総社市様

患者負担の少ないビデオトークが、
コロナ禍におけるオンライン診療のスムースな導入を実現

岡山県の南西部に位置し、約7万人が暮らす総社市。「子育て王国そうじゃ」と銘打ち、子育て世代への手厚い支援を行うなど、医療・福祉事業に力を入れています。同市は新型コロナウイルス対策の一環として、市内の医療機関にビデオ通話サービス「ビデオトーク」によるオンライン診療の導入を支援しました。導入支援の経緯や活用方法について、総社市新型コロナウイルス感染症対策室の田口氏、大西氏にお話を伺いました。

顔色のわからない電話診療に、医師の不安が募っていた

― はじめに、ビデオトークを導入された新型コロナウイルス感染症対策室の役割について教えていただけますか?

大西氏:新型コロナウイルスに関連する業務を一手に担うのが、新型コロナウイルス感染症対策室(以降、対策室)です。岡山県が管轄する保健所や地元の医師会と定期的に協議の場を設け、日々変わりゆく感染状況に対してどのような策を講じるべきかを検討しています。

その上で市民の方に対策の方向性を示すメッセージを発信したり、ワクチンの接種が始まれば接種券の配布や予約管理をしたりします。また、罹患した市民の方のフォローも大事な業務の一つです。患者さんの経過観察や医療機関を受診するための調整などは県の保健所が行うため、市としては買い物に行けない自宅療養者への食糧支援などといった生活のケアを担当しています。

― 導入前の課題について教えてください。

田口氏:2021年4月から6月の新型コロナウイルス第4波と言われる頃、総社市ではピーク時には約30人の方が自宅療養されていました。自宅療養者に対しては県の保健所から経過観察の連絡があり、症状が思わしくない方や希望者は医療機関を受診することになります。

しかし当時は自宅療養者と医療機関が電話を使って、口頭で問診しているという状況でした。そのため、総社市役所には「かかりつけの患者さんは通院履歴などの患者情報を把握しているけれど、はじめて診る患者さんの場合、声だけで状況を把握することは難しい」といった声が医師から寄せられていました。こうした状況に対して、自宅療養者の診療手段を整備しなくてはと感じていました。

オンライン診療の導入は総社市が主体となって行われたのですか?

田口氏:はい、2021年6月に自宅療養者のサポートを専門とするセクションとして、新型コロナウイルス感染症対策室内に「総社市自宅療養者支援室(以降、支援室)」を設置しました。市としても自宅療養者への支援を強化すべきと考えたのです。

そして、その支援室が主体となり、オンライン診療の導入支援を始めました。医師がより診療しやすくなるように、患者さんにもより安心感を抱いてもらえるように、との期待を込めていました。

自宅療養者の辛さを知っていたからこそ、接続時の作業負担を最小限にしたかった

― オンライン診療のツールを検討する際、重視したポイントはどのようなところでしたか?

田口氏:何よりも“診療までの操作が簡単であること”を重視していました。というのも、市の窓口として新型コロナウイルスの関連業務を行う中で、自宅療養の方とお話をする機会が多々あります。軽症と判断されていても高熱が出たり、強い倦怠感があったり、辛い思いをされている方がたくさんいらっしゃることを理解していました。そのため、オンライン診療をするにあたって事前の準備や複雑な操作が必要なツールは、患者さんの負担になってしまうと考えたのです。アプリのインストールやアカウントの事前設定を必要とするシステムは、今回の用途に適していないと判断しました。

その点、ビデオトークは受信したSMSの通話用URLをクリックするだけでビデオ通話が始まるので、患者さんに負担をかけずに診療できます。手間がかからず、診療するまでに無駄な時間を要さないというのも、決め手の一つでした。

― どのようにして各医療機関へビデオトークを展開していったのでしょうか?

田口氏:2021年10月に、まずは無料トライアルで使い勝手を体験してもらうことにしました。我々にとっても医療機関にとっても初めての試みだったため、勝手が分からない状態で本格導入するのは難しいと考えたのです。無料トライアルの申し込みなどの事務手続きは支援室が一括して行い、オンライン診療での利用を想定したマニュアルも作成。その上で、感染対策の協議に参加していた40~45の医療機関に「使ってみませんか?」と、体験用のライセンスを配布しました。
そして実際に使い勝手を確認していただき、本格導入を希望される医療機関には個別のライセンスを総社市が付与する、という流れで導入を進めていきました。10月は総社市内の感染者数が落ち着いており、ほぼ患者さんがいなかったのですが、医師以外のスタッフの方々やご家族などと協力しながら、使い勝手を確認してくださったようです。医師からの抵抗感を示す声もなく導入に移行できたのは、無料トライアルで使いやすさを実感してもらえたことが大きかったかなと思います。

― 実際にオンライン診療が行われるまでの流れについて教えてください。

田口氏:医療機関を受診することになった場合、保健所による医療機関とのマッチングを経てオンライン診療が行われます。通話用URLが記載されたSMSの送信は各医療機関にお願いしていますが、目立ったトラブルなどは起きていません。すべての操作がシンプルかつ簡単なので、すぐに「慣れた」という声があがってきました。

第4波の10倍近い自宅療養者数となった第6波。
それでもビデオトークがあったから、医師と患者さんに安心感を提供できた

― 導入後、どんな効果がありましたか?

田口氏:総社市内の約20の医療機関でビデオトークを使ったオンライン診療が行われています。新型コロナウイルス第6波の2022年1月中旬以降、総社市ではピーク時に約280人の方が自宅療養を余儀なくされていました。その際には1日5~6件のオンライン診療を行う医療機関もあり、当初期待していたオンライン診療の導入という点は順調に進んでいると感じています。

それから、医師と患者さんに安心感を提供できたことも大きな成果の一つです。第6波は感染力の強いオミクロン株の台頭で、これまで感染しにくいと言われていた子どもにも感染が広がっていきました。自宅療養中のお子さんを前に不安を抱えるご両親も少なくなかったかと思いますが、オンライン診療を導入した小児科の先生がいらっしゃったおかげで、「いつもの先生の顔が見えて安心した」との声をいただくことができました。先生方からも「顔が見えるので、かかりつけの患者さんはもちろん、はじめてのお子さんでも状況が把握しやすかった。電話よりも診療しやすかった」と好評でした。

― 今後、ビデオトークをどのように活用していきたいと考えていますか?

田口氏:新型コロナウイルス対策の一環として、より多くの場面で活用していきたいです。例えば、寝たきりの方がコロナに罹患した場合、訪問看護の看護師さんが防護服を身に付けて介護をしなくてはなりません。自宅に入る前にご家族とビデオ通話をし、ケアの事前準備や病状の確認などができれば、少しでも看護師さんの感染リスクを減らせるのではと考えています。

大西氏:我々は実際にビデオトークを使う立場ではないものの、窓口として医師や看護師さん、患者さんのご意見を日々頂戴しています。さまざまな方からの声を通じてビデオトークの効果をひしひしと感じ、活用シーンの広まりを感じているので、活用のきっかけづくりを引き続き行っていければと思います。

課題

  • オンライン診療を導入している医療機関がなく、自宅療養者は電話での診療に限られていた
  • 医師からは「電話だけでは十分な診療ができない」という声も

成果

  • 総社市内にある20の医療施設がオンライン診療を導入
  • 顔を見て診療できるようになり、医師・患者さん双方に安心感が生まれた

※本事例でご紹介したNTTコム オンラインのビデオ通話サービス「ビデオトーク」は、株式会社両備システムズ様が総社市様に導入しています。

お客様プロフィール

総社市

https://www.city.soja.okayama.jp/

岡山県の2大都市、岡山市と倉敷市に隣接する人口約7万人の都市。子育て支援や障がい者の就労支援など、医療・福祉事業の充実を要因に、中国地方トップの人口増加率を誇る。観光名所は、日本100名城の一つである「鬼ノ城」や吉備路を代表する景観として有名な「備中国分寺」など。

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