2022/12/09

Webマーケティングとは?デジタルマーケティングとは何が違うのか?

Webマーケティングとデジタルマーケティングの違い

Webマーケティングとは?

「Webマーケティング」という言葉を、ビジネスシーンで聞いたことがある人も多いでしょう。

Webマーケティングとは、Webを中心としたマーケティング手法のことを指します。たとえば、Webにおける商品やサービスの認知や販売、問い合わせの獲得も、Webマーケティングの一種です。このほかにも、オウンドメディアを運用することによる集客やナーチャリング(顧客の育成)を行ったり、SNSを介して顧客とインタラクティブにコミュニケーションを取ったり、メールマガジンやWeb広告でサイトに集客することも含まれます。

Webマーケティングが求められている背景にはインターネットの普及があります。多くの人がスマートフォンやパソコンなどのインターネット端末を持ち、情報を発信する人と情報を探す人、Web技術によって世界中の“ヒト”“モノ”“コト”が繋がり、大きなビジネスチャンスが生まれたことでニーズが高まっているのです。

デジタルマーケティングとは?

Webマーケティングと似た言葉として、「デジタルマーケティング」というものがあります。

デジタルマーケティングは、Webに限らず、デジタル技術を活用したマーケティング手法すべてを指します。たとえば、デジタルサイネージ、IoT、AI、VR、ブロックチェーンなどのデジタル技術を活用したマーケティング手法がデジタルマーケティングとなります。

ほかにも、マーケティングオートメーション(MA)ツール/サービスを利用することで、顧客をスコアリングし、顧客が購買プロセス上のどの位置にいるのかを可視化して、最適なタイミングで最適なコミュニケーションを図ることができます。加えて、営業に対してスムーズな顧客情報の共有も可能になります。

Webマーケティングとデジタルマーケティングは、何が違うのか?

Webマーケティングとデジタルマーケティングは、同じような言葉ですが、微妙な違いがあります。

Webマーケティングは、Webだけのマーケティング手法であり、Webサイトにターゲットとなるユーザーを集客し、ユーザーがWebサイト上で何らかのアクション(購入、申込、問い合わせなど)を起こすことが基本となります。

一方でデジタルマーケティングは、Webに限らず、デジタルツール全般を利用したマーケティングのことを指します。つまり、デジタルマーケティングというカテゴリの中に、Webマーケティングというカテゴリが含まれることになります。

Webマーケティングの種類

Webマーケティングにはどんな種類があるのか

Webマーケティングは、Webサイトにターゲットとなるユーザーを集客し、そのユーザーがWebサイト上で何らかのアクション(購入、申込、問い合わせなど)を起こすためのマーケティング手法です。

Webマーケティングには様々な手法がありますが、本記事ではその中から4つの手法を取り上げます。

Web広告

Web広告は、Web上のメディアに掲載される広告のことです。「インターネット広告」や「オンライン広告」とも呼ばれ、様々なWebメディアから自社のWebサイトへ集客することが可能です。

代表的なWeb広告には、GoogleやYahoo!などの検索エンジンの検索結果上に表示する「リスティング広告」、自社サイトに訪問履歴のあるユーザーに対し再訪問を促す「リターゲティング広告」、Webサイトの広告枠に表示される「バナー広告(ディスプレイ広告)」、FacebookやX (旧Twitter)などで表示されるSNS広告、YouTubeなどで表示される動画広告などがあります。

Web広告は様々な種類がありますが、メリットには以下のようなものがあります。

  • 各Web広告ごとに特徴があり、Web戦略に沿った広告を組み合わせることが可能
  • 「4マス媒体」(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)とは異なり、安価で広告を配信することができる
  • 比較的短期間で効果が出やすい
  • 広告効果を可視化しやすい
  • 広告の修正がスピーディに可能
  • AIが最適なターゲットとクリエイティブを半自動的に選定し、配信できる

SEO

SEOとは、Search Engine Optimizationの略で、「検索エンジン最適化」のことです。具体的には、Googleなどの検索エンジンの検索結果上位に自社サイトを表示させ、サイトへの流入を増やすための施策です。

かつては、サイトの被リンクを増やしたり、長文の記事を掲載することが主な対策でしたが、最近では専門性・権威性・信頼性の高いコンテンツが上位に表示されるなど、ユーザー視点で有益な情報になっているかがより評価されるようになってきています。

SEOのメリットとしては以下があげられます。

  • 広告宣伝費が抑えられる
  • 継続的なWebサイトへの集客が見込める
  • ブランディング効果(ブランド力の向上)

SEOで上位表示できれば、リスティング広告などに費用をかけずとも継続的にWebサイトへの集客が期待できます。しかも、作成したコンテンツは半永久的に残り、顧客アプローチのための資産として活用できます。検索上位に自社サイトが掲載されることでユーザーからの信頼も得られ、ブランディング効果も期待できます。

ただし、SEOはWeb広告とは異なり、効果が現れるまで時間を要します。どの程度の時間を要するかは競合状況、キーワードボリュームなどによって異なります。

オウンドメディア

“オウンドメディア(Owned Media)”とは、企業が自社で保有するメディアのことです。Webサイトや自社ブログはもちろん、場合によってはパンフレットや広報誌、自社アカウントのSNSなどもオウンドメディアに分類されます。

オウンドメディアのメリットの一つに、情報を企業側でコントロールすることが可能な点があります。たとえば、Webコンテンツ記事を通して、自社の理念や製品開発秘話など自由な形で発信することも可能です。記事を見たユーザーが興味や関心を持ち、購入に至ったり、継続的なファンになることで、自社ブランディングの効果が期待できます。加えて、広告とは異なり出稿費用などはかかりません。

オウンドメディア以外にも、費用を支払って利用するペイドメディア(Paid Media)、SNSや口コミサイトなどのアーンドメディア(earned media)があり、3つのメディアを総称して「トリプルメディア」と呼びます。トリプルメディアを効果的に組み合わせることで、認知や見込み客の獲得、さらには購入後の継続的なコミュニケーションとして活用することができます。

近年ではSNSやWebサイトにおける消費者の口コミの広がりが影響力を持ってきたことから、トリプルメディアにシェアードメディア(Shared Media)を加え、「PESOモデル(Paid Media、Earned Media、Shared Media、Owned Media)」と分類されることもあります。

トリプルメディア

LPO

LPOとは、Landing Page Optimization(ランディングページの最適化)の略語です。ランディングページとは、ユーザーがWeb広告や検索エンジンなど外部からアクセスしてきた際に、最初にWebサイトに訪問するページを「着地するページ」という意味で、このランディングページをユーザーのニーズに合わせて最適化することで、ランディングページ上でユーザーに何らかのアクションを起こさせる割合(コンバージョンレート=成約率)を高めるマーケティング手法のことを指します。

LPOはGoogle AnalyticsやGoogle Search Console、ヒートマップツールなどでページの現状分析をして課題を炙りだし、A/Bテストなどを実施して最適化(改善)していきます。

Webマーケティングのメリット・デメリット

Webマーケティングを行うメリットとは

しかし、なぜWebを用いてマーケティング活動を行う必要があるのでしょうか? 以下にWebマーケティングを行うメリットをいくつかあげます。

幅広い顧客にアピールできる

Webマーケティングは、インターネット環境が整っていれば、世界中の人にアプローチできるメリットがあります。

インターネットが普及する前は、テレビや新聞、ラジオ、雑誌の4マス媒体が消費者へ認知するための主要媒体でした。たとえばBtoBビジネスでも、業界紙で広告を出し、営業が直接顧客を訪問して情報を届けるのが一般的でした。そのため、資本力のある一部の企業以外は、自社の商品やサービスを多くの人々に伝えることができませんでした。

しかし、インターネット環境が整っている現在では、Webサイトを軸に、検索エンジンやSNSなどを通して広くアプローチができ、思いがけない人物や企業が顧客になる可能性があります。特にX (旧Twitter)やFacebookなどのSNSが登場してからは、誰でも手軽に情報を発信し、その発信を受け取ることができるため、地域や年齢に関係なく、同じ趣味や同じ嗜好、同じ考え方の人たちで形成されたコミュティを活用して、企業が自社ブランディングに取り組めるようになりました。

細かいターゲティングが可能

Webマーケティングは、前述のように幅広い顧客にアピールできるだけでなく、ターゲットを絞って、細かくアプローチすることができます。

従来の4マス媒体でも、ある程度はターゲットを絞ることはできますが、たとえば、「20代後半の女性で〇〇地域に住んでいるファッションに興味がある人」のような細分化されたターゲットだけにアプローチすることはできませんでした。

しかし、Web広告であれば、過去にWebサイトに来訪したユーザーかそうでないか、申込みフォームまで到達したユーザーかそうでないか、Webサイトに最後に来訪したのはいつなのか、といったユーザーの細かな差に会わせて、広告表現を変えてアプローチすることが可能です。

各ユーザーに適したタイミングとメッセージで、細かくターゲットを絞ったアプローチが可能となるため、申込み率や購入率を高めることも期待できます。

効果検証がしやすい

Webマーケティングはあらゆる数値をデータとして残すことが可能です。そのため効果検証も可視化しやすく、定量的な根拠をもってマーケティング施策のPDCAを回せるメリットがあります。

たとえば、どのチャネルからWebサイトに訪問したか、どの時間帯にアクセスが多いか、検索エンジンからどのようなキーワードでWebサイトに訪問してどのページが閲覧されているかなどのデータを把握することが可能です。

さらに、Webサイトだけに限らず、SNS上で自社の口コミの件数や内容をタイムリーに取得できるツールもあり、顧客の声に対してスピーディな対応も可能です。これまで計測が難しかったデータを即座に取得し、分析することで、客観的に自社の現状が把握できます。そのため、客観的な数値データで現状把握や施策の結果を検証し、仮説を立ててマーケティングプランを立案するというPDCAサイクルを回すことができます。

費用を比較的安く抑えられる

Webマーケティングの一つの手法であるWeb広告は、テレビCMや新聞広告と比較すると、費用は安く抑えられます。その効果も可視化しやすいため、継続や停止などの判断もしやすくなります。

Webマーケティングを行うデメリットとは

Webマーケティングには、ここまで取り上げたようにさまざまなメリットが存在しますが、一方でデメリットもあります。

競争が激しい

Webマーケティングのメリットで「幅広い顧客にアピールできる」と記載しましたが、逆に言えば、競合も幅広く存在します。なぜなら、エリアが限定されるビジネスの場合は競争相手がそこまで存在しませんが、インターネット上では日本全国(もしくは世界)に競争相手が存在することになるからです。

たとえばECサイトのようなネット物販の場合、比較サイトで簡単に価格を比較されることになるため、商品に優位性がなければ、価格競争に陥るリスクが非常に高いです。

常に情報収集とスキルの習得が欠かせない

Webの世界では、テクノロジーが日進月歩で進んでいます。今日は正解だった方法が、明日には通用しなくなることも十分に起こりえます。

たとえばWeb広告では、、アドテクノロジーの進化によってAIが半自動で最適なターゲットに最適な広告クリエイティブを掲出してくれるようになってきており、担当者がターゲットを絞るよりもAIに任せたほうが費用対効果が良い場合があります。

Webサイトやそれを支える基盤インフラにおいても常に技術は進化しています。新しいサービスが次から次へと出てくるため、情報のキャッチアップとスキルの習得を継続しないと、競合に負けてしまう恐れがあります。

もし自社がテクノロジーの進歩についていけない場合は、外部の先進企業のサポートを仰ぐという方法もあります。

Webマーケティングのよくある失敗・成功のポイント

Webマーケティングのよくある失敗

Webマーケティングに挑戦したとしても、必ず成功するとは限りません。Webマーケティングでとかく躓いてしまいがちなポイントを以下に紹介します。

目的や目標が明確になっていない

Webマーケティングを開始する際、目的や目標が設定されていないと、何のためにやっているのか、メンバーの方向性が見えなくなり、かつ課題や改善に関する活発な意見も出ず、先の見えない議論に終始してしまいがちです。

なぜWebマーケティングを始めるのか、どんな目的で実施するのか、目標やゴールは何か、そのために何をするのか、事前にメンバーの間で意識を合わせておくべきでしょう。特にWebマーケティング手法の一つ、SNS施策においては効果が見えにくかったり、効果がでるまでに時間がかかるため途中で頓挫することが多いです。もちろん、目的や目標が本当に正しいものか、その妥当性も重要になってきます。

戦略が間違っている

取り扱う商材によって、Webマーケティングの戦略も異なります。たとえばたとえばBtoBで金額が大きい商材の場合、Webだけで完結することは少なく、Webサイトから問い合わせを受け、その後、営業が直接顧客のもとへ向かい、商談を行うケースが多いです。

加えて、世の中にまだ知られていない新商品と、すでに世に広く知れ渡った、成熟された商品とでは、Webマーケティングの戦略は異なります。

Webマーケティングの戦略が間違っていると、顧客に対して間違ったアプローチを行うことになるため、無駄な時間とコストがかかってしまうことになります。上手くいかない場合は、戦略の見直しが必要です。

コンサルティングや制作会社に丸投げ

外部のコンサルティング会社に相談することや、制作会社にWebサイトの更新を依頼することは、悪いことではありません。

しかし、いくら外部の会社がWebマーケティングに関する優れた知見を持っていたとしても、自社の商材や業界に関する知見まで有しているわけではありません。そのため、外部の会社にWebマーケティングをすべて丸投げすることは、商品に関する誤った情報が広まってしまう恐れがあります。

「近視眼」に陥る

近視眼とは、大局が見えず、目先のことしか判断できないことを意味する言葉です。Webマーケティングでは、参加スタッフの役割が分担されるため、施策の効果検証もその分担ごとに行われることで、結局プロジェクト全体がどのようになっているのか、状況が見えにくくなる傾向にあります。

たとえば、オウンドメディアに掲出していたホワイトペーパーのダウンロード率が下がってきた場合、本来であればプロジェクト全体で原因を探り、改善策を打つ必要がありますが、近視眼に陥っている場合は「まずは回遊率を上げよう」といったように、短絡的に対策を決定してしまいがちです。

Webマーケティングの成功ポイント

Webマーケティングの成功ポイントは、業界や取り扱う商材によっても異なります。しかし、以下に挙げるポイントは、どの業界や商材でも成功する可能性は高いといえそうです。

ターゲットの解像度を常にあげる

「ターゲットの解像度を常にあげる」とは、「消費者のことを常に理解する」ことです。ターゲット=消費者は何を求めて、どう考えて行動し、何を求めて商品を買っているのかを分析することが求められます。

Webマーケティングでは、ターゲットの興味の移り変わりを数値で追うことができます。この数値をもとに、消費者のニーズに合ったWebマーケティングができているかどうかを常に検証することが成功のポイントになります。

目的や目標を明確にする

Webマーケティングにおいては、明確な目的や目標を設定し、メンバー間で共有することが重要です。目的や目標を設定することで、現在地とのギャップが明確になり、計画性を持った具体的な施策が実行しやすくなります。施策の結果検証においても、有意義な意見が関係者間で出やすく、運営もスムーズになります。

スモールスタート

失敗例でも述べた通り、Webマーケティングの戦略が間違っていると、労力とコストが無駄になってしまいます。そのため、まずは“スモールスタート”で、最小限の取り組みから始めるのが良いでしょう。間違った戦略でもスタートしても損失を抑えられるうえ、軌道修正もしやすくなります。小さな成功と失敗体験を繰り返すことで、Webマーケティングの精度を高めることができます。

Webマーケティングに精通した、外部のプロフェッショナル集団のサポートを受けることも一つです。費用はかかりますが、成功確率は高まります。もちろん先に触れたように、すべて丸投げするのは悪手となります。

俯瞰してPDCAを回す

Webマーケティングは、プロジェクト全体を俯瞰してPDCAを回すことが重要です。

たとえばWeb広告において、クリック率を上げるために「ターゲットを細かく絞る」という改善策をすると、クリック率は向上したものの、クリック単価が上がり、最終的に獲得単価(CPA:Cost Per Acquisition)が悪化することもあります。

どのターゲットに、どのタイミングでどんなコミュニケーションを図り、どう態度変容を起こすのか、その費用対効果はどうなのか。Webマーケティング全体を俯瞰しながら、仮説と検証、実行を繰り返すことが成功のポイントです。

まとめ

Webマーケティングはデジタルマーケティングというカテゴリの中に含まれる、Webだけのマーケティング手法ですが、Webマーケティングには様々な種類があり、デジタル技術の進化とともに今後さらに拡大する分野になっていくでしょう。

加えて、コロナ禍で急激に消費活動や企業活動がデジタルシフトする中で、Webマーケティングの重要性が高まっています。外部の会社にWebマーケティングをすべて丸投げすることは、既述の通り失敗するリスクが高いのでお勧めしませんが、上手に外部のプロと協業してレバレッジを効かせると良いでしょう。