PM(プロパティマネジメント)型の賃貸管理事業を手掛け、事業拡大を続ける武蔵コミュニティー。店舗を持たない同社の約2万件に及ぶ管理物件において、オーナーと借主のミスマッチによるトラブルを約80%も削減したのが、「ビデオトーク」によるビデオ通話での入居前説明でした。ここではビデオトークの活用方法とその成果、今後の展望について木島氏、黒原氏にうかがいました。
― 貴社の事業内容と、皆様の業務内容についてお聞かせいただけますか。
木島氏:当社は賃貸管理事業を主に手掛けております。もう少しご説明しますと、グループ会社である武蔵コーポレーションが投資用不動産の販売を手掛けておりまして、当社ではオーナー様にご購入いただいた物件の管理をしております。
武蔵コーポレーションは築古物件のリノベーションを得意としておりまして、社内建築士の監修のもと、技術性、安全性を備えた収益性の高いリノベーション済中古物件をご提供しております。また、誰にでもすぐに販売するのではなく、1人ひとりのお客様に合う物件を吟味して販売する点も評価され、15期連続増収を達成いたしました。
当社はその中でも主に「レジデンス」と呼ばれる居住用の物件を、首都圏を中心に現在約19,000部屋管理しております。そして私たち賃貸営業部では、現在入居率約97%という中で、残る約3%のお部屋の入居者を募集しています。
― ビデオ通話導入のきっかけはどのようなことだったのですか。
木島氏:我々は賃貸管理会社の中でも PM(プロパティマネジメント)型といいまして、自社では店舗を持たず、店舗を持つ賃貸仲介会社に物件紹介を代行してもらっています。そのため我々には、入居希望者様に店舗へお越しいただいて物件を紹介したり、同行して内見をしたり、といった形で直接コミュニケーションをとる機会がありません。
そこで、入居前のご説明のためにお電話するのが最初のコミュニケーションになります。今までは音声通話でやりとりをするだけでしたので、私どもが知りたい「どんなお人柄の方が入居を希望されているのか」は声やお話ぶりでしかわかりませんでした。また入居希望者様にも、お部屋の現況に関することなど「入居にあたってお伝えしたい情報」を十分にお伝えしきれない可能性、懸念がありました。
オーナー様に安心していただき、入居者様にも気持ちよく住んでいただくために、お互いの条件のすり合わせをもっとしっかりさせたいということで、ビデオ通話を取り入れたいと考えるようになりました。
― 「ビデオトーク」導入の決め手はどのようなところだったのでしょうか。
木島氏:入居前のご説明のお電話は、お1人(組)の入居希望者様に対して、基本的には1回のみです。その1回をビデオ通話で行うためだけに、ID交換やアプリダウンロードを必要とするツールは、入居希望者様にとってハードルが高いと感じていました。もっと、誰でもすぐに使えるツールが望ましい、と。
ビデオトークはSMS、つまり電話番号にメッセージをお送りして、クリックしていただくだけでビデオ通話を開始できます。今までやってきた音声通話でのフローと基本的に変わらない状態で、お互いにより情報量の多い入居前説明ができるところが一番の魅力でした。
また、1日あたり数十件のご説明をさせていただきますので、複数の端末を用いて、スムーズにスピーディーに進められるところも良かったですね。
― ビデオトークの活用シーンは「入居前のご説明」とのことですが、具体的にはどのような流れで使っていただいていますか?
木島氏:まず、賃貸仲介業者から入居希望者様へ「武蔵コミュニティーから連絡が入ります」とご説明いただいた上で、我々が入居希望者様の個人情報を受け取ります。次に、我々から音声通話で「これから入居前のご説明のために、ビデオ通話させていただきます」というご連絡を差し上げまして、その通話後にSMSを送信し、ビデオ通話で入居前のご説明を始めるというような流れです。1件あたり通話時間は約10分ほどでしょうか。
― 実際に導入してみて感じられたメリットなどはありますか。
木島氏:入居希望者様の様子が、音声通話とは比べ物にならないほどよくわかりますね。これまで、入居希望者様とお部屋のミスマッチを見抜けなかったために、入居後のトラブルにつながってしまった事例が一定数あったのですが、これを約80%削減できました。
例えば、お部屋にちょっとした汚れなどがあったとして、入居前に修繕されるのか、現況のまま入居するのかといったことを、実際に見せながら入居希望者様に直接ご説明できます。逆に、ペット禁止の物件のご説明をしている最中に、ご自宅で通話しているはずの入居希望者様の後ろにペットの姿が見えたら「そのペットは入居後どうするのですか?」という確認をとることもできます。
外国籍の入居希望者様ですと、日本語の会話だけでは難しいケースもあるのですが、ビデオ通話なら身振り手振りや映像、場合によっては母国語の文字を見せたりすることでスムーズにご説明できたり、どのようにコミュニケーションをとればいいか推し量ることもできます。
このように、オーナー様も入居希望者様も事前にミスマッチを避けられて双方が安心できますし、我々賃貸管理会社にとっても良い影響がありました。ミスマッチが疑われるケースは数としては少ないのですが、トラブルに至ると1件の対応にかなりのリソースを取られてしまいます。1件のトラブル対応で、当社のスタッフが現地に出向くことになれば1日かかってしまうこともある。そういう意味では、トラブルにつながる可能性のあるミスマッチが1件減るだけでも、まったく違います。
― 今後、ビデオトークを活かして取り組みたいことなどはございますか。
木島氏:武蔵コーポレーションが15期連続増収を達成しているということで、我々武蔵コミュニティーも業績が伸び続けています。そこで今後、5年間で管理物件を約19,000部屋から約10万部屋まで増やすことを目標に掲げています。
管理物件が増えても、入居希望者様、入居者様とのコミュニケーションをしっかりとっていくために、ビデオトークにも、もっと機能拡大して業務効率化に役立ってくれることを期待しています。例えば、入居希望者様へのご説明やこちらからの質問をある程度自動化して、入居希望者様の応答の様子を録画させていただき、マッチングの参考にするといったことが将来的にできるといいですね。
黒原氏:自動化が進めば、入居希望者様のスケジュールに合わせてかけ直すといったことも、もっとスムーズになりますよね。例えば入居希望者様が「今、外出しているのでビデオ通話はできないけれど、○時なら帰宅しています」とおっしゃった際に、○時に時間指定してSMSを自動送信できると、より効率的になると思います。
― 入居後のトラブルにつながってしまった事例を約80%削減できたとうかがって大変光栄です。当社もビデオトークを役立てていただけるよう、今後もサポートさせていただきます。本日はありがとうございました。
店舗を持たないことから、物件への入居希望者とのコミュニケーション機会は入居前説明の電話のみ。音声通話だけでは双方にとって情報不足になることもあり、ミスマッチに起因するトラブルが一定数みられた。
ビデオトークにより音声通話同様のフローでビデオ通話による入居前説明を実現。対面に近い状況での情報交換が功を奏し、ミスマッチに起因するトラブルは約80%軽減、業務効率化のメリットも大きかった。
https://www.musashi-corporation.com/kanri/
PM(プロパティマネジメント)型の賃貸管理事業を主に手掛け、居住用の物件を、首都圏を中心に現在約19,000部屋管理しています。
(記事の内容は2021/02/24時点のものです。)