2018/07/18

顧客データ活用・管理

Me2Bのウェーブを捉えるには - 顧客に個人データのコントロール権を与える

インテリジェントな企業は、Me2Bという新たなパラダイムへの需要をどのように満たしていくのでしょうか?これは、「カスタマー・コントロール」という言葉で表現されます。SAP Customer ExperienceのプレジデントであるAlex Atzberger氏は次のように述べています。
The customer revolution: CRM, CX, and trust

「Me2Bの世界が意味するところは明らかです。顧客が、どのようにビジネスとかかわるかについての条件を決めるのです。ハッピーに思わなければ、取引を続けてはくれないのです。」

市場のトレンドを越えて、カスタマー・コントロールはEUの一般データ保護規則(GDPR)の中核となっています。GDPRは、個人データの収集・処理の透明性を高め、消費者による自身のデジタル顧客体験に対するコントロールを強めるためのものなのです。
顧客を、単なる販売機会ではなく「人間」として遇するためには、ブランドは消費者に語りかけるだけでなく、消費者の声を傾聴する必要があります。しかし、「なぜ?」から「何を?」「どのように?」というところまで掘り下げようとすると、カスタマー・コントロール・ソリューションには曖昧さがあるようです。
Me2Bの基本を理解するために、いくつかのアングルからカスタマー・コントロールという概念についてみていきましょう。

現代の消費者は多くのデータポイントを持っている

最近のCMO Councilの調査によれば、GDPRへの対応状況アセスメントを通じてマーケッターは当初想定したよりも「はるかに多くの」データ収集ポイントを発見したそうです。現代の顧客が日々どれほど多くのデータを創り出しているかを考えれば、これは驚くべきことではありません。
もちろん、消費者は「データを創り出している」と考えているわけではありません。時間の節約や良い条件の獲得、求めているものを見つけるために、オンラインショッピングを行い、レビューを投稿し、アカウントを登録しているのです。
以前は、ビッグデータ産業はこれらの行動が創り出すデータを大いに享受していました。多くの企業が消費者の個人データを同意なしに収集し処理していたのです。テラバイトクラスのサードパーティの消費者データを売買し、パーソナライゼーション・エンジンやマーケティング・テクノロジーの効率を高めるために利用しました。
政府や消費者はこの状況に対してほとんど何も出来ませんでした。

大きな嵐

大規模な個人データの漏えいやデータの不正利用スキャンダルに怯え、大量のスパムメールや何週間も同じ広告にインターネット上で追いかけられることにうんざりして、消費者は変革を求め始めました。
そして、2016年にEU規制当局はGDPRのドラフトを作成しました。その極めて複雑な要求に対応する時間を企業に与えるために、EUはGDPRの施行前に2年間の移行期間を設けました。Facebookによるケンブリッジ・アナリティカ事件を受けて消費者のプライバシーへの関心が大きく高まる中で、GDPRは解決策として注目されるようになりました。なぜなら、GDPRは消費者(または「データ主体」)に新たな権利を与え、消費者が自身の個人データの閲覧・アクセス・コントロールを出来るようにすることを企業に求めているからです。
これらの新たな権利の究極のゴールは、顧客がブランドとのエンゲージメントに関する条件を指示できるようにすることです。
GDPRが施行され、消費者はこのような細かいレベルまでのアクセスやコントロールを企業に期待するようになっています。
CMO Councilの調査によれば、GDPRへの準拠を進めるうえでマーケッターが得た主要な気づきは、消費者のデータセキュリティ問題への関心の高まりだそうです。消費者とEU規制当局が求めているものは自身の個人データへのコントロールの強化であり、GDPRは、企業にそれを提供するように強いるメカニズムなのです。

セルフサービス型プリファレンスセンターの利点

最新のAccenture Pulse Checkによれば、享受する自身の顧客体験・オファー・プロダクトをキュレートするうえでの助けとなるならば、“living profile” には価値があると考える消費者は74%だそうです。“living profile”, あるいはセルフサービス型プリファレンスセンターとは、あらゆるデバイスやプラットフォームでアクセス可能な単一のポータルから個人データのコントロールをトータルに実行できるようにするアイディアです。

消費者に自身の顧客体験をデザインさせることで、包括的かつ直観的なプリファレンスセンターは企業にとって顧客との信頼を築きロイヤルティを強化する機会となり得ます。また、GDPRの要求に対応するためのプラットフォームともなるのです。
これを実現するためには、プリファレンスセンターは、企業の組織全体をまたがる顧客データの単一のソースとして機能する統合されたカスタマー・プロフィール上に構築されなければなりません。顧客体験をより首尾一貫したものとするだけでなく、このプロフィールとカスタマー・エンゲージメント・ソリューションとの間での双方向の同期化を実現します。
プロフィール、プリファレンス、同意に関するデータを格納する複数の「サイロ」をメンテナンスするのではなく、これらのデータを一ヶ所に中央化することで、消費者のパーミッションを他のシステムに適用する(その逆も)ことが簡単になります。このやり方により、マーケティング・セールス・サービス戦略のパーソナライズ化を続けつつ、オムニチャネルのカスタマー・ジャーニー全体を通じて顧客の要望を叶えることが出来るのです。

全体像を捉える

顧客に自身の個人データと顧客体験へのコントロールを与えることがMe2Bの中心ですが、これ一つだけというわけではありません。顧客との信頼関係の構築に向けた全体的なアプローチには以下の要素があるべきです。

  • 顧客に対して、個人データの収集・処理がなぜ必要でどのように行われているかについて透明性を確保する
  • 「プライバシー・バイ・デザイン」をシステムと運用に根付かせるために、組織横断的な責任の引き受けを目指す
  • 個人データの漏えいやますます進化するサイバー犯罪を防止・対応するための新しい戦略を構築する

原文はこちらです。(SAP社サイトに遷移します)
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