那覇市保健所 様

妊婦・子育て家庭に寄り添う「伴走型相談支援」の面談にビデオトークを活用
オンライン面談導入で移動時間の削減と柔軟な対応を実現

妊婦や子育て家庭への継続的な支援のためにこども家庭庁が推進し、2023年1月から全国で開始された「伴走型相談支援」。約32万人が暮らす、沖縄県の政治・経済・文化の中心地・那覇市でも、妊娠期から出産・子育てまでの一貫した相談支援がスタートしています。同事業において、保健師による面談をより柔軟に行っていくため那覇市保健所様で導入されたのが、「ビデオトーク」です。外出が難しいといった妊産婦ならではの状況に伴う導入の背景や、多くの妊産婦に対して効率的な支援を実現できるメリットなどについて、地域保健課で伴走型相談支援に携わる木下氏、瀬名波氏、金城氏、親里氏、池尻氏、城間氏、宮城氏にうかがいました。

月約400~500人が利用する「伴走型相談支援」。
“顔を見ての面談”を効率的に行うため、手軽なオンラインツールを模索

― 那覇市保健所様で実施されている伴走型相談支援の取り組みについて教えてください。

金城氏:伴走型相談支援では、妊産婦に対して3回の面談の機会があります。1回目は、妊娠届が提出され、親子健康手帳を交付するときの対面による面談。2回目は、妊娠届の情報を基に抽出された妊娠7~8ヶ月の妊婦さんを対象として、通知を送り面談を希望された方にのみ行います。3回目は出産後です。こちらは対面が前提となるため、お子さまの出生届と一緒に提出していただく「出生連絡票」から対象の方を把握し、面談のタイミングを産婦さんと相談して実施しています。那覇市では、現在ひと月に約400~500人と面談をしています。

― そうした取り組みにおいて、オンラインでの面談やビデオトークの導入を検討されたきっかけ・背景はどのようなものだったのでしょうか?

瀬名波氏:那覇市では現在、業務の効率化や市民の方が来所しなくても用事を済ませられることを目的にさまざまなDXが進められており、「DX推進室」という専門の部署が設けられています。本事業では、もともと国の方針としてオンライン面談が許可されていたため、利用ツールについてDX推進室と検討したところ、別部署で活用実績のあるビデオトークが候補に上がりました。

このツールであれば、対象である妊産婦とSMSで届いたURLをタップするだけでオンラインで繋がることができると聞いて、検討を始めました。那覇市では2023年4月に本事業を開始することが決まっていたため、事業開始とともにオンライン面談もスタートできるよう準備を進めました。

木下氏:本事業では、経済面の支援となる「出産・子育て応援ギフト」の支給が一体的に実施されますが、支給における条件としても、定められた期間の中での面談が必須となります。多くの方が本事業の対象になりますが、こちらから訪問するまでお待たせしてしまったり、来所いただくしか方法がないとなると、対象となる妊産婦にとってつらくなることもあります。対応できる人数と期間が限られる中で、手軽なオンライン面談の選択肢を用意できることは、多くの方とスムーズな面談を行っていく上での手助けになると考えました。

採用の決め手は「アプリいらず」の手軽さ!
「里帰り出産で那覇を離れる」「産後すぐの外出・訪問が難しい」妊産婦を中心に活用

― 導入へ至る上で、一番のポイントとなった点を教えてください。

瀬名波氏:一番は、アプリなどのインストールをしなくてもすぐ使えるところです。ツールによっては、アプリのインストール後さらにアカウントの登録が必要など、利用のために事前準備が必要なツールもあり、それでは妊産婦に浸透しづらくなってしまいます。その点ビデオトークは手軽に利用開始できます。妊産婦の方には携帯電話の番号を必ずお聞ききしますので、ビデオ通話用のURLをSMSで送付するだけで利用できる点も使いやすいと思いました。

宮城氏:現在は里帰り出産をされる方を中心に活用していますが、妊産婦の状況を考えると、赤ちゃんが生まれて1ヶ月も経たないタイミングでの外出や他者の訪問はハードルが高い方もいらっしゃいます。ただ、出産後の面談は顔を見ながら状況を確認する必要があるため、電話では済ませられません。そうした方との面談に利用するには、できるだけ手軽に使えるものが望ましく、妊産婦の事情と当方の状況両方を鑑みて、検討をさせていただきました。

― 現在のビデオトークの具体的な活用方法について教えてください。

城間氏:ビデオトークは、主に2回目または3回目の面談で利用しています。妊産婦がオンライン面談を希望された場合、面談日までにあらかじめ担当の保健師からSMSでURLをお送りし、実施日時になったらURLをタップしてほしい旨を説明して進めています。現時点で実際にビデオトークを利用したオンライン面談は25件実施され、今後8件が予定されています。

面談前後の移動時間が大幅に短縮され、効率化に寄与。
今後はビデオ機能を生かして他事業での利用の可能性も

― 実際にビデオトークを利用してみての所感やメリットについて教えてください。

城間氏:利用前に必要な準備は、ビデオトーク管理画面から、ビデオ通話用のURLと保健師の自己紹介などちょっとしたメッセージを入力して、携帯電話番号を設定しSMSを送信するだけです。このとても簡単な手順で使えるところがメリットだと感じています。また、設定日時の5分前から入室でき、準備をした上でスタンバイできるので、相手をお待たせすることなくスタートできる点もありがたいですね。

親里氏:産婦側としても、やはり子どもが生まれたばかりで人を招くことに抵抗があったり、お部屋を片付けられなかったりすることがあります。オンラインだとそうした方々との面談もスムーズにできると感じています。通信の安定性もあり、里帰り出産で県外にいる方との面談も可能なため助かっています。

池尻氏:面談前後の移動時間を節約できる効果はとても大きいと実感しています。妊産婦のお宅に訪問する場合、移動時間がかかってしまうことがあります。オンラインであれば、その移動時間を削減できることで面談に多くの時間を充てることができるようになったのは期待どおりのメリットでしたね。

― 今後のビデオトークの活用方法として何か考えられていることがありましたら、教えてください。

金城氏:現在、ビデオトークを利用しているのは、伴走型相談支援のみですが、地域保健課には地区担当の保健師や栄養士もおり、伴走型相談支援以外の面談相談や個別支援も行っています。今後は、そうした業務にもビデオトークを取り入れて、活用していけたら良いと考えています。

課題

  • 妊婦や子育て家庭に向けた「伴走型相談支援」では、定められた期間に顔を見ながらの面談が必要だが、里帰り出産をする妊婦や、子どもが生まれたばかりでの外出や自宅への訪問が難しい妊産婦が想定された
  • 手軽に利用できるものとして、アプリのインストールやアカウント登録などの事前準備が不要なツールを検討していた
  • 妊産婦宅に職員が訪問する場合、場所によっては15分の面談のための移動時間が1時間以上かかってしまうこともあり、効率的ではなかった

効果

  • オンライン面談の選択肢ができたことで、訪問・来所ができない状況でも顔を見て話ができるようになった
  • SMSに記載されたURLをクリックするだけでオンライン面談を開始できるため、妊産婦は手間をかけずに利用できる
  • 移動時間が削減され、妊産婦とより多くの時間、面談が可能になった

お客様プロフィール

那覇市保健所様

https://www.city.naha.okinawa.jp/nahahokenjyo/index.html

沖縄県の県都であり、約32万人が暮らす政治・経済・文化の中心地。首里城公園、識名園(しきなえん)ほか多くの世界遺産、文化財を有する観光都市として、毎年国内外から多くの人々が訪れる。

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