2022/07/01

顧客データ活用・管理

ますます増大するデジタルマーケティングの役割と課題とは

「ネット担当者フォーラム」は、世界最大級のネット通販業界の専門誌「Digital Commerce 360」が実施したデジタルマーケティングの予算・施策・費用対効果・顧客獲得戦略などに関する調査結果についての記事を掲載しています。
(ネット担当者フォーラム 「デジタル予算、マーケ施策とその効果、SNS活用、顧客体験向上への投資など【デジタルマーケティング大調査2022】」
(Digital Commerce 360 "The Retailer Speaks: 66% of retailers have increased their digital marketing budgets in 2022"
この調査は、2022年4月から5月にかけて、オンライン小売事業者73社を対象に実施されたものです。

この調査からまずうかがえるのは、マーケティング活動全般に占めるデジタルマーケティングの役割の増大です。マーケティング予算全体のうちデジタルが50%を占めると回答した回答者の割合は44%に達しており、2022年にデジタルマーケティング予算を増加すると回答した回答者も66%, 来年はデジタル広告費が増加すると回答した回答者も72%にのぼります。
導入されているデジタルマーケティング施策をみると、メール・検索エンジン・コンテンツマーケティング・検索連動広告・Facebookの導入割合は70%を超えており、既に多くの企業が手掛ける施策という地位を確立しているといえるでしょう。検索連動広告・検索エンジン・メールについては、いずれも35%以上の企業が「予算の11%以上を費やしている」と回答しており、予算の多くの割合を獲得する施策ともなっています。また、これらの施策は、「効果があった」という回答の割合が多い施策ともなっています。

一方で、マーケティングの効果を上げるための課題についてみると、「施策の分析」や「ルールやアルゴリズムの変化の中でのパフォーマンスの維持」、「FacebookやGoogle以外のマーケティングミックスの多様化」に加え、「収益性の確保」「ROI」といった費用対効果の面が挙げられています。投下する予算が増大している一方で、実施した施策の効果や全体的な収益性・ROIの分析に苦慮している実態がみえています。また、特に検索エンジン・検索連動広告やソーシャルメディアキャンペーンにおいて支配的な地位を有するGoogleやFacebookが頻繁に実施するルールやアルゴリズムの変化の中でいかに施策のパフォーマンスを維持するかに注力する一方で、従来型の施策に加えて新たな施策を模索する姿が浮かび上がってきます。

AppleやGoogleが進めているサードパーティークッキーへの規制をはじめとするサードパーティデータへの対応については、「現在も模索中」が32%, 「戦略は変えていない」が27%となっている一方で、「メール登録を促す新たな方法を試行」している回答者が26%, 「ファーストパーティデータをより優先させた」という回答が25%となっています。一方で、「ファーストパーティデータを収集するための技術についての判断が難しい」という回答も15%ありました。

この調査からは、eコマース事業者が新規の顧客獲得を主な目的としてますますデジタルマーケティングに注力する一方で、その収益性や費用対効果の分析に苦慮している姿が浮かび上がってきます。また、この分野において支配的なプラットフォーマーであるGoogleやFacebookによるルールやアルゴリズムへの変更に対処する必要性を迫られている中で、特にサードパーティークッキーを規制する動きへの対応に本格的に着手しつつあることがわかります。一部の事業者は、ファーストパーティデータに着目しその活用を広げつつある一方で、ファーストパーティデータの収集をどのように進めればよいか判断できていない事業者も少なくないようです。

サードパーティークッキーの規制の本格化により、ファーストパーティデータに着目する動きは加速しています。自社の顧客基盤を拡大し、ファーストパーティデータとして顧客データを収集・活用することで、「顧客第一の視点に立ち、企業が欲するものを提供するだけではなく、顧客一人ひとりが自身の好む体験を提供することを手助けする」ことを通じて顧客との長期的な関係を構築し、ますます激化するDX時代の競争環境に勝ち残ろうとする企業が増えています。
「個人の顧客基盤の拡大を目指す理由、その実現に向けての課題とは」
一方で、ファーストパーティデータとして収集する顧客データを適切に利用するためには、利用目的を分かりやすく明示したうえで、事前に顧客からの同意を得る必要があります。先ごろ施行された改正個人情報保護法においても、利用目的の特定に際して「本人にとって一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に特定すること」とされています。また、顧客データを保有することは、本人からの請求に応じた開示・訂正・削除等の義務を負うことにもつながることを留意する必要があります。
これらの複雑な課題を解決することの難しさが、「ファーストパーティデータを収集するための技術についての判断が難しい」という回答につながっているといえるでしょう。

ファーストパーティデータの収集・利用を推進しつつ、プライバシー法制度が求める様々な規制への対応を進めるためには、顧客データ基盤には以下のような機能が求められます。

  • ユーザーがスムーズに登録・ログインを完了できる登録・ログイン画面とフロー
  • プライバシー法制度に準拠した個人データの収集・利用に関する「同意」の収集・管理
  • プライバシー法制度が認める、ユーザーが自身の個人データについて行使できる権利(閲覧権・修正を求める権利・削除を求める権利・利用停止を求める権利など)の保障
  • ユーザーからの同意のもとに得られた個人データを確実に紐づけ、マーケティング・オートメーションやCRMなどのダウンストリームシステムに確実に連携させるデータ連携機能

SAP Customer Data Cloudは、ファーストパーティデータの活用を支える顧客ID管理基盤として、これらの要素に応える様々な機能を提供します。
まず、ユーザーの新規登録を容易なものとしたうえで、リレーションシップの進展につれて、ユーザーからの同意のもとに徐々にデータを集め、「シングル・カスタマー・ビュー」としてセキュアに管理するための様々な機能を提供します。
具体的には、「Light Registration」機能により、ユーザーにメールアドレスのみの入力を要請する画面を表示することができます。カスタマー・ジャーニーの最初の段階で「ライトな」リレーションシップを構築するうえで有用な機能となります。
「Light Registraion]でメールアドレスを登録したユーザーが本登録したいと考えた場合は、登録済みのメールアドレスを用いてパスワードを設定するかたちで本登録に進むことも可能です。この際に(あるいはその後に)、「Progressive Profiling」機能により、ユーザーに対して徐々にデータの提供を要請する画面を表示することも可能です。もちろん、利用規約やプライバシーポリシーなど必要な「同意」を取得するための機能や、登録ユーザーが自身の「同意」や個人データの内容を確認し、いつでも「同意」を撤回したり、個人データを修正したり、削除を要請するといった機能も備わっています。
さらに、Identity Syncと呼ばれるデータ連携機能を通じて、収集したデータをスピーディーにデジタルマーケティングシステムに連携させることが可能です。
ユーザーの操作により個人データの利用の停止や消去、「同意」が撤回された場合には、SAP Customer Data Cloudは接続されているシステムに対してそのことを反映させます。セルフサービスの機能により、いつでもユーザーからの開示要求や利用停止要求に対応できることは、これらの要求に対してコールセンターなどで受け付けマニュアル・オペレーションで対応することに比べて、大きなコストメリットにつながるだけでなく、顧客体験の点においても大きなメリットとなることが期待できます。

当社は、SAPのパートナー企業としてSAP Customer Data Cloudの導入支援に豊富な経験を有しています。GDPRなどのプライバシー法規制対応に関心をお持ちの方は、グローバルで高い評価を受けるSAP Customer Data Cloudの国内における豊富な導入支援実績を有し、高い評価を受ける当社にどうぞご相談ください。

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