営業DXサービス「Sansan」のデータ分析にMixpanelを活用。
5~10倍の速度でPDCAを回せるようになり、利用促進に貢献!
- 課題
- サービスの海外展開にあたり、低コストでユーザー分析と利用促進の仕組みを構築する必要があった
- ログデータが散在しており、分析のため集約するだけで多大な手間がかかっていた
- よりよい分析を行うため、効率化を進め、分析スピードを早める必要があった
- 成果
- 散在していたデータがMixpanelに集約され、データ収集の手間がなくなった
- 分析のスピードが5~10倍程度早くなった
- より早く、細かな条件でデータ分析ができるようになり、分析そのものの質が上がった
法人や個人に向けて働き方を変えるDXサービスを提供するSansan株式会社様。2014年に、プロダクトやサービスの成長をデータ分析によってサポートするグロースハックツールMixpanelを導入されました。現在は、おもに法人向けの営業DXサービス「Sansan」の課題発見や利用促進などのために活用していると言います。具体的にどのようなシーンで使っているのか、メリットやその効果とは……? 気になる活用法や導入による変化について、技術本部の小松氏、岡部氏にお聞きしました。
主力サービスSansanの海外展開に向け、Mixpanelを導入!
データ分析を強化し、利用促進につなげる
- 貴社の概要や、小松様、岡部様の業務内容についてお聞かせください。
小松氏:当社は、営業DXサービス「Sansan」や、キャリアプロフィール「Eight」などを提供するソリューションベンダーです。他に、インボイス管理サービス「Bill One」、契約DXサービス「Contract One」など、幅広い企業向けDXサービスを提供しています。
私は、これらサービスの利用を促進するため、研究開発室でデータ分析に携わっています。2022年1月にMixpanelのアクセス権限を付与され、それから約1年強、Mixpanelを通してSansanのデータ分析を行ってきました。現在も1ユーザーとして、日々、Mixpanelを活用しています。
岡部氏:私は技術本部でエンジニアのサポートをしております。Mixpanelについては、購買に関する社内手続きや調整などを担当しました。
- 2014年にMixpanelを導入したとお聞きしています。導入の経緯や決め手についてお聞かせください。
岡部氏 :2014年にSansanサービスのLite版を海外展開することになりました。これにあたって低コストでユーザー分析と利用促進の仕組みを構築する必要があり、マーケティング部主導で分析ツールの検討を進めたと聞いています。
Mixpanelを選定した理由は「イベント計測+顧客リスト管理がひとつのツールでできる点」「ユーザー抽出〜メールやプッシュ通知の一連の施策が開発メンバーの工数を取らずにマーケティング部門の非エンジニアメンバーで高速でまわせる点」がよかったから。他社のツールも検討したようですが、UIの洗練具合とその他ユーザーの評価が高かった点を鑑みMixpanelを選定したと聞いています 。
導入によって、分析の速度が5~10倍に!
思考の回数が大幅に増え、分析の質が向上した
- 小松様は、2021年にご入社し、2022年の1月からMixpanelを利用されているそうですね。Mixpanelの利用前に感じていた課題、利用されてみての変化についてお聞かせください。
小松氏:Mixpanelのアクセス権限が付与されるまではあちこちからデータを取ってこなければならず、「自分のやりたい分析がすぐにできない」という状況が続いていました。関係部署に連絡してスプレッドシートでデータをもらったり、AWSのアクセス権限を申請してデータを取ってきたり……。データを集めるところから始めなければならず、分析の準備をするだけでかなりの手間と工数がかかっていたように思います。
2022年1月にMixpanelの権限を付与してもらい自由にアクセスできる環境になって、一気にラクになりました。Mixpanelには、Sansanに関するほぼすべてのログが2014年から蓄積されています。あるユーザーがいつログインしたか、どのような機能を使っていたか、どんな行動を取ったかといったさまざまな情報が集約的に保存されており、ここにアクセスするだけで必要な分析ができるのですよね。散在したデータを掻き集める必要がなくなり、まずその点で非常に助かりました。
- 現在はどのように活用されているのでしょうか?
小松氏:さまざまなカットでデータを見ていき、なんらかのインサイトを見出す、“探索的なデータ分析”を行うために活用しています。
いろいろなケースがあるため、なかなか「これ!」といった例を示すのが難しいのですが……。例えば、他部署の方から「ある機能をどういったユーザーが、どのように使っているのかを知りたい」「機能を使ったあとにどんな行動を取っているのか教えてほしい」と聞かれ、Mixpanelを使って答えを導き出し共有する、というような使い方をすることが多いですね。
自分でSQLやPythonを書いて可視化することもできるのですが、コードを書くとそれだけで手間と時間がかかっていまいますし、そもそも書いたコードが想定通りに動くかどうかもわかりません。デバッグをして修正し、問題なく動くことを確認して、やっとデータが取れるわけで、かなり工数を取られてしまいます。一方Mixpanelなら、コードを書くことなくツール上で、条件の絞り込みや属性の付与、データの可視化ができてしまうのです。圧倒的に早く、圧倒的に手軽。体感で5~10倍ぐらい、分析のスピードが速くなったと感じています。
分析をする上でなにより大切なのが、「思考の回数を増やすこと」です。仮説を立てて、その仮説が正しいかどうかを多方面からデータによって検証し、正しくないとなった場合はまた別の仮説を立ててみる……。そんなことを、できるだけたくさん、いろんなカットで行わなければ、よりよい道にはたどり着けません。Mixpanelを使うことで、明らかに思考の回数が増えており、分析の質も向上していると実感しています。
ABテストにも活用。
多彩な条件で、より細かく、多く、スピーディーにデータ分析ができる点が魅力
- ほかに、なにか活用シーンはございますか? “探索的なデータ分析”以外の活用法がありましたらお教えください。
小松氏:ABテストに活用しています。例えば、「スマホアプリの利用を促進するため、ある機能を訴求したい!」となった場合。A、B、2パターンのメッセージを用意して、一部のユーザーに対して示してみて、その結果「実際に機能を使ったか」「機能を使った結果、アプリの利用が定着したか」を、Mixpanelを使って見るというようなことをしています。
過去にGoogle関連のツールで検証したこともあったのですが、Mixpanelのほうが、結果の出し方をカスタマイズしやすいと感じています。アプリをよく使っているユーザーだけでなく、あまり使っていないユーザー同士で比較をしたり、特定の期間に使用した人のみを抽出したり、営業職のみ、マーケティング職のみといった形で使われ方を分析したり……。ブレイクダウンやフィルタリングがかなり柔軟に設定できるのですよね。
“探索的なデータ分析”と同様に、ABテストも、とにかくたくさん、いろいろなカットで比較分析をすることが重要です。そうすることで、ただ「Aがよかったね」「Bがよかったね」ではなく、「このワードが刺さった」「この表示タイミングがよかった」など、「なぜよかったか」の部分が見えてくる。結果を、マーケティング部の関係者やメッセージを作成する専門職スタッフにフィードバックすることで、サービス訴求の精度が高まります。
さまざまな条件で、より細かく、より多く、よりスピーディーに分析ができる。これが、Mixpanelの大きな魅力だと感じています。
- 機能についてはいかがでしょうか? 特に便利だと感じている機能があればお教えください。
小松氏:やはりフローレポートですね。ある機能を使ったユーザーが、次にどの機能を使っているか、どの画面に遷移しているかなどを可視化する機能で、これによって“ユーザーの行動”が見えるのです。「この機能を訴求すると、次にこの機能、この機能と使ってくれるユーザーが多く活用が広がりやすい」「アプリ利用の定着を促すならこの機能を訴求するとよい」などの傾向が見え、より有効な施策につながっていると感じています。
機能というわけではないのですが、リアルタイムで情報が更新されるところもいいですね。我々が提供しているようなDX系のツールには非常に多くのデータが含まれており、ときどき、どのログがどのイベントに対応しているのかわからなくなってしまうときがありまして……。たまに自分でSansanのサービスや機能を使ってみて、Mixpanelで「なるほど、この動きとこのログが対応しているな」「正確に取れているな」と確認する、という使い方もしています。
- 最後に、今後の展望についてお聞かせください。
小松氏:現在は、Mixpanelでの分析結果を、より具体的な施策やアクションにつなげるフェーズに差し掛かっています。引き続きMixpanelを活用しPDCAを早く回して、よりよい分析をしていきたい。そして結果をベースに、効果的なアクションを、少しでも多く打ち出していけるとよいなと思っています。
- Sansan株式会社 様
- 営業DXサービス「Sansan」やキャリアプロフィール「Eight」、インボイス管理サービス「Bill One」など働き方を変えるDXサービスを提供。営業DXサービス「Sansan」は、2022年時点で、法人向け名刺管理サービスの市場シェア8割超を達成している。