GA4とMixpanelの併用_それぞれの特性と得意領域

目次

2022年3月、Google社により2023年7月をもってユニバーサルアナリティクスのサポートを終了することが発表され、大きな話題となりました。

今回のアップデートでイベントデータを収集・分析できるようになったGA4と、開発当初からイベントデータを軸にした分析機能を提供してきたMixpanel。
この2つのツールの違いや、それぞれの特性を正しく理解し、その強みを効果的に組み合わせる手法についてご紹介します。

GA4とMixpanelの違い:ユーザーIDの考え方

ユニバーサルアナリティクスからGA4へのアップデートにより、データの取得方法がページビューからイベントデータになりました。
これにより、GA4を導入していれば誰でも気軽にイベントデータを収集・分析できるようになり、現代のユーザー行動に即した分析が可能になりました。
Mixpanelは開発当初から、イベントデータを軸にした分析機能を提供しており、どちらのツールもイベントデータを収集・分析するという意味では同じものの、それぞれに特性があり、その特性を上手に組み合わせることでマーケティングフロー全体をカバーすることができます。

まず、GA4とMixpanelでの大きな違いは、ユーザーのIDの考え方です。
GA4では、主にクッキーやGoogleアカウントを活用し、個人を特定しない形で個別のユーザーを識別するためのIDを付与することで、Webサイトやアプリを訪れたユーザーの行動データを計測していきます。

それに対してMixpanelは、Webサイトやアプリで会員登録をした時に付与されるIDを軸にデータを計測していきます。
メールアドレス、名前、年齢、性別、職業などを把握した上で、「誰が、いつ、どのような行動をしたのか」といった詳細な行動データを収集・分析することが可能です。

GA4とMixpanelの得意領域:獲得フェーズとグロースフェーズ

こうしたIDの考え方を背景に、GA4とMixpanelではそれぞれの得意領域があります。
下図はマーケティングファネルにおけるそれぞれのツールの立ち位置を示しています。

GA4は、マーケティングファネルの中でも主に、獲得フェーズの領域を得意とするツールです。言い換えると、新規ユーザーを増加させ、会員登録や初回購入など、そのサービスにおける最初のコンバージョンポイントを向上させるために役立つツールです。

それに対しMixpanelは、前述の通り、会員登録IDを軸に詳細な行動データを取得できることから、マーケティングファネルにおけるグロースフェーズに強みを持っており、ユーザーのLTV向上、パワーユーザーやロイヤルカスタマーと呼ばれる熱狂的な顧客の育成を得意としています。

GA4とMixpanelの効果的な併用方法

先ほど記載した通り、GA4は、会員登録や初回購入など、そのサービスにおける最初のコンバージョンポイントの向上、Mixpanelは、詳細な行動データ分析でプロダクトのグロースを強力にサポートします。

ここで、リピートユーザーを増やしたいと考えているサブスクリプション型の動画視聴サービスを例に取って、具体的な活用方法を見てみましょう。

動画視聴サービスにおいては、「初回視聴を完了したユーザー」、「2回目視聴を完了したユーザー」、「3回目視聴を完了したユーザー」など、ユーザーごとにサービスをどのように使用したのかが異なります。

下の図の赤枠が示すのは「2回目の視聴を完了していない」ユーザーです。
Mixpanelを外部サービスと連携することで、この2回目視聴をしていないユーザーに対して、簡単にメール/ポップアップ/プッシュ通知などのアプローチをかけることが可能です。

また、GA4を使用することで、顧客のセグメントごとに最適なGoogle広告を出稿することができますが、Mixpanelを使用すれば、Instagram広告やFacebook広告などGoogle以外の広告プラットフォームを利用してセグメントごとにアプローチをすることが可能です。

さらに、Google Analyticsの機能であるUTMコードを活用し、Mixpanelと組み合わせて分析をすることで、「どのキャンペーンから流入したユーザーがサブスクプランの継続率が高いのか?」「どの広告から流入したユーザーが会員になりやすいのか?」などといった疑問を素早く解決することができます。

過去に行ったキャンペーンを比較して、成果の上がらなかったキャンペーンをやめ、効果的なキャンペーン・広告のみを継続することで、LTV向上に効果的な施策にフォーカスしていくことが可能になります。

ここまで、具体的な事例を交えながら、GA4とMixpanelそれぞれの特性や組み合わせを含めた使い方をご紹介してきました。
両者を上手に組み合わせて活用することで獲得フェーズとグロースフェーズの全域をカバーし、プロダクトのグロースに役立てていただければ幸いです。

まとめ

GA4とMixpanelの違い:ユーザーIDの考え方

  • GA4では、クッキーやGoogleアカウントを活用し、個人を特定しない形でユーザーの行動データを計測
  • Mixpanelでは、Webサイトやアプリで会員登録をした時に付与されるIDを軸にデータを計測

GA4とMixpanelの得意領域:獲得フェーズとグロースフェーズ

  • GA4は、マーケティングファネルのうち、新規ユーザーの獲得フェーズを得意とする。
  • Mixpanelは、ユーザーを特定した上で、「誰が、いつ、どのような行動をしたのか」などの詳細な行動データを分析可能なことから、マーケティングファネルの中でもグロースフェーズに強みを持つ。
  • それぞれの特性を活かし組み合わせることでマーケティング領域の全てをカバーできる

GA4とMixpanelの効果的な併用方法

  • 外部サービスとの連携することで、リピートしなかったユーザーを抽出してアプローチすることができる
  • 抽出した顧客セグメントごとにGoogle広告、Instagram広告、Facebook広告など様々な広告プラットフォームからターゲティングが可能になる
  • UTMコードを活用してどのキャンペーンが効果的なのかを把握、効果的な施策のみにリソースを集中することができる