世界15の国と地域で、グローバルに事業を展開しているAGCグループ。
「ガラス」「電子」「化学」「セラミックス」の事業領域で、それぞれの分野で最先端の技術を活かした製品を供給していらっしゃいます。中でも、今回紹介する化学品カンパニーは、100年を超える歴史を持つ主力事業。板ガラスの原料であるソーダ灰の自給から始まり、現在では基礎化学品、フッ素系高機能化学品、ライフサイエンス関連製品まで、豊かで安全・安心な社会と環境に貢献する製品を作り出している組織です。そんなAGC株式会社 化学品カンパニーのWebサイト制作を手掛けたのが、NTTコム オンラインでした。
Webサイト制作の経緯から現在の運用に至るまで、化学品カンパニー企画管理室 企画グループコミュニケーションチームリーダー茂原二朗氏と松尾奈津子氏にお話を伺いました。
― まずは、カンパニーWebサイトの構築に至った経緯についてお聞かせください。
茂原氏 : AGCグループにはコーポレートWebサイトがあり、建築ガラスカンパニーやオートモーティブ(自動車用ガラス)カンパニーのWebサイトもありました。ですが、化学品カンパニーの専用Webサイトはなく、新たにイチから構築しようとなったのが、2016年頃のことです。
化学品のカンパニーWebサイトを新しく立ち上げるにあたって、実現したいことが大きく2つありました。1つが、化学品カンパニーのブランド強化。もう1つが、Webサイトからのリードの獲得です。
まず1つ目の目的であるカンパニーブランドの構築では、「Chemistry for a Blue Planet」というカンパニービジョンをしっかりと社外に向けて発信していくことに重きを置いていました。このビジョンは、人にとって安全・安心・快適であるということに加え、地球環境にも貢献するモノづくりを大切にしていますよ、というものですが、当時はかなり先進的なものだったと思います。
今でこそSDGsが広く浸透し、多くの企業が環境にも人にも優しい開発目標を掲げていますが、カンパニービジョン制定当時はそうしたメッセージを大きく打ち出している企業はほとんどありませんでした。そうした中で、いかにして化学品カンパニーが掲げる先進的なビジョンを伝えることができるのか。カンパニービジョンを前面に打ち出したデザインや、具体的な事例のライブラリー化などNTTコム オンラインさんが、いろんな提案をしてくださいました。
環境負荷低減に貢献する製品開発に対する取り組みや、私たちが化学品の開発・提供を通して実現したい未来など、事業の歴史や背景、モノづくりに対する想いがしっかりと伝わるコンテンツ、動画、Webサイトづくりに貢献してくださったと思います。
― もう1つの目的であるリード獲得についてはいかがだったでしょうか。
茂原氏 : 化学品カンパニーは、グローバルに事業を展開していますので、世界中のお客様がAGCのWebサイトをご覧になります。中でも、当カンパニーのグローバルにおける主力製品となっているのが、フッ素系高機能化学品です。全世界から非常に多くの問い合わせをいただくのですが、その問い合わせに対してスピーディな対応が十分できていないという課題がありました。
当時はカンパニーWebサイトがなかったわけですから、お客様からのWebサイト経由の問い合わせはすべて一括して日本のコーポレートWebサイトの問い合わせ受付を担う部門に集約され、その後、各地域の管轄拠点に情報が共有されるというフローです。これではタイムリーな対応ができません。せっかくWebサイトから獲得したリードがセールス活動に活かされず、非常に大きな機会損失が生まれていたと思います。
特に、グローバルに事業を展開する当カンパニーにとってはとても大きな課題で、営業部門から「何とかしてくれないか」という声がたびたび寄せられていました。日本でこそ「AGC」と言えば多くの方に知っていただけていますが、世界に目を向ければ知名度は決して高くありません。
いかにして当カンパニーが誇る製品ラインナップの魅力を伝えることができるのか。そして獲得したリードをセールス活動にスムーズにつなげるにはどうするべきか。これらの課題を新たなWebサイトでは解決したいと考え、NTTコム オンラインさんに相談させていただきました。
― 具体的には、どのような方法で解決されたのでしょうか。
茂原氏 : 一口に「フッ素系高機能化学品」と言っても、実に多くの種類があり、各国・地域の市場ニーズよって求められる製品がまったく異なります。そこでNTTコム オンラインさんから提案していただいたのが、4つのパターンにグローバル市場を分類して、それぞれのニーズに適したWebサイトを構築するというものです。エリア特性に応じて最適化したWebサイトを11の言語に対応させることが最終的に決定しました。
それともう1つ、マーケティング戦略からのWebサイト設計を提案いただきました。
様々なお客様のニーズと行動を想定し、それぞれのケースごとに使いやすいWebサイトの構造や、掲載すべき情報とゴールを設計し、用語検索や分類検索の機能を充実させるなど行った結果、従来のコーポレートサイトにおける化学品情報の閲覧数を上回るアクセスを獲得しました。
― その他の点で、NTTコム オンラインにオーダーされたことはなかったでしょうか。
茂原氏 : グローバルにカンパニーサイトを展開していく上で、1つ重要なことがありました。
それは地域ごとにある既存のWebサイトとの連携です。今でこそ日本でもBtoB業界でデジタルを活用したマーケティング施策を行うことがあたりまえになりましたが、当時はまだまだ採用は少なかったように思います。もちろん当カンパニーでも、デジタルの活用はまだまだ未熟な状態でした。
その一方で、欧米ではすでに多くの企業がデジタルを活発に活用していて、Webサイトの構築においても日本を一歩リードしているような状況にありました。既にそれぞれの地域の販売会社ごとに専用Webサイトがあり、それら既存Webサイトを作り変えることに対して理解が得られないという課題がありました。
各地域の既存のWebサイトと新規に構築する当カンパニーのWebサイトをいかにして連携させるのか。とても難しい課題だったのですが、この部分でもNTTコム オンラインさんには、いろいろと考えていただきました。
2つのWebサイトをつなぐためのランディングページを間に挟むなど、難しい対応も巧みにこなしていただけたことで、スムーズにカンパニーWebサイトを構築できたと思います。
― 実際に成果はいかがでしたでしょうか。
茂原氏 : もちろん従来のコーポレートサイトにおける化学品情報の閲覧数を上回るアクセスを獲得できるようになりました。
また、重視していた問い合わせからお客様対応までのタイムラグも解消され、期待した通りの成果が挙げられたと思います。海外のお客様からも多くの問い合わせも得られました。
― 大規模なWebサイトですが運用面はいかがでしょうか。
松尾氏 : Webサイトの更新や運用面でも、非常によい形に仕上げていただくことができました。当カンパニーの事業は非常にすそ野が広く、同じ事業でありながら、上流工程と下流工程ではまったく異なる仕事をしています。それだけに、ある程度の業務知識や事業への理解がないことには、Webサイト情報の更新などの運用ができません。また、多くの情報を掲載するため更新を一部門が一手に担うことは困難でした。
こうした状況を踏まえて、各部門が内製で更新できるように素人でも扱えるHeartCore CMSでの構築を提案していただきました。非常に多機能なHeartCore CMSですから、現時点で100%使いこなせているとは思いませんが、ページの更新作業などを社内のリソースでまかなえるため、非常に効率の良い運用ができていると思います。
またHeartCore CMSはユーザーのブラウザの言語設定などでWebサイトを出し分ける機能なども役に立っています。
― コンテンツから運用、方針策定まで検討された範囲は多岐に渡るようです。
茂原氏 : 今回のプロジェクトにおいては、NTTコム オンラインさんの方から、様々な分野の専門家の方々が協力してくださって、大変満足できるWebサイトが出来上がりました。
Webサイト構築だけでなく、Webマーケティングの観点に基づいた戦略の立案、Webサイト運用体制も考慮した構築方法など、トータルでサポートいただけたことがプロジェクト成功の大きな要因となりました。おおよそ1年にわたるプロジェクトでしたが、当カンパニー内で実施したキックオフミーティングにも参加してくださるなど、一つのチームとしてとても親身に取り組んでいただけたことを改めて感謝申し上げたいと思います。
― 我々こそ、非常に多くの部分で協力していただけましたことを深く感謝しております。本日はありがとうございました。
※ 記事の内容は2022/03/11時点のものです。