2021/01/22

顧客データ活用・管理

ビジネスのDX化に際して「顧客の信頼」がなぜ重要か

新型コロナウイルスの感染拡大により、ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)対応の必要性が大きくクローズアップされるようになりました。いまや、DX対応の巧拙が企業の命運を分けるともいわれています。

「新型コロナウイルスが加速するDX対応が求める顧客ID認証基盤とは」

経済産業省は、2018年に公表した「デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン」において、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義しています。この定義からも、DXの目的は「競争上の優位性を確立すること」にあるといえるでしょう。しかし、ややもすればIT技術・デジタル技術の導入自体が目的化してしまうケースもあるようです。
CRM分野の著名なアナリストでありセールスフォース社のGlobal Innovation Evangelistとしても活動しているBrian Solis氏は、ZDNetに寄稿した記事の中で「DX戦略の展開に際しては、顧客との関係・信頼を第一に置くべきである」と主張しています。

(ZDNet Getting to the purpose of digital transformation: Put relationships and trust first

この記事の中で同氏は「DXにおける最大の問題はデジタルへの過度の依存にある」とし、「テクノロジーがもたらすものは人々とつながる手段であり、人々とつながり、そのつながりを保ち続け、そしてビジネスを成長させるのは関係性である」としたうえで、「成功する関係性の背後にあるのは信頼である」と述べています。
セールスフォース社の調査によれば、回答者の95%は「信頼している企業に対してより高いロイヤリティを持つ」ことが明らかになっているそうです。さらに、「2019年に比べて2020年に企業の信頼性がより重要になった」と回答した人は82%にものぼっています。そして、「2020年には企業を信頼することが難しくなった」と回答した人も61%となっています。これらの結果をもとに、同氏は「信頼を勝ち得ることはCEOにとっての最優先事項である」と主張しています。

(Salesforce "State of the Connected Customer"

では、顧客からの信頼を勝ち取り、維持し、さらに強めていくためにはどうすればいいのでしょうか? 同氏は、最初のステップは「信頼とは何かを理解すること」とし、「信頼の4つの要素」として以下を挙げています。

  • コンピタンス (Competence): 組織、およびその成員やテクノロジーが、約束を遵守するために自分たちが「出来る」と宣言したことを実行する能力。
  • 信頼に足り得ること (Reliability): 組織、およびその成員やテクノロジーが、いついかなる時でも宣言したことを実行する能力。
  • 誠実さ・正直さ (Integrity or Honesty): 組織、およびその成員が、それが招く結果を気にせずに真実を伝え、正しいことをしようとする性質。
  • 善意・共感 (Benevolence or Empathy): 組織、およびその成員が、意思決定や行動において、顧客の利益と成功を第一に考えようとする性質。

そして同氏は、次のステップは、上記の各要素に照らして現在どのような行動を取っているか、改善するために何が出来るかを検討し、信頼性を改善するための計画を策定することである、としています。

DX化を急速に進める中で、ECサイトやアプリを短期間で構築・運用を開始した企業も増えています。この中で、ユーザーに十分な説明をせず事前の同意も得ることなく顧客データを収集・利用しているケースも明らかになっています。プライバシーに対する消費者の意識が高まっている中、このような運用は顧客の信頼を大きく損ない、ひいては競争優位を失うことにつながりかねません。経済産業省の定義するDXからも逸脱することは明らかです。
DXの推進には顧客データの収集・活用によるパーソナライゼーションが不可欠であるからこそ、顧客データの収集範囲や利用目的の明確な説明と事前の同意の取得、そしてそれらをいつでもユーザーが確認しマネージできる機能が「顧客の信頼」を勝ち取るうえで不可欠であるといえるでしょう。

SAP Customer Data Cloud from GIGYAは、単一のカスタマー・プロフィールにユーザーの個人データ、「同意」に関するデータ、プリファレンスに関する様々なデータを格納し、これらのデータを「シングル・カスタマー・ビュー」として一元的に管理したうえで、マーケティング・オートメーションなどの他システムに反映させる優れた機能を有しています。
また、セルフサービス型のプリファレンス・センターを提供する機能を提供します。このプリファレンス・センターにおいて、ユーザーが自身の操作で個人データを閲覧、デジタル形式でダウンロードできるだけでなく、自身の個人データの利用停止・消去をいつでもリクエストできる機能を提供することが出来ます。
さらに、このプリファレンス・センターにおいては、ユーザーがどのような利用目的に対して個人情報の利用について「同意」しているかを確認したうえで、場合によってはその「同意」を撤回する操作を行うことも可能です。
ユーザーの操作により個人データの利用の停止や消去、「同意」が撤回された場合には、SAP Customer Data Cloud from GIGYAは接続されているシステムに対してそのことを反映させます。

これらの機能を提供することで、企業はユーザーに対して顧客データの収集・活用における「透明性」を実現することができます。このことは、ユーザーからの信頼を勝ち取り、競争上の優位を確立するうえで有効に働くことが期待できます。

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