あいおいニッセイ同和損害保険株式会社様

ビデオトークはコロナ禍への対応策としてだけでなく、
業務効率化ツールとして今後欠かせない

火災保険、自動車保険からニューリスクに対応する保険まで、幅広い内容の損害保険事業を展開するあいおいニッセイ同和損害保険株式会社。近年急激に増加している水害・風害による保険金請求の効率化を期待され、同社のニューノーマルとして導入されたのが、「ビデオトーク」によるリモート損害鑑定・調査でした。
ここではその導入経緯と導入後の活用について、同社の矢野氏、柴崎氏、手塚氏にうかがいました。

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社
損害サービス業務部(担当部長・自然災害対策プロジェクトマネージャー) 矢野 明 氏
損害サービス業務部(主任・自然災害対策プロジェクトメンバー)    柴崎 佑翔 氏

毎年のように起こる大規模災害。人海戦術での対応はもはや限界に

― 貴社の事業内容と、皆様の業務内容についてお聞かせいただけますか。

手塚氏 : 当社は、MS&ADインシュアランス グループの中核事業会社である損害保険会社です。自動車保険をはじめ、火災保険、また近年はサイバーリスクなどのニューリスクに備える損害保険も提供しています。
当社商品の強みのひとつが「テレマティクス自動車保険」です。例えば急ブレーキ・急アクセル・速度超過といった車の運転挙動データを元に保険料を割り引いたり 、ドライブレコーダーの画像を損害サービス業務、いわゆる事故対応に活かしたり、そういったテレマティクス技術による先進的な取り組みに注力しています。

矢野氏 : 我々が所属する損害サービス業務部は、損害が起こった際の保険金支払いに関する業務を行う全国各地の保険金支払い部門を統括、サポートする本社部門です。
我々がサポートする全国各地の保険金支払い部門では、例えば自動車の事故が起こった際に「車がどの程度壊れていて、修理にどれほどの日数や費用がかかるのか」について修理工場と打ち合わせを行い、結果をお客様にお伝えし、ご請求いただいて保険金をお支払いする、といった業務をおこなっています。
今回ビデオトークを活用した領域は火災保険、中でも自然災害により被った損害に関する保険金お支払い業務です。大規模な自然災害が発生した際に行われる調査の領域の中で活用させていただいています。

― 導入のきっかけはどのようなことだったのですか。

矢野氏 : 直接のきっかけは令和2年7月豪雨とコロナ禍でしたが、実は当社だけでなく、業界全体として以前から大きな課題を抱えていました。
遡ること2018年、台風21号による保険金の請求は約12万件ありました。直後の台風24号によるものが約8万件、他にも大阪府北部地震や西日本の平成30年7月豪雨もあり、この年だけで合計約25万件もの請求をいただいたのです。それまでの大規模災害、例えば東日本大震災による請求は約11万件でしたから、その倍以上の請求が殺到したことになります。
こうした自然災害は短期間に請求が集中します。従来はその期間だけ各地から人員を集め、人海戦術で乗り切る方法が一般的でしたが、2018年の未曾有の状況では、お客様への迅速な保険金支払いとともに日常的な業務にも大きな影響が出るという課題を抱えることになりました。

そこで、大規模災害が常態化する可能性も考え、体制をしっかり整える必要があるだろうと、当社では「自然災害対策プロジェクト」という、部門横断のプロジェクトを立ち上げました。
このプロジェクトでは、それまで紙の書類で行われていた保険金請求の作業をペーパーレス化しました。紙、つまり現物であるがゆえに特定の場所に人を集めなければならないという状況を改善して、紙でいただいた書類をすべてデータ化し、どこでもリモートで見られるようにしたのです。各地の社員が自らの職場や在宅勤務時にもすぐデータを参照できるようにし、全国各地の社員を1カ所に集めずに災害対応を行えるようになりました。
ところが令和2年7月豪雨では、このリモート環境だけでは十分といえない状況になりました。7月豪雨は水害、いわゆる家屋が水に浸かってしまう被害が非常に多かったのです。水害は保険金をお支払いする条件として、「何cmくらい家屋が浸かったか」を現物で確認しなければなりません。
従来はこうした損害確認について社外の鑑定人(損害保険登録鑑定人)を全国各地から被災地へ集めて、家屋の立会調査をしていたのですが、コロナ禍の中ではお客様も他人と対面することは避けたい、特に他地域からやってきた鑑定人と対面するとなると懸念が大きい。ここに、リモート環境を活用することはできないかと考えました。
そこで、まずは都道府県をまたぐ移動をしない現地勤務の社員が現場へ赴き、SkypeやFaceTimeのビデオ通話を使ってバックオフィスで構える鑑定人から必要な指示やアドバイスを受け、家屋の調査を行うという取り組みを開始しました。ただ、そこからもう一歩進んで、お客様宅に訪問することなくお客様と鑑定人が直接ビデオ通話をし、必要な画像を撮影してもらうことができれば、対面による感染リスクは完全になくなります。加えて、全国各地から社員や鑑定人を被災地に集める移動時間やお客さま宅を訪問する移動時間もなくなるので、業務も効率化でき、お客様に保険金をお支払いするまでの所要日数も短縮することができます。この案をお客様にできるだけ負担をかけずに実現できるツールはないかと探していた時に、ビデオトークを知り、トライアルをすることにしました。

― 「ビデオトーク」導入の決め手はどのようなところだったのでしょうか。

矢野氏 : やはり、お客様側でアプリのインストールが不要なことです。そのためお客様のオペレーションが非常にシンプルになります。リモート調査に活用できそうなツールは他にもありましたが、アプリのインストールが必要なものがほとんどだったのです。
ビデオトークはSMSさえ受信できれば、後はクリックするだけで通話が可能なので、「より多くの方に受け入れてもらえるのではないか」と感じました。

柴崎氏 : 実際にビデオトークのトライアル時に、お客様に損害状況を映していただいて、ビデオトーク越しに確認という形で対応させていただきましたが、SMSを送って、URLをクリックしていただくだけでビデオ通話ができる非常に簡易な仕組みですので、お客様からも好評で「使いやすかった」というお声をいただいております。

限られた人数の鑑定人で、迅速に調査を進めるためにビデオトークで効率化を

― ビデオトークの活用シーンは「リモート鑑定・調査」とのことですが、具体的にはどのように行うのですか。

矢野氏 : 保険の種類にもよりますが、一般的な火災保険の浸水被害に対しては、例えば浸水高(水に浸かった高さ)によって保険のお支払い金額が変わるといった契約や、なかには保険金をお支払いできない契約もあります。つまり「どこまで、どのように浸かったか」を確認することが必要で、そのためには、ビデオ通話越しであっても目視のチェックが必要になります。
平時であれば鑑定人が現地へ赴くのですが、鑑定人とお客様がビデオ通話できれば、浸水の跡にメジャーを当ててもらって「〇〇cm浸水」という形ですぐ確認できます。移動時間のロスがなくなるので、1人の鑑定人が受け持つ件数も増やせますし、今後はこういった形で有効活用できればと考えています。

今後、ビデオ通話を活用した損害保険鑑定・調査は主力になっていくはず

― オンライン調査が本格的に導入された際には、どのような成果を期待されていますか。

矢野氏 : まず、従来の方法で「鑑定人が現地で立会調査をする」ためには多くのリソースが割かれます。鑑定人は当社社員ではなく、現地に十分な要員もいないため、災害が起きた際には専業の鑑定会社へ依頼して、被災地へ出張してもらうのです。
なにせ急なケースが多いですから、空いている鑑定人から現地へ向かってもらい、必要な人数が現地に揃うには数日かかることもあります。さらにお客様とのアポイントも、都合よく取れるとは限りません。
今後、鑑定人には現地へ赴く代わりに、当社の災害対応拠点へ来てもらう予定です。直接お客様とビデオトークでやり取りしていただけるとなれば、1日当たりの調査件数も倍増しますし、調査日数も2~3日は短縮できるでしょう。お客様にも「30分程度、ビデオ通話のお時間をいただければすぐ確認できますよ」とご説明すれば、便利に感じる方は多いのではないでしょうか。
加えて、現地勤務の社員が現場へ行って、鑑定人と社員がビデオトークでやり取りする形も併用しますので、お客様の状況・ニーズに合わせて対応できると考えています。

― 導入、定着後にさらに取り組みたいことなどはございますか。

矢野氏 : この先いつかコロナ禍が収束する時がきたとしても、損害サービス業務は今後従来の形に戻ることはなく、あらゆる場面でリモート対応が一層進展していくと見込んでいます。
ビデオトークは、コロナ禍における対策としては特に有効だと感じましたし、リモート対応もこれを契機に加速しましたが、その一方で、働き方を変えるツールとしても重要な位置にあるのではないでしょうか。今後、ビデオトークを活用した方法は損害調査の主力になるだろうと思いますし、災害対応に限らず利用シーンが増えてくるだろうと感じています。

― 貴社の業務効率化の一助としてビデオトークをご活用いただけるよう、今後もサポートさせていただきます。本日はありがとうございました。

取材にご対応いただいた方
損害サービス業務部(担当部長・自然災害対策プロジェクトマネージャー) 矢野 明 氏
損害サービス業務部(主任・自然災害対策プロジェクトメンバー)    柴崎 佑翔 氏
広報部(主任)  手塚 崇仁 氏

課題

  • 近年の自然災害の増加により、保険金の請求が短期的に集中。立会による損害確認をおこなう鑑定人の確保、コロナ禍での移動・対面によるリスクがあった。

効果

  • 災害対応拠点から鑑定人とお客さまをビデオトークで繋ぎ損害確認。調査件数倍増、調査日数2~3日の短縮。

お客様プロフィール

あいおいニッセイ同和損害保険株式会社

https://www.aioinissaydowa.co.jp/

個人向け、法人向けの自動車保険、火災保険・地震保険を主力に、ケガや旅行などの個人保険や、企業リスク保険など多岐に渡る保険商品を提供しています。

(記事の内容は2020/12/8時点のものです。)

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