2023/01/31
企業がWebコンテンツを作るうえで、「CMS」は欠かせない存在です。CMSを導入することで、コンテンツが簡単に作成でき、更新も容易になります。本記事ではCMSの種類や機能、選定のポイントを紹介します。
CMS(シーエムエス)とは、webサイトのコンテンツを構成するさまざまな要素を「一元的」に保存や管理、利用できるシステムのことです。コンテンツの構成要素には、テキストや画像、デザイン、レイアウトテンプレートなどが含まれます。日本語では「コンテンツ管理システム」(ContentManagement System)と訳されます。
CMSを導入することで、専門知識がなくてもWebページの追加、更新が簡単にできるようになります。そのため、バージョン管理や「ページ作成」「承認」「公開」といったWebサイトを運用するための業務プロセスを、適切な権限をもつ従業員で役割分担することができます。
CMSを導入することで、以下のようなさまざまなメリットが得られます。
Webコンテンツを作る場合、基本的にはHTMLやCSSといった言語の知識が必要になります。しかし、CMSにはあらかじめHTMLやCSSが組み込まれており、そうした知識が無くてもまるで、ブログ記事を制作するように文字を入力するだけでWebコンテンツが制作できます。基本的にはWebブラウザ上で操作するため、ソフトウェアをインストールする必要もありません。
このような簡単な文字入力でコンテンツが作れる技術・機能を「WYSIWYG(ウィジウィグ、What You See Is What YouGetの略語)」と呼びます。CMSでは基本的にWYSIWYGに対応しています。
Webコンテンツが簡単に制作できるということは、Webコンテンツの更新も簡単にできます。すでにアップロードしたコンテンツの内容を変更する場合も、当該部分を変更し、更新ボタンを押すだけで完了します。サイトの更新頻度を高めることで、見込み顧客に自社商品/サービスをよりアピールすることが可能になります。
CMSによって、Webサイトを運用するための業務プロセスを、適切な権限をもつ複数の従業員で一元的に管理できるようになります。そのため、コンテンツの作成、登録、公開予約、承認といったWebサイト運用を分業しやすくなります。
スケジュール機能により、Webページの公開・非公開が自由に設定できます。深夜や休⽇での更新作業に対応する必要がなくなります。
Webページを更新した際に「いつ」「誰が」「どのデータを」「どのように作業したのか」の履歴がシステム上に残るため、作業をしなかった従業員でも状況の把握をすることができます。必要に応じて、更新後のコンテンツを過去のバージョンに復元することもできます。
公開までの承認ワークフローをCMS上で行うことができます。それによって、承認申請などの業務効率化と、ミス防止などの内部統制強化が図れます。
CMSの中には、検索エンジンの上位に表示されやすい仕組みを採用しているものもあります。そのため、CMSに記事を登録し公開することで、検索エンジンの上位に表示される可能性を高めることにつながります。
さらに、検索エンジンはページの更新日時が新しいコンテンツを上位表示する傾向にあります。そのため「2」で触れたように、CMSによってWebコンテンツの更新を頻繁に行うことで、検索結果の上位に表示されるという効果も期待できます。
CMSとSEO効果の関係については、記事の中盤にて改めて解説します。
CMSを用いれば、自社サイト・自社ホームページが社内で更新できるようになり、外部に更新を依頼するコストが削減できます。
CMSはマルチデバイスに対応したものが多く、テンプレートに沿ってコンテンツを制作するだけで、PC用のWebページ、スマートフォン用のWebページが自動的に生成されます。そのため、端末ごとの表示崩れを気にする必要は、基本的にはありません。
CMSを導入するメリットを1文でまとめると、「Webコンテンツの制作・更新の手間を省き、コストや手間が削減できる」ということがいえます。
従来、自社ホームページや自社サイトを変更・更新する場合、HTMLやCSSなどの言語を用いて、サイトのデータやファイルを変更し、サーバーに変更後のファイルをアップロードする必要がありました。この作業は専門的な知識が求められるため、外部の制作会社に作業を依頼するのが一般的でした。
しかしCMSを導入すれば、専門的な知識は不要となるため、基本的には自社内だけで更新が可能です。外部の制作会社を利用するのは、大規模なサイトリニューアル時だけで済みます。「このページを更新してください」と外部に依頼する手間もコストも不要になり、サイト更新作業は社内で完結できるようになります。
ここまで述べたように、CMSはWebコンテンツを手軽に制作するためのものとして最適なツールとなります。しかし、そもそもなぜWebコンテンツを手軽に制作する必要があるのでしょうか?
その答えとしては、「SEO効果を高めること」が挙げられます。CMSを導入し、コンテンツを頻度高く制作・更新していくことで、自社サイトが検索エンジンの上位に表示される可能性が高まります。
SEO対策といえば、かつてはテクニックで検索エンジンの癖を読み解き、上位に表示されるように操作するといった手法がとられていましたが、近年ではシンプルに良質なコンテンツをホームページ上に掲載し、検索ユーザーを満足させるような記事が表示されるようになっています。加えて、更新日時が新しいコンテンツを上位表示する傾向にもあります。
つまり、CMSを導入することで、良質な記事を多く作成し、古くなった記事をアップデートし続けることで、検索エンジンの上位に表示されることが期待でき、多くのユーザーのアクセスを集めることが可能になります。
CMSには無料で利用できるものもあれば、有料のものも存在します。場合によっては無料版で済ませることも可能ですが、社内での継続的、効率的なコンテンツ運用を考えるのであれば、有料版を導入すべきです。以下、無料版・有料版のCMSの特徴について解説します。
オープンソースのCMSであれば、ライセンス費用がかからないため、無料で導入が可能です。とはいえ、無料なのはライセンス費用のみです。たとえば、デザインやテンプレートを新規に作ったり、サーバーにCMSをインストールするなど、Webサイトに変更を加えるたびに外部の専門家やエンジニアの協力を仰ぐ必要があり、コストがかかります。自社にエンジニアを抱えている企業なら社内で対応することも可能でしょうが、そうした人材がいないのであれば、有料のCMSを導入する方がWebサイトの運用は効率的になります。
有料のCMSは、ITベンダーがサービスとして販売しています。ベンダーが導入支援や導入後のサポートを行うため、自社でエンジニアを抱えていない場合や、ITに詳しい人材がいない場合は、有料のサービスを利用すべきでしょう。
CMSの中には、アクセス解析や顧客データベース、メール配信などの機能を備えているものもあります。さらに、自社サイトに合わせて独自のCMSをカスタマイズする「フルスクラッチ型CMS」も導入可能です。もちろん、高機能なCMSほど費用は高価になります。
本記事の序盤で、CMSのメリットについて「コンテンツを簡単に作成し、容易に更新できること」と紹介しました。しかし、これはあくまでもCMSの基本的なメリットです。最近では、CSMにマーケティングツールとしての価値も生まれています。
数あるCMSの中には、どのユーザーがどのように自社サイトに流入し、どのリンクをクリックしたのかといった、アクセス解析機能・ユーザーのスコアリング機能が搭載されています。つまり、CMSが営業ツールとしても利用が可能になる、というわけです。このように、CMSで作成したコンテンツを利用してマーケティングを行うことを、「コンテンツマーケティング」と呼びます。
CMSのサービスによっては、サイト訪問者の性別や年齢、職業、購買行動に基づいて顧客をセグメンテーション(細分化)し、ユーザーの属性や興味に応じたメッセージやコンテンツ、画像を表示することも可能です。
高機能なCMSを導入すれば、高度なコンテンツマーケティングが可能になり、ひとりひとりの顧客に合わせたアプローチができるようになります。CMSを選ぶ際には、マーケティングのことまで考慮したうえで判断するのが望ましいといえるでしょう。
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