ワインスクールの受講者獲得にMixpanelを活用。
効果的なマーケティング施策を導き出し、申し込み数の減少を食い止める

- まずは貴校の概要や特徴についてお聞かせください。

小林氏：当校は、パリでスタートしたワインスクールです。日本に上陸したのは1987年。国内初の本格的ワインスクールとして注目を集め、以降、35年以上に渡って、ワインの悦びを伝え続けてまいりました。年間の受講生は延べ1万6,000名、累計卒業生は8万名。現在は、東京、大阪、名古屋の3都市とオンライン上、スクール事業を展開しております。

なお、受講を検討していただく方向けに無料の講座体験会や説明会を用意しております。まずは無料体験へ参加いただき、その後有料講座へお申込みいただく流れをとっています。

- 小林様の業務内容についてお教えください。

小林氏：Mixpanel導入時は、スクール事業部のなかのプランニングチームというところに所属しており、講座の企画、ブラッシュアップ、プロモーション施策の検討や実施などを担当しておりました。現在はスクール事業部の部長として全体を統括しています。

- 2022年7月にMixpanelを導入したとお聞きしています。導入前、どのような課題を感じていらっしゃいましたか？

小林氏：ここ数年、講座の申し込み数がじりじりと下がっており、またその原因もよくわからない状況で、ずっとモヤモヤと悩んでいました。特に伸び悩んでいたのが、新規のお客様の申し込みです。
新規の場合は、まず無料体験講座に申し込んでいただいて、その後、有料講座に申し込んでいただく……という流れなのですが、「無料体験講座への申し込み」「無料体験後の本申し込み」の部分で、思うように数字が取れない状況が続いていたのですよね。

新規だけでなく、1クール（約5か月）の講座を終えたお客様の継続申し込みも芳しいとは言えない状況で、「これはなんとかしないといけない」「原因を特定して打ち手を考えなければ」と思い続けていました。

- Mixpanelを導入される前は、どのように申し込み数の推移や、
プロモーション施策の効果などを測定していたのでしょうか？

小林氏：マーケティングを担当するチームが、おもにExcelなどを用いて手入力で集計していました。人力で集計や分析を行っていたためどうしても時間がかかってしまい、結果が出るのはデータ収集時から数か月後という状況でして……。結局、「前年の同時期より申し込み数が上がったね」「下がったね」と、事実を確認して終わりになってしまっていたのです。前年との比較でしか分析ができていない点、せっかくのデータを活用できていない点も、大きな課題だと感じていました。

そのような経緯で、申し込み数の推移やプロモーション施策の効果をリアルタイムに計測でき、タイムリーに共有できる、事業のグロースに役立つような分析ツールを探し始めました。

- Mixpanel導入の決め手や、魅力的だと感じた点についてお聞かせください。

小林氏：導入については、マーケティングチームと経営層が決定しました。私のところへは、「Mixpanelを導入することになった」という情報がおりてきたのですが、概要を聞いてすぐに「これは面白いツールだな」と思いましたね。

なにより魅力的だと感じたのが、タイムリーに状況が把握できるところ。申し込み数が上がった・落ちたといったことや、キャンペーンやマーケティング施策の反応はどうだったかなどを、見たいときに、いつでも確認できることです。それだけで、非常に有益だと思いました。

機能で特にいいなと感じたのは「シグナル」です。例えば、「無料体験講座を受講して2日後に本申し込みをしたユーザーと相関性が高いイベントはなにか」といったように、分析したいユーザーと相関性の高いイベントを可視化する、いわゆる”マジックナンバー分析”をしてくれるのです。これを活用すれば、どの施策が効果を発揮しているか・していないかということが見えてくる。とても便利な機能だと感じました。

こうした情報を、チームの全員で、いつでも共有することができる。クイックに打ち手を考え、検証する、というサイクルを繰り返せるところに、大きな魅力を感じました。

- 契約後、約3か月かけて構築と実装を行ったとお聞きしています。構築フェーズについてはいかがでしょう？なにかご苦労はありましたか？

小林氏：NTTコム オンラインの皆さんに丁寧にサポートしていただいたため、それほど大変だとは感じませんでした。ただ、コム オンラインの皆さんは大変だったかもしれません（笑）。週次でミーティングを行い、その都度、「こういったデータが取りたい」「こんな分析ができないか」と要望をお伝えして……。数えきれないほど多くのサンプルを出していただきました。そのなかから、「これはいらないね」「ぜひ採り入れたい」などと議論しながら構築し、結果的に、取りたいデータがしっかり取れるツールになったと感じています。とてもきめ細やかに伴走していただきました。

- 導入後は、どのように活用されていますか？

小林氏：まずは、無料体験講座後のキャンペーンについて検証しました。これまで、いくつかの拠点で異なる内容のキャンペーンを実施していました。Mixpanelのデータをもとに検証した結果、オンラインでの施策とリアル校舎での施策の評価を行う事でより効果があるものがみえてきました。

ほかに、無料体験講座の開催頻度についても検証しています。これまでは、参加人数が数名であってもいいから、とにかく体験講座を多く開催するという方針を取っていました。これに対し、講師から、「体験講座の開催回数を減らして、1回の参加人数が多い状態にしたほうがよいのでは」との意見が出まして、早速、そのような方向に変えてみたんですね。その後、Mixpanelで本申し込みの数を見てみたら、もともとの施策、つまり「参加人数が数名でもいいので、多数の体験講座を開催する」ほうが、明らかに効果が高いということがわかりました。

- ほかに、なにかMixpanelを導入して気付けたことはありますか？

小林氏：東京のほうが無料体験会からの申し込み率が高く、大阪のほうがやや低め、ということに気付きました。それで、「無料体験会参加者への特典案内」「講座予約のリマインドメールを送る」など、東京でやっていて大阪でやっていなかった施策を、大阪でもやるようにしてみたんですよね。結果、大阪での申し込み率がグンとアップしました。現在は、全拠点、MailchimpというMAツールとMixpanelを連携し、リマインドメールやフォローメールを送るようにしています。これにより生産性向上も進んでいます。

- Mixpanelを使ってみてのご感想、効果についてお聞かせください。

小林氏：これまで「申し込み数が伸びない原因が見えない」「改善点がわからない」とずっとモヤモヤしていたのですが、霧が晴れたような気持ちです。この打ち手は効果がある・効果がないということが明確になって、まさに“答え合わせ”をしているような感覚。これまでは現場担当者の経験や勘に頼ってきましたが、データという形で目に見えるようになり、自信と納得感を持ちつつ対策ができるようになりました。

なにより、こうした詳細なデータが、リアルタイムで、簡単に見られるところがいいですね。分析も非常にラクになり、“データを見る”ということに注力できるようになりました。
現在は、新規顧客のデータを見るチーム、継続顧客のデータを見るチームを置いて、より集中的にデータを追うようにしています。また、申し込み数の減少も食い止めることもしっかりとできています。

今後は、ワインの販売などを行うリテール事業部にもMixpanelを導入するプロジェクトが始まっています。完了した後は、顧客の重複状況や相互送客効果なども、Mixpanelで見ていけるといいなと思っています。広告施策、キャンペーン施策といった曖昧なものの効果が、まさにはっきりと見える化するツール。これからもMixpanelとともに、顧客獲得、満足度の向上、事業の継続的な成長を目指していきたいと思っています。