2020/03/30

顧客データ活用・管理

GIGYA機能紹介:IdentitySync(データ一括転送)

SAP Customer Data Cloud from GIGYAの特徴の1つは、IdentitySyncという高度なユーザデータ連係機能で、一般的にはETL(Extract, Load, Transfer)と呼ばれるものです。IdentitySyncの主な用途は、

  • ①データの書き出し(SAP Customer Data Cloud from GIGYA→外部システム)
  • ②データの取込み(外部システム→SAP Customer Data Cloud from GIGYA)
  • ③データ処理(SAP Customer Data Cloud from GIGYA→SAP Customer Data Cloud from GIGYA)

それぞれについて説明していきます。

①データの書き出し(SAP Customer Data Cloud from GIGYA→外部システム)

対象となるSAP Customer Data Cloud from GIGYAのデータは、Account(ユーザIDに紐付くデータ)、DataStorage(ユーザIDとは別の領域のデータ)、Audit(監査ログ)になります。ここでは最も良く利用される、Accountデータを外部のツールに連携する方法を紹介します。

IdentitySyncの作業は下記の3つのステップで完了します。

  • STEP1:Dataflowの作成
  • STEP2:Dataflowの編集
  • STEP3:Dataflowのスケジュール設定

各ステップについて、具体的に説明します。

STEP1:Dataflowの作成

Dataflowの作成は、あらかじめ用意されているテンプレートを利用することができます。
データ出力の基本のテンプレートとして例えば、「AccountデータをSFTPサーバに書き出す」という物があります。
管理画面のDataflow作成画面でこれを選択すると図1のような画面になります。

図1:データフロー編集画面(AccountデータをSTFPに書き出す例)

図1:データフロー編集画面(AccountデータをSTFPに書き出す例)

この例では、6つのステップでデータフローが定義されており、1つめがデータ読みこみ。2つめから5つめがデータの変換処理、そして最後がデータの書き込み処理になります。フローに記載されているように、1つめはSAP Customer Data Cloud from GIGYAのAccountデータを読む設定になっています。2つ目は、rename つまり カラム名の変換処理になります。受け取るツール側で、カラム名をキーにしてデータを取り込む場合、ここでカラム名を書き出すツール側に合わせます(図2)。

図2:カラム名変換ルールの例

図2:カラム名変換ルールの例

3つめは、remove つまり不要なカラムを除去します。例えば、マーケテイングオートメーションやCRMに連携する場合は個人情報を書き出す必要がありますが、匿名のまま処理を行うDMPや分析基盤においては、不要な個人情報を削除する必要があります。

4つ目は フォーマット変換です。この場合はCSV(カンマ区切り)やTDV(タブ区切り)など、任意のキャラクタで区切られたDSV形式のファイルに変換します。図3のように、SAP Customer Data Cloud from GIGYAにはDSVだけではなく(File.Format.Dsv)だけではなく、様々な変換処理があらかじめ用意されています。

図3:SAP Customer Data Cloud from GIGYAであらかじめ用意されているフォーマット変換の例

図3:SAP Customer Data Cloud from GIGYAであらかじめ用意されているフォーマット変換の例

汎用的なJSON形式もあれば、Adobe Audience Manager(File.Format.aam)など、デジタルマーケティングツールのフォーマットにも対応しています。スクリプトを記述することにより、自由に変換処理を作成することも可能です。

5つ目はファイルの圧縮指定となります。
そして6つ目でSFTPサーバに書き出します。

STEP2:Dataflowの編集

このテンプレートをベースに、データ連係の要件に従って、各処理ステップへの変更、処理ステップの追加および削除を行います。ここでは、データをSFTPに書き出すのではなく、Salesforce Marketing Cloud(SFMC)に書き出すケースを想定して編集を行います。
データの書き出し先を変更するには、まず、新しい書き出し処理(Writer)を追加します。SAP Customer Data Cloud from GIGYAにはあらかじめ様々なWriterが用意されており、SFMCも含まれています(メニュー上は旧名のExacttargetとなっています。)
図4のようにSFMC(Exacttarget)を選択してフロー図にDrag&Dropで追加します。そして、removeの処理からマウスをクリックして線を引き、exacttargetの処理でクリックを離すと処理ステップとして結合されます。

図4:フロー図への追加画面

図4:フロー図への追加画面

さらにexacttargetの鉛筆アイコンをクリックしてAPIにアクセスするための各種情報をインプットします。さらにExacttarget側のテーブルとカラム名をすり合わせておきrename等の処理が必要となりますが、ここでは割愛します。

また、SFTPへの出力は不要となるので、図4の「dsv」「gzip」「sftp」の処理は、ゴミ箱アイコンをクリックして削除します。
作業が終わったところでDataflowを保存します。

STEP3:Dataflowのスケジュール作成

保存したDataflowに対して、スケジュールを作成します。スケジュールの名称、実行間隔(通常は1日)、開始時刻、ログ情報レベルの設定、成功/失敗時の連絡先メールアドレス、等を設定してスケジュールを作成します。(図5)

図5:スケジュール作成画面

図5:スケジュール作成画面

これでデータ書き出し処理の設定は完了します。もちろん、SFMC側でもデータ連係用のテーブルの用意などが必要となりますが、ここでは割愛します。

②データの取込み(外部システム→SAP Customer Data Cloud from GIGYA)

データの取込みにおいても、設定する方法は基本的には書き出しの時と同様になります。例として、Mailchimpから
データをSAP Customer Data Cloud from GIGYAに取り込みつつ、SFTPにも保存しておくという処理を設定した場合のフローを紹介します。(図6)

図6:データ取込みのDataflowの例

図6:データ取込みのDataflowの例

③データ処理(SAP Customer Data Cloud from GIGYA→SAP Customer Data Cloud from GIGYA)

一見、データ連携処理ではないように見えるこのケースですが、実は非常によく用いられます。
サービスにおいてユーザが登録を削除(退会)する場合に、リアルタイムでは削除せず、いったん解約フラグを立てておいて、後日実際に削除する、という処理を行うことが求められます。この「後日削除する」という処理をDataflowで行うことができます。考え方として、Accountデータを読みこみ→X日前に解約申請を行ったユーザを検出→Accountデータの削除 という処理の流れを設定します。
このようにDataflowの仕組みを利用することにより、SAP Customer Data Cloud from GIGYA内部のデータ処理を設定、実行することが可能になります。

IdentitySyncを利用することにより、デジタルマーケティングツールとの連携をスムーズに、さらにあらかじめサポートされているツールについては連携サーバ等の開発を行うことなしに開始することが可能になります。また、近年個人情報管理の強化が重要視されているトレンドにおいて、顧客のプロファイルや同意情報をしっかと連携するためにも、この機能はより重要な機能となると思われます。ぜひこの機能を御社の顧客データ活用と管理にお役立てください。さらに詳しい機能にご興味がある方は、是非下記フォームにてお気軽にお問い合わせ下さい。

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