2021/08/24

顧客データ活用・管理

ロイヤルティプログラムによる顧客データの収集に当たって留意すべきポイントとは

サードパーティCookieへの規制が強化される中で、新たな顧客データのソースとしてファーストパーティデータに注目する企業が増えています。DIGIDAYは、ファーストパーティデータを収集する新たな方法として、リワードプログラムやロイヤルティプログラムへの注目が高まっているとする記事を掲載しています。
(DIGIDAY 「ロイヤルティプログラム で、顧客データを集める企業が増加:「顧客との互恵関係」が大切」(2021年4月13日))

記事では、ロイヤルティプログラムは「もはや、リピート購入を促すためのものではなく、顧客の行動や関心をより深く理解するための施策と見なされている。」としています。そして、「企業が収集する顧客データの種類は、ビジネスモデルによって異なる」としたうえで、いくつかの企業のケースを紹介しています。ある衣料品ブランドのリワードプログラムにおいては、開始から1年経過したところで、入会した顧客はそうでない顧客に比べて注文回数は2倍多く、注文金額の平均も55%高いという結果が得られたそうです。さらに、「プログラムを通じて収集した情報を活用することで、eメール、SMSをはじめとするマーケティングチャネルで、顧客とのコミュニケーションをより的確にパーソナライズ、セグメント化できるようになった」としています。
一方で、注意しなければならない点として、「顧客のプライバシー」を挙げています。特に、ヘルス・ウェルネス分野ではその傾向が顕著だそうです。  最後に、前述の衣料品ブランド関係者の声として、「プログラムは顧客との互恵関係に基づいていると捉えている」というコメントを紹介しています。

自社の顧客基盤を拡大し、顧客データを収集・活用することで、「顧客第一の視点に立ち、企業が欲するものを提供するだけではなく、顧客一人ひとりが自身の好む体験を提供することを手助けする」ことを通じて顧客との長期的な関係を構築し、ますます激化するDX時代の競争環境に勝ち残ろうとする企業が増えています。
「個人の顧客基盤の拡大を目指す理由、その実現に向けての課題とは」
デジタルでのロイヤルティプログラムで集められた顧客データをリアルタイムで活用する技術基盤を整備することで、従来のパーソナライゼーションを超える概念として注目される「ハイパー・パーソナライゼーション」を展開することも可能になるでしょう。
「DX対応で注目される「ハイパー・パーソナライゼーション」とは」

一方で、ファーストパーティデータとして収集する顧客データを適切に利用するためには、利用目的を分かりやすく明示したうえで、事前に顧客からの同意を得る必要があります。令和2年の改正個人情報保護法においても、利用目的の特定に際して「本人にとって一般的かつ合理的に想定できる程度に具体的に特定すること」とされています。
また、顧客データを保有することは、本人からの請求に応じた開示・訂正・削除等の義務を負うことにもつながることを留意する必要があります。

このように、ロイヤルティプログラムを通じた顧客データの収集・利用は、大きなメリットをもたらす可能性を秘めている一方で、改正個人情報保護法やGDPRなど厳格化するプライバシー法制度への配慮も求められます。これらを解決するには、以下のような機能を有する顧客データ基盤が必要となるでしょう。

  • ユーザーがスムーズに登録・ログインを完了できる登録・ログイン画面とフロー
  • プライバシー法制度に準拠した個人データの収集・利用に関する「同意」の収集・管理
  • プライバシー法制度が認める、ユーザーが自身の個人データについて行使できる権利(閲覧権・修正を求める権利・削除を求める権利・利用停止を求める権利など)の保障
  • ユーザーからの同意のもとに得られた個人データを確実に紐づけ、マーケティング・オートメーションやCRMなどのダウンストリームシステムに確実に連携させるデータ連携機能

SAP Customer Data Cloudは、ファーストパーティデータの活用を支える顧客ID管理基盤として、これらの要素に応える様々な機能を提供します。
まず、ユーザーの新規登録を容易なものとしたうえで、リレーションシップの進展につれて、ユーザーからの同意のもとに徐々にデータを集め、「シングル・カスタマー・ビュー」としてセキュアに管理するための様々な機能を提供します。
具体的には、「Light Registration」機能により、ユーザーにメールアドレスのみの入力を要請する画面を表示することができます。カスタマー・ジャーニーの最初の段階で「ライトな」リレーションシップを構築するうえで有用な機能となります。
「Light Registraion]でメールアドレスを登録したユーザーが本登録したいと考えた場合は、登録済みのメールアドレスを用いてパスワードを設定するかたちで本登録に進むことも可能です。この際に(あるいはその後に)、「Progressive Profiling」機能により、ユーザーに対して徐々にデータの提供を要請する画面を表示することも可能です。もちろん、利用規約やプライバシーポリシーなど必要な「同意」を取得するための機能や、登録ユーザーが自身の「同意」や個人データの内容を確認し、いつでも「同意」を撤回したり、個人データを修正したり、削除を要請するといった機能も備わっています。
さらに、Identity Syncと呼ばれるデータ連携機能を通じて、収集したデータをスピーディーにデジタルマーケティングシステムに連携させることが可能です。
ユーザーの操作により個人データの利用の停止や消去、「同意」が撤回された場合には、SAP Customer Data Cloudは接続されているシステムに対してそのことを反映させます。セルフサービスの機能により、いつでもユーザーからの開示要求や利用停止要求に対応できることは、これらの要求に対してコールセンターなどで受け付けマニュアル・オペレーションで対応することに比べて、大きなコストメリットにつながるだけでなく、顧客体験の点においても大きなメリットとなることが期待できます。

当社は、SAPのパートナー企業としてSAP Customer Data Cloudの導入支援に豊富な経験を有しています。GDPRなどのプライバシー法規制対応に関心をお持ちの方は、グローバルで高い評価を受けるSAP Customer Data Cloudの国内における豊富な導入支援実績を有し、高い評価を受ける当社にどうぞご相談ください。

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