2021/06/04
顧客データ活用・管理
AIやロボット技術を活用したDXをCXの強化につなげるには
新型コロナウイルス(COVID-19)の世界的な感染拡大を契機として、デジタルトランスフォーメーション(DX)への注目が高まっています。DXを推進するための専門部署やプロジェクトチームを発足させている企業も増え続けています。一方で、DXの推進が必ずしも企業の競争力の源泉として注目される顧客体験(CX)の強化につながっていない、という事例もあるようです。
2020年2月、NTT Ltd.は グローバルのCXに関するベンチマークレポート “The Connected Customer: Delivering an effortless experience.” を公表しました。このレポートからは、CXを主要な差異化要因として重視しつつも、そのために必要なDXを推進するうえでの障壁の克服に苦心している企業の姿が浮かび上がってきます。
(NTT Ltd. "Connected customers expect a hyper-personalized, effortless experience, but organizations are slow to respond")
調査によれば、半数以上(58%)の企業がCXを主要な差異化要因と考えているにもかかわらず、自社が提供する顧客体験が「完全に満足できる」ものであると評価している企業はわずか8%となっており、多くの企業がCXの重要性を認識しつつもその改善を十分に進められていない現状が浮かび上がっています。その要因としては以下が挙げられています。
●停滞するテクノロジーシステム
3割の企業が「自社のテクノロジーシステムが現在のニーズに対応できていない」と回答しており、特に、レガシーなシステム(47%)や複数のテクノロジーシステムの統合(47%)に苦慮しているとしています。
●孤立したチャネルと社内のビジネス組織
約6割の企業が、CXをデザインする際に部門間のコラボレーションを部分的にしか行っておらず、15%はまったくコラボレーションを行っていないとのことです。また、クロスチャネルのコンタクトマネジメント戦略を持っていない企業は66%にのぼっている一方で「コンタクトチャネル間の一貫性がある」と回答した企業は25%に留まっています。
●一貫性のない優先順位
カスタマージャーニーデザイン戦略において「顧客の喜び」を最優先事項としている企業はわずか16%という結果が出ています。
調査では、企業側の自己認識と顧客からの評価に関するギャップも明らかになっています。73%の企業が自社の顧客満足度に満足している一方で、自分の顧客体験を「他人に推奨できる」という高いレベルで評価した顧客はわずか12%に留まりました。さらに懸念されることは、人工知能(AI)やロボット技術を使用している企業に対する顧客の評価をみると、この数値が6%にまで下がるという驚くべき結果が出ています。
現状では、企業は最新のシステムの導入や既存システムの統合、AIやロボット技術といった最新技術の活用といったDXを上手く活用できておらず、CXの強化につなげられていないといえるでしょう。
本調査では、この結果から「企業は、AIを最適なデータに基づいて構築するスマートな戦略を必要としている」としたうえで、「企業は、データ管理と統合の間のギャップを埋め、効率的なデータ管理プラットフォームに対する優先度を高めるべきである」としています。
企業のデータ管理が困難になっている現状を示すデータとして、いくつかの調査結果が挙げられています。現状では、望ましいビジネス成果に合わせて定義されたデータの収集は全体の50%に留まり、データレイク全体を管理している専門チームを持つ企業もわずか23%となっています。データ管理戦略をまったく持っていないと回答した企業は17%でした。
調査に回答した企業の多くが、AIやロボットによる自動化といったDXが業務の効率化をもたらすだけでなく、ハイパー・パーソナライゼーションなどを通じてCXの強化につながると考えています。しかし、そのためには、AIやロボット技術を導入するだけでなく、これらの技術を有効に活用するための全社的なデータ戦略が求められます。その中には、CXの強化に必須となる個人データの活用に関する戦略も含まれるのです。
「顧客の行動データをリアルタイムで収集し、顧客の要望やニーズに応じて製品、サービス、顧客体験をカスタマイズする」ハイパー・パーソナライゼーションは、eコマースをはじめとするデジタルチャネルにおけるCXを劇的に強化できるものとして注目が高まっています。
(「DX対応で注目される「ハイパー・パーソナライゼーション」とは」)
SAP Customer Data Cloudは、DX推進を支える顧客ID管理基盤として様々な機能を提供します。
まず、ユーザーの新規登録を容易なものとしたうえで、リレーションシップの進展につれて、ユーザーからの同意のもとに徐々にデータを集め、「シングル・カスタマー・ビュー」としてセキュアに管理するための様々な機能を提供します。まず、「Light Registration」機能により、ユーザーにメールアドレスのみの入力を要請する画面を表示することができます。カスタマー・ジャーニーの最初の段階で「ライトな」リレーションシップを構築するうえで有用な機能となります。
「Light Registraion]でメールアドレスを登録したユーザーが本登録したいと考えた場合は、登録済みのメールアドレスを用いてパスワードを設定するかたちで本登録に進むことも可能です。この際に(あるいはその後に)「Progressive Profiling」機能により、ユーザーに対して徐々にデータの提供を要請する画面を表示することも可能です。
もちろん、利用規約やプライバシーポリシーなど必要な「同意」を取得するための機能や、登録ユーザーが自身の「同意」や個人データの内容を確認し、いつでも「同意」を撤回したり、個人データを修正したり、削除を要請するといった機能も備わっています。
さらに、Identity Syncと呼ばれるデータ連携機能を通じて、収集したデータをスピーディーにマーケティング・オートメーションやCRMなどの様々なシステムに連携させることが可能です。
当社は、SAPのパートナー企業としてSAP Customer Data Cloudの導入支援に豊富な経験を有しています。DX対応に関心をお持ちの方は、グローバルで高い評価を受けるSAP Customer Data Cloudの国内における豊富な導入支援実績を有し、高い評価を受ける当社にどうぞご相談ください。
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