ユーザーエンゲージメントを網羅的に解説|有効な施策や成功事例

目次

ユーザーエンゲージメントはビジネスをグロースさせる際、非常に重要な指標です。現在、顧客獲得や顧客維持において望ましい結果を得ることができていない方は、ユーザーエンゲージメントを改善することで、問題解決できる可能性があります。当記事では、ユーザーエンゲージメントについて重要な理由や、改善するための施策に事例を踏まえ紹介します。

ユーザーエンゲージメントとは?意味やツール別の違いを解説

ユーザーエンゲージメントとは、マーケティング業界においてエンゲージメントと同義であり、Web上での顧客との関係の強さのことです。エンゲージメントの定義はツールによって異なり、アクティブユーザー数で計測する場合や口コミにより計測する場合など様々です。

ユーザーエンゲージメントの意味は顧客との関係性の強さ

ユーザーエンゲージメントとは、Webマーケティングで用いられ、自社商品やサービスと顧客における関係性の強さのことです。ユーザーエンゲージメントが高いことは、ユーザーが商品やサービスに対し強い愛着を持っている状態を意味します。

ユーザーエンゲージメントを測定するための指標は複数存在し、企業によって最適な指標は異なりますが、いずれの指標を用いて測定した場合でも、エンゲージメントを高める要因の把握や、商品・サービスの改善に役立てられる点は共通しています。

X (旧Twitter)・GA4でのユーザーエンゲージメント

ユーザーエンゲージメントで計測する指標は業界やサービスごとに異なります。X (旧Twitter)・GA4(Googleアナリティクス4)の指標を解説する前に、それぞれの例をご覧ください。

  • メディアサイト:1日の閲覧回数、ページビュー、滞在時間、ページ内検索回数など
  • 音楽アプリ:1日の利用回数、滞在時間、フォローしている人数など
  • Eコマースサイト:リピート購入回数など

それぞれの業界やサービスに適した指標を選択していることがわかります。

X (旧Twitter)におけるユーザーエンゲージメントはツイートを見たユーザーの反応や行動を示す指標として用いられており、いいねやリツイート、返信、リンクのクリックなどを把握することが可能です。

また、GA4におけるユーザーエンゲージメントは、「アプリ画面がフォアグラウンド表示(前面に表示され操作できる状態)されていた時間」もしくは「フォーカス状態にあった時間の長さ」と定義されています。

GA4のエンゲージメント率を計測するには「エンゲージメント セッション数」と「セッション数」を用います。それぞれの解説は以下の通りです。

  • エンゲージメント セッション数:10秒を超えて超えて継続したセッション、コンバージョンイベントが発生したセッション、2回以上のページビューもしくはスクリーンビューが発生したセッション
  • セッション:特定の期間内、Webサイトやアプリで発生した一連のインタラクションのこと

エンゲージメント率は「エンゲージメント セッション数をセッションの総数で割る」ことで算出できます。

ユーザーエンゲージメントが重要な理由

なぜ商品やサービスに対する愛着を計測できるユーザーエンゲージメントを高める必要があるのでしょうか。

ユーザーエンゲージメントが重要な理由は以下の2点です。

  • X (旧Twitter)などで拡散されやすく新規顧客獲得につながるから
  • 購買頻度・購買額の増加によりLTVが向上するから

X (旧Twitter)などで拡散されやすく新規顧客獲得につながるから

ユーザーエンゲージメントが高いユーザーはポジティブな口コミを拡散しやすいといった特徴があります。現在、多くのユーザーがX (旧Twitter)やInstagramなどのSNSを活用しており、商品やサービス購入前の情報収集を目的に、SNSでリサーチすることが一般的になっています。

SNSに対しポジティブな口コミを投稿するユーザーが増加することで、リサーチしたユーザーに対し商品やサービスに関する好意的な印象を与えられます。その結果、新規顧客の獲得につながるのがメリットです。

購買頻度・購買額の増加によりLTVが向上するから

マーケティングを行う際に重要な指標の1つにLTV(Life Time Value)があります。LTVは1人の顧客と取引を終えるまでに発生する利益のことです。次々に新規顧客を獲得するのではなく、既存顧客のユーザーエンゲージメントを高め、ユーザーのリピート率を高めることで高水準のLTVを達成できます。

ユーザーエンゲージメントの重要性は、マーケティングにおける法則の1つである「1:5の法則」からも理解できます。1:5の法則とは、新規顧客と既存顧客から同額の売上を達成する場合に必要なコストについての法則であり、新規顧客に対し販売する際に必要なコストは、「既存顧客の5倍」であることを意味します。無駄なコストを要さず売上目標を達成するためにユーザーエンゲージメントは非常に重要です。

ユーザーエンゲージメント計測に使う主な指標

ユーザーエンゲージメントを測定する際は、自社の商品やサービスに適した指標を使用する必要があります。それでは、ユーザーエンゲージメントを測定するために使用する指標にはどのようなものがあるのでしょうか。

アクティブユーザー数(AU)

アクティブユーザー(AU)とは、一定期間内でWebページに訪問したユーザー数を示す指標です。

アクティブユーザーは測定する期間に応じて「DAU」「WAU」「MAU」の3種類があります。

  • MAU
    Monthly Active Usersの略称であり、月当たりのアクティブユーザー数
  • WAU
    Weekly Active Usersの略称であり、週当たりのアクティブユーザー数
  • DAU
    Dayly Active Usersの略称であり、1日当たりのアクティブユーザー数

上記を個別に計測することに加え、MAU・WAUに対するDAUの比率を計測するなどの使い方をします。DAU/MAUの比率においては一般的に20%が良いとされていますが、サイトやアプリによって異なるため競合をベンチマークにするのがおすすめです。

セッション時間

セッション時間とは、ユーザーがWebサイトやアプリに滞在していた時間を示す指標です。平均セッション時間として計測されることが多く、この場合、訪問したユーザーの滞在時間の平均を把握することができます。

セッション時間が長ければ良いというわけではなく、Webサイトやアプリに応じて望ましいセッション時間は異なります。

スクロール到達率

スクロール到達率は、ユーザーがどこまでスクロールしたかを示す指標です。ユーザーがどこに興味を持ったか、またどこで離脱したかを把握することができます。離脱ポイントを把握し改善することでユーザーエンゲージメントを改善することが可能です。

直帰率(Bounce Rate)

直帰率(Bounce Rate)とは、Webサイトに訪問したユーザーのうち、1ページだけのセッションで離脱した割合を示す指標です。直帰率が高い場合、ユーザーエンゲージメントは低いと判断できます。直帰率を改善する際は、Webサイト全体をユーザーが回遊しやすく、CVページに遷移しやすいような構造にすることが大切です。直帰率の改善は、Googleがサイトを評価する上で重視しているページの利便性を高めることにつながり、検索順位でも良い影響があると考えられます。

*GA4における直帰率の定義は、以前のGAとは異なります。詳細はGA4ヘルプをご覧ください

顧客の口コミや感想

数値化できない情報を把握することも非常に重要です。顧客の口コミや感想から、ユーザーの具体的なニーズを把握でき、ユーザーエンゲージメント改善に活用できます。また、アンケートを実施した場合は回答数も重要です。一般的に回答数が多いことはユーザーエンゲージメントが高いことを意味します。また、顧客ロイヤルティを明確な基準で計測できるアンケートの「NPS」を用いることも、ユーザーエンゲージメントを測定するうえで有効な手段の1つです。

サービスごとの計測すべき指標

前項で紹介したように、ユーザーエンゲージメントを計測する指標は複数存在するため、自社の商品・サービスに適した指標を活用しなければなりません。

サービスごとの計測すべき指標は以下の通りです。

  • メディアサイト:1日の閲覧回数、ページビュー、滞在時間、(ページ内)クリック数、(ページ内)検索回数、コメント数、シェア数
  • 音楽アプリ:1日の利用回数、アプリ内滞在時間、フォローしている友だちの人数
  • Eコマース店舗:リピート購入回数
  • 個人向けファイナンスアプリ:週次の利用回数、通知設定のON/OFF、ダッシュボード表示回数
  • 企業向けソフトウエア:毎月の使用量、ユーザーの招待数

上記はポジティブな指標ですが、離脱率やアプリの利用停止などのネガティブな指標も合わせて計測することも重要です。両者の数値を見ながらユーザーエンゲージメント改善の施策を立案・実行していきましょう。

*指標例の引用先:Mixpanel『ユーザーエンゲージメントとは?その定義と改善方法

ユーザーエンゲージメントの向上に役立つ施策

ユーザーエンゲージメントの向上を実現する際は、計測した指標を参考に改善施策を講じることが重要です。ユーザーエンゲージメント改善を実現する施策には以下のようなものがあります。

  • 商品・サービスのユーザビリティを見直す
  • カスタマージャーニーマップの作成・見直しを行う
  • ユーザーと質の高いコミュニケーションを取る

商品・サービスのユーザビリティを見直す

商品やサービスのユーザビリティを高めることはユーザーエンゲージメントを改善する上で最も重要です。どれだけ優れた機能を搭載した商品であっても、使い勝手が良くない場合ユーザーはストレスを感じてしまいます。シンプルで使いやすいアプリやWebサイトの作成を徹底しましょう。

ユーザビリティを改善する際は、ユーザーがどこで離脱しているか把握することが非常に重要です。つまずくポイントをなくすことで、ユーザーは思い通りに商品やサービスを使用でき、本来の価値に気づいてもらいやすくなります。

例えばカゴ落ち率が高い場合は「注文確定への動線や入力フォームの最適化を行う」、リピート率が低い場合は「ステップメールを活用してリピート購入を促す」などが考えられます。商品・サービス自体の質に加え、購入までの過程や販売後のコミュニケーションにも注視することが重要です。

カスタマージャーニーマップの作成・見直しを行う

カスタマージャーニーマップとは、商品・サービスの認知から購入に至るまでの購買行動におけるプロセスを可視化したものです。カスタマージャーニーマップでユーザーの思考や課題を把握することで、適切な施策の立案・実行につながります。

商品やサービスのユーザビリティ改善は非常に重要ですが、それ以前に購入・使用してもらわなければ、ユーザーに商品やサービスの良さを伝えることもできません。各タッチポイントにおいて顧客が感じる価値や不満を把握・改善し、購買プロセス全体を最適化するためにカスタマージャーニーマップの作成・見直しは非常に効果的です。

ユーザーと質の高いコミュニケーションを取る

ユーザーエンゲージメントを改善する上でSNSなどを活用し、ユーザーと質の高いコミュニケーションをとることは非常に重要です。SNSのリプライやダイレクトメッセージなどを用いて直接コミュニケーションを取ったり投稿に対しコメントを返したりすることで、ユーザーとのつながりを強固にできます。

また、やりとりの中でユーザーの意見を把握し、Webサイトやアプリの改善に取り入れることも有効な施策の1つです。ユーザーエンゲージメントの高いユーザーは商品やサービスについて深くまで理解しており、正確に商品の良い点悪い点を把握している可能性も高いことから、ユーザーとの積極的なコミュニケーションは重要です。

ユーザーエンゲージメントの活用事例

三越伊勢丹やスターバックスコーヒーは、ユーザーエンゲージメントにフォーカスしたマーケティング手法により成功した企業です。これらの企業がユーザーエンゲージメントを高めた手法を紹介します。

三越伊勢丹

三越伊勢丹は「meeco」というオンラインストアを運営していましたが、顧客のニーズをうまく汲み取ることができず、思うような成果を上げられませんでした。このような問題を解決するために、実店舗のスタッフのようにWebサイトへ訪問したユーザーを誘導するWeb接客ツールを導入し、購買ユーザー数の増加を達成しました。

また、三越伊勢丹は店舗や社員によるSNSにも力を入れており、2021年時点で店舗・ショップによる公式アカウントはおよそ270個、社員の公認個人アカウントはおよそ85個、個人アカウントの全フォロワー数はおよそ7万7000人まで拡大しているそうです。これらのアカウントによるユーザーとのコミュニケーション増加もユーザーエンゲージメント改善の要因といえます。

スターバックスコーヒー

スターバックスは空間の改善によりユーザーエンゲージメントを高めた企業です。コーヒーを提供するのではなく、顧客が安心して過ごせるサードプレイスの提供を徹底しました。サードプレイスとは、家庭(第1の場)、職場(第2の場)に次ぐ第3の居心地の良い空間のことを指します。

ユーザーはスターバックスの商品に対する価値だけでなく、スターバックスで過ごす時間に対しても価値を感じるようになり、高いユーザーエンゲージメントを実現しました。

ユーザーエンゲージメントの向上は事業拡大に重要!

ユーザーエンゲージメントを改善することで、SNSによる良い口コミの拡散やリピート率アップにつながり、LTVの向上が期待できます。ユーザーエンゲージメント改善施策は、商品やサービスのユーザビリティの改善や、カスタマージャーニーマップの作成・見直しなど様々です。ユーザーエンゲージメントを計測する際に使用する主な指標を確認し、事業拡大する上で効率的な施策は何か、見定めることが重要です。

優れたデータ分析でユーザーエンゲージメントを高める「Mixpanel」

ユーザーエンゲージメントを高める上で、重要な指標を計測するデータ分析ツールの活用は非常に重要です。「Mixpanel」は26,000社以上の企業から選ばれている分析ツールです。CVの高いユーザーセグメントの把握やファネル分析による離脱原因の明確化など、ユーザーエンゲージメントを高める施策の立案・実行に貢献してくれます。さらに、Webや店舗、アプリなど様々なデータを一括に統合し分析可能な点など、使いやすく実用的なツールです。

また、「休眠顧客となる原因の分析」や「リテンションを促進するきっかけの特定」など、リピーターおよびロイヤルカスタマー育成までをサポートしてくれます。NTTコムオンラインによる、導入・運用支援も充実していることから、マーケティングに関する知識に自信がない方でも安心して導入できる分析ツールです。

現在、マーケティングに関するデータ分析の悩みを抱えている方は、少しでも興味をお持ちいただけたら、ぜひ弊社までお気軽にお問い合わせください。