2021/11/29

顧客ID統合

企業が注目するID統合とは?必要な理由や事例を紹介

急速にIT化が進む昨今では、企業が扱う複数サービスの顧客情報をID統合により一元化する動きが高まっています。ID統合は企業と顧客の両方にメリットがあるもので、セキュリティに関するリスクを減らすものです。この記事では、ID統合とは何か、必要な理由や進め方について具体的な事例を踏まえわかりやすく解説していきます。

ID統合とは何か?近年のID統合の動きや必要な理由

はじめにID統合の概要について解説します。そもそもID統合とは何か、種類や企業にID統合が必要な理由を理解しておきましょう。

ID統合の背景

スマホやソーシャルメディアが生活へ浸透し、今や消費者は「いつでもオンライン」状態にあります。ECやソーシャルメディアを使っている時だけでなく、例えば、店舗でもスマホアプリに届いたクーポンを利用したりするので、まさに「いつでもオンライン」といえます。
オムニチャネルを跨ぐ顧客に相対するために、企業は、チャネル(Web/EC、スマホアプリ等)ごとに、またブランド(商品・サービス)ごとに、サイトを立ち上げ、顧客接点を増やしてきました。企業が抱えるブランド数は、多い時は数百以上にも上り、加えてブランドごとに複数のチャネルを作るので、顧客接点の数は相当なものになります。そして、これらのIDはバラバラに管理されていることが多いのが現状です。結果、顧客は都度IDを登録しなければならず、再ログイン時にID、PWを忘れてしまうなど混乱が発生します。また、企業側では、ECサイトで買物をした“田中さん”と、コールセンターに問合せしてきた“田中さん”が同じ人であるか分からず、適切なレコメンドができなかったり、経緯を十分に把握していない対応になったりします。オムニチャネル化の推進が、逆に顧客満足度の低下を招いているという事態が起こっているのです。
この問題を解決するために、複数サイトやアプリのIDを統合し、顧客データを一元管理することで、オムニチャネルを跨り、複数のサービスを比較検討する顧客の“今の興味・関心”を把握できるように仕様とする動きが高まっているのです。

企業がID統合を進めるべき理由の一つには、人口減少に伴う顧客離れへの対策という側面もあります。顧客にID統合をさせることで企業のサービスにより多く接点をもってもらえば、顧客の購買行動も増えることになるでしょう。そのため、従来では会員サービスを実施してこなかった業界でも、新たな会員サービスを開始して顧客にID登録を求めるケースが増えてきました。

顧客のID統合を進めると、企業は購買履歴や問い合わせ情報などさまざまなデータを把握しやすくなります。これにより、営業のタイミングや利益を得るための戦略を練ることが可能です。また、ポイントサービスを付帯させることで、クロスセルやアップセルなどの手法がより効果的になります。

顧客ID統合の種類

顧客ID統合には、企業が顧客IDを統合する方法と、顧客にしてもらう方法の2つの種類があります。どちらの方法にするのかは、顧客IDの管理方法を調べることから始めると良いでしょう。企業が一括で顧客IDを名寄せする場合、複数のサービスに登録している顧客データの登録情報や管理方法が違うと統合するのに多大な労力やコストがかかる点が課題です。会員登録時の内容が異なっているケースや、会員を特定するための情報を調査する手間があるため時間がかかります。

一方で、顧客にID統合をしてもらうのが、企業が展開しているサービスごとのポイント制度や特典サービスを活用する方法です。さまざまなサービスが混在していると、企業側は顧客情報の統一が難しくなります。ただし、ポイント制度ごとにサービス内容が異なるため、1枚のカードにすることはできません。顧客に複数のポイントカードの情報を統合する手続きをしてもらうことで、企業は顧客のサービスごとの利用履歴を簡単に入手できます。

一元管理ができない企業のリスクや事例

ID統合を実施せずに一元管理ができないままでいるのは、IDやパスワード管理の工数やセキュリティに関する課題をそのままにしていることに他なりません。ID統合しない時の企業のリスクや事例を知っておきましょう。

ID統合をしない企業のリスク

IDが統合されておらず、サービス毎にIDを管理している場合、その管理基盤(認証基盤)も複数の製品を導入、運用しているケースがしばしば見受けられます。この場合、同じ機能に対して多重にコストがかかるだけでなく、今後のコンプライアンス対応、セキュリティ対応において、想定外のコストが発生したり、対応に時間がかかってしまったり、一部の基盤で対応漏れが発生するなどのリスクが高まります。ID統合を行い、認証基盤を共通化することによって、これらのリスクを低減させることが可能です。

一元管理ができない企業の事例

ID統合をしないため一元管理ができない企業の事例を紹介します。中小企業のみならず、大手企業でも起こり得る実例を参考に、リスク回避を目指してID統合を進めることをおすすめします。

ID統合をしていない自動車メーカーの事例

大手自動車メーカーでは、販売のほかにレンタカーやカーシェアなど多様な事業を展開してきました。事業ごとに顧客データを管理しているため、同じ顧客データが重複しているケースや複数サービスの実態管理もできていません。顧客IDもシステムごとに異なるため、アプローチすべき優良顧客が把握できない状況でした。システムの導入効果が表れないばかりか、管理コストは増える一方です。

ID統合をしていないスーパーの事例

従来からポイントカードを発行してきたスーパーでは、購入額に応じたポイントを付与してきました。その後、クレジット会社からの勧めでクレジットカード型のポイントカードを導入することになりました。さらに、キャッシュレスの流れから自社プリペイドが一般的になったため、プリペイドカードも導入することになったという経緯があります。どのカードも導入時期や担当者が異なることで、従来から発行してきたポイントカードとの連携はしていないままです。その結果、スーパーを利用する顧客の中には、すすめられるままにポイントカードだけでなくクレジットカードやプリペイドカードを持っている人もいます。スーパー側にしても、顧客データをまとめられない状況が続いているのはもったいないことです。

このような事例のほかにも、メルマガや企業のポイントカード、通販など複数の分野で会員カードがバラバラに管理されているケースも多々あります。このような企業の場合には顧客の一元管理ができないため、店舗での購入と通販での購入といったクロスセル促進ができません。

近年のID統合の動きと事例

昨今ではID統合の動きが高まっており、国内の多くの企業に注目されています。どのような動向があるのかを把握するために最新の情報をチェックしておきましょう。この段落では、近年のID統合の動きやID統合の事例を紹介します。

近年のID統合の動き:家電業界

国内の家電メーカー業界では、近年従来のハード販売からソフト販売への動きが加速しています。たとえば、テレビ自体の販売から放映コンテンツを含むサブスクリプションサービスへと転換する動きがその一つです。また、大手家電メーカーの中には、製品のアフターサービスに会員サービスを提供しているケースもあります。少子高齢化が急速に進む日本では、家電の需要が伸び悩んでいる現状です。近年の家電メーカー各社は、小売だけでなく業態を変えていくことで製品の販売数を増やすことを目指しています。

近年のID統合の動き:不動産業界

住宅販売は、顧客にとって大きな買い物であることも関係しています。しかし、近年では従来の定期的な顧客とのコミュニケーションのほかに、展開しているサービスなどもすべて企業に一本化して提供していく動きが加速しています。そのために必要なのがID統合で、販売時の契約情報以外に会員制度を設けて、多様な顧客の情報管理を実施する動きが注目されています。

近年のID統合の動き:電鉄グループ

ある電鉄グループでは、商業施設やス―パー、ホテルなどに留まらず、レジャーや新電力、通信などのサービスをグループ内で利用してもらうために共通ポイントを発行しています。これにより、それぞれの事業からの利益が入るようになりました。さらには、電鉄グループの沿線のブランディングにつながることも期待されています。なかにはステージによるランク付けをおこない、サービスや商品の購入を利用する額に応じてお得になる制度を設けている企業もあります。

ID統合の具体的な事例

顧客ID統合を実施した企業の例として、大手鉄道会社の具体的な事例を紹介します。提供している事業ごとにバラバラだった顧客IDを統合し、サービス自体も統一化を進めているケースです。顧客IDを統合する際には、企業側がおこなうには手間やコストがかかります。そこで、この事例ではグループ共通のポイントを開始した時に、顧客が自分でポイントをまとめてもらう方法を採用しました。大手鉄道会社のサイトでは、交通ICカードと会員カード、会員カード同士、交通ICカード同士、という3種類のおまとめ方法を紹介しています。

具体的には、たとえば顧客が商業施設の会員カードと交通ICカードを所有している場合に、おまとめサイトで顧客自身にID統合の手続きをしてもらう方法です。ただし、顧客自身に手続きをしてもらうためには、誰にでも分かるような案内方法や顧客が得られるメリットが顧客に伝わらなければなりません。このような課題をクリアするには、ID統合を進めている過程でも見直しや改善をおこなうことが必要です。

ID統合を進めて企業の業績向上につなげよう

ID統合によって、企業のサービスごとに管理していた顧客データを一元化することが可能になり、情報管理の手間やコストも低減されます。このデータを活用して顧客サービスの価値を高めることにより、企業の業績アップにもつなげていくことが顧ID統合のゴールとも言えます。業界を問わず進められているID統合の動きは、将来を見据えて必要と分析した結果でしょう。

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