティーCookieの利用に大きな制限を加えています。このことは、Cookie技術を利用したSSOの実現にも大きな影響を与えており、特にドメインの異なるサイト間でのSSOを難しいものにしています。

SAP Customer Data Cloudでは、セントラライズドドメインという仕組みにより、SAP Customer Data Cloudをご利用いただいているお客様がSSOを導入することを可能にしています。
SAP Customer Data Cloud において、SSOを導入するサイトと、ログイン認証を処理するセントラルドメインサイトをSite Groupと呼ばれる一つのグループとして設定します。グループ内のいずれかのサイトにおいてユーザーがログインを試みた場合、セントラルドメインサイトに自動的にリダイレクトし、そこでログイン認証を処理します。認証に成功すると、ログインを試みたサイトに再び自動的にリダイレクトされます。
その後、SSOが導入されている別のサイトをユーザーが利用しようとした場合は自動的にログインした状態となります。ユーザーが利用しているブラウザがITPを導入している場合は「ログイン」ボタンが表示されます。クリックすると、再びセントラルログインページにリダイレクトされ、セッションがアクティブであると確認されれば元のサイトにリダイレクトされます。このようにして、ITPを導入しているブラウザを利用しているユーザーに対してもSSOに基づいた顧客体験を提供できます。

当社は、SAPのパートナー企業としてSAP Customer Data Cloudの導入支援に豊富な経験を有しています。顧客ID管理や統合に関心をお持ちの方は、グローバルで高い評価を受けるSAP Customer Data Cloudの国内における豊富な導入支援実績を有し、高い評価を受ける当社にどうぞご相談ください。

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