浜松市 こども家庭部 幼保支援課 様

静岡県の西部沿岸部に位置する、人口約78万人の都市、浜松市。立地・アクセスの良さに加え、温暖な気候、「ものづくり」をはじめとする産業基盤が多く確立され、暮らしやすいまちとしても知られています。そんな浜松市は子育て支援サービスに力を入れており、2022年度から「ビデオトーク」を活用した保育相談をスタート。そこで今回は、オンライン相談を開始した経緯や活用方法などを、浜松市こども家庭部幼保支援課(保育相談センター)の古橋氏、種茂氏、豊田氏に伺いました。
― ビデオトークを導入された保育相談センターの業務内容を教えてください。
種茂氏:私たちが所属している保育相談センターでは、市内の認可保育施設の入園手続きに関する相談や一時預かり事業などの保育サービスの利用の相談を受け付けています。
保育施設の入園・利用の申請者が増加している現在。いかに保育環境を整えていくかを考え、施策を実施していくことが私たちの役割です。
― 保育相談センターでは、2022年3月からビデオトークを活用されています。導入の経緯を教えてください。
古橋氏:2021年度までは保育相談業務は市内7か所の区役所(2024年1月から3区に再編)の窓口で行っていましたが、保育相談に応じる保育サービス相談員の持つノウハウや情報量が異なり、区によってバラツキがありました。相談業務の質を確保するため2022年4月から区役所の相談業務を本庁に集約し、「保育相談センター」を開設しました。
「保育相談センター」の開設にあたっては、遠方にお住まいの方などが市役所に足を運んでいただかなくても相談でき、「担当者の顔を見ながら相談したい」「記入した書類を見ながら、不備があったらその場で解消したい」などの市民の声にも対応できる環境を整える必要がありました。
古橋氏:そこで、「保育相談センター」の開設と同時にビデオトークを活用したオンライン相談を実施することにしました。併せて、各区役所(2024年1月から各区役所、各こども家庭センターの計市内7か所)に専用タブレットを設置し、区役所にお越しいただいた市民と保育相談センターの相談窓口をつなぐサービスを始めました。
― オンライン相談のツールを検討するにあたって、重視したポイントはどのようなところでしたか?
古橋氏:こういったツールを使うのは今回が初めてだったので、市民が迷わずに、簡単かつ確実に利用できること。導入までの準備がスムーズなこと。これらを重視して、いくつかのサービスを比較検討しました。
― オンライン相談を行う際の手順を教えてください。
豊田氏:まず、保育相談センターに電話をし、ビデオ通話を利用したい旨と携帯電話番号またはメールアドレスを伝えていただきます。その後、市からSMS(ショートメール)またはメールでオンライン相談のURLを送付。市民は、そのURLをクリックするだけで、画面を通じて市の職員に相談をすることができます。
オンライン相談の利用案内はウェブサイト等に掲載 するほか、導入当初はリーフレットでも周知していました。非常にシンプルで信頼性のある仕組みなので、「接続がうまくいかない」という声はまったく挙がっていませんね。
― 具体的にどのような相談が多いのでしょうか?
豊田氏:特に多いのが、保育施設のお申込みに関する質問です。なかでも提出書類の記入の仕方や、記載事項に間違いがないかの確認への需要は高いですね。
最近では、海外からアクセスされたケースもありました。この方はもともと浜松市民で、お仕事の都合で、一時的に海外で暮らしているとのことでした。今後、浜松市に戻ってくる予定があり、お子さまを保育園に入園させたいとのご希望があったのです。
国際電話となると料金が気になるところですが、ビデオトークはインターネット接続なので、コスト面でも有利です。まさに、「どこにいても、じっくり相談ができる」のが特徴で、オンラインならではのメリットを感じました。
― 導入後、どのような効果がありましたか?
種茂氏:遠方に住む市民にも対面とほぼ変わらない対応が可能となり、サービスの質は保てていると感じています。
― 今後、ビデオトークを活用して、新しいサービスを展開するなどの構想はありますか?
豊田氏:ビデオトークの「三者通話」の機能を使った相談サービスを実施していきたいと思っています。例えば、健康上の支援が必要な方には保健師を、外国人の相談者に対しては通訳を。また、市役所の他部署も関わる相談の場合は、その担当者も交えてオンライン相談を行うことにより、質の高いサービスが提供できると考えています。
古橋氏:保育相談の需要は今後も増加していくとみています。また、コロナ禍が明けた現在、対面相談を希望する市民は増加傾向にあります。やはり、「対面で相談したほうが安心」と感じている方が多いのかもしれません。
また、さまざまな事情で市役所に足を運べない方、外国語を母国語としている方、国内・国外の遠方にいらっしゃる方など気軽にオンライン相談を利用していただければと思っています。
オンライン相談は、対面相談と同じように、画面を通して相談員の顔を見ながら相談できること、どのような方も気軽に利用できることをよりいっそう周知するとともに、三者間通話を利用するなどオンライン相談の利用の幅を広げていければと考えています。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/
静岡県の西部沿岸部にある、人口約78万人の都市。子育て支援に力を入れ、保育所等利用待機児童0人を4年連続で達成している。「ものづくりのまち」「音楽のまち」としても知られるほか、徳川家康が青年期を過ごした「浜松城」、ウナギの養殖で有名な「浜名湖」など、観光名所も多い。