コホート分析とは?顧客行動を把握して維持対策に活かす

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コホート分析とは、ユーザーを一定条件でグループに分け、それぞれの時間経過に伴う行動の変化を分析する手法のことです。サイト・アプリのユーザーや、製品・サービスの顧客の維持、継続率向上を改善する手法として活用されています。

この記事では、コホート分析が重視されるようになった背景やメリット、具体的な活用方法などを解説します。製品やサービス、事業の継続的な成長につながるコホート分析について知りたい、実施を検討しているなら、ぜひ参考にしてください。

コホート分析の意味

「コホート」とは、共通因子を持った集合体のことで、「コホート分析」は、ユーザーを属性や条件でグループ分けをして、動向を分析する手法のことです。一定の条件や属性によって分けたそれぞれのグループが、時間の経過に伴い、行動にどのような変化が起きるのかを分析します。

例えばECサイトで、キャンペーンごとに設定したコホートの、月ごとのコンバージョン率や購入金額の変化を分析すると、それぞれのキャンペーンの長期的な効果を確認することができます。また、同じ週にアプリをダウンロードしたコホートの、週ごとの再利用率やリテンリョンレート(定着率)を追うことで、ユーザー施策の改善につなげることができます。

Webサービスやアプリ事業を成長させるには、アクセス数やコンバージョン率、リテンションレートなど、継続的に計測すべき指標が多数あります。コホート分析は、目的によって様々な指標を分析できますが、特にユーザーのリテンションレートを把握できるので、顧客維持対策の改善に多く活用されています。

コホート分析の重要性

続いて、コホート分析が重視されるようになった理由を解説しましょう。

リテンションレートを把握できる

自社サイトやアプリサービスを成長させるには、Webサイトであれば再訪率、ECサイトなら再購入率、アプリは再利用率を高めなければなりません。コホート分析では、再訪、再購入、再利用するユーザーの、リテンリョンレートを把握できます。これにより、ユーザーが望む適切な対策を実施でき、集客や売上増につなげることができるのです。

また、サイトに何度も訪問する、再び製品を購入するということは、サイトや製品、サービスに対する満足度が高いことを裏付けています。コホート分析で得られたデータを活用して、ユーザーが望む顧客体験(CX)を提供すると、継続利用の可能性が高まり、LTV向上に貢献することになります。

リテンションレートを正確に把握できるコホート分析は、特に以下の2種類のサイトで有効です。

継続利用でコンバージョンが伸びるECサイト

例えば、ECサイトで再購入するユーザーは、そのサイトや扱っている製品に、ある程度満足している顧客です。そのため、再びコンバージョンする可能性が高く、継続利用やアップセル・クロスセルを促す対策で、顧客単価向上も期待できます。

また、顧客ロイヤルティが高いユーザーは、SNSや口コミで自社サービスの良い評判を拡散してくれる可能性があり、そこから新規顧客獲得を見込むこともできます。

ユニークユーザー数が重要なメディア

もうひとつは、FacebookやSNS、メディアサイトなど、ユニークユーザー数を増加させることが、サービスの維持・成長につながるプラットフォームです。ユーザーが離脱するタイミングや利用状況を把握することが、サービス改善のポイントとなり、課題に対処することで継続率を高めることになります。

サブスクリプションサービスの浸透

現代の消費スタイルは、モノ商品からコト消費、イミ消費、トキ消費に多様化し、「所有」から必要な分だけを「利用」「シェア」することが一般的になりました。そのような背景から、SaaS型ビジネスモデルであるサブスクリプションサービスが普及し、今ではさまざまな業界で「サブスク」サービスが提供されています。

サブスクリプションビジネスは、初期費用を抑えていることから、ユーザーに継続利用してもらわなければ、利益を得ることができません。そのため、リレーションレートが重要な指標となることから、コホート分析が重視されるようになりました。今後もサブスク市場は一層拡大すると予測されており、コホート分析の重要性も増すことでしょう。

SNSの普及

また、SNSを活用したマーケティングを積極的に行う企業では、コホート分析を重視するところが増えています。SNSマーケティングでは、投稿へのリアクションや滞在時間、コンバージョン率などの詳細な分析が必要で、より精緻な対策が求められます。

SNSのコホート分析では、ユーザー属性やコンテンツでコホートするほか、いいね数やフォローのタイミング、リアクションなどでグループ化して分析できます。より詳細なデータ分析により、効果的なPDCAが可能となるでしょう。

コホート分析を行うメリット

コホート分析にはどのようなメリットがあるのでしょうか。確認してみましょう。

トレンドを知ることができる

コホート分析では、時間の経過によるユーザーの行動を知ることができるので、そのときどきのトレンドを知ることができます。逆に、顧客離れの傾向、変動なども把握でき、データを元にリテンションレートを高める対策に活かすことができます。

ニーズを把握できる

ユーザーが何をきっかけに再利用するか、どこで離脱するかなどを把握することで、ニーズをつかむことができます。データを活かして、ユーザーが望む顧客体験を継続的に提供することが、顧客ロイヤルティやLTV向上につながります。

需要予測に活かせる

コホート分析は、時系列の推移を把握する調査なので、月次や年次などで同じ調査を行いデータを蓄積すると、需要予測に活かすこともできます。将来的な見通しを立てることができれば、事業や会社経営の指標としても役立てられることでしょう。

コホート分析の活用法

ここからは、コホート分析の具体的な活用方法を説明します。

ユーザー減少時・ページビュー数減少時に対策を組める

ユーザーを獲得した日から、何日後に減少する傾向にあるかを知っておくと、そのタイミングで対策を打つことができ、ユーザー離れを抑止できます。新コンテンツの投入や投稿頻度を高めるなどで、リテンションレートを確保するようにしましょう。

また、ページビューが減少するタイミングも、同様に把握しておくことで、適切な対策を組むことができます。この場合は、内部リンクの多い記事を投稿して、他記事への導線を意図的に作り出すと、SEO対策にもなります。

セッション時間の減少・離脱原因の把握

同じくサイトに滞在する時間であるセッション時間が減少するタイミングを、コホート分析で把握しておけば、対策できることになります。コンテンツのボリュームや内部リンクを増やすことで、滞在時間を長くすることが可能です。

また、セッション時間が短ければ、コンテンツとターゲット、コンテンツとユーザーニーズに乖離があるかもしれません。離脱のタイミングなどのコホート分析で、改善点を探るようにしましょう。

新規顧客獲得数を把握できる

例えば、ユーザーが1週間で2%ずつ減少しているサイトがあれば、減った分を埋め合わせするために、新規で獲得しなくてはならないユーザー数を算出できます。減少や増加の「傾向」をつかむことで、計画的な対策を組めることになります。

キャンペーン効果を把握できる

キャンペーンやセールなどを利用したユーザーを分類してコホート分析することで、キャンペーンの効果や反応を知ることができます。また、ユーザーあたりの収益やトランザクションを分析すると、リソースやコストの最適化も実現できるでしょう。

顧客リストの見直し・整備ができる

コホート分析を行えば、各コホートの行動やニーズ、ロイヤルティなどが明確になるので、顧客リストのデータをアップデートできます。自社製品やサービスの見込み度に合わせた見直しもでき、正確なターゲットセグメントによる効果的な対策を構築できます。

将来の需要予測や事業計画に活かすことができる

コホート分析を行うと、それぞれのコホートのニーズや将来的な需要を把握することができます。需要がわかれば、商品開発やプロモーションなどのマーケティング戦略を構築できます。また、売上予測も可能となるので、事業や経営計画に活かすとよいでしょう。

コホート分析とグロースハック

製品やサービスを急成長させる手法に「グロースハック」があり、グロースハックとコホート分析は密接な関係にあります。

コホート分析はグロースハックを有効化する分析法

グロースハックとは、効果測定と改善を徹底・継続することで製品やサービスを急成長させる手法です。コホート分析は、グロースハックを成功させるための、有効なデータ分析手法のひとつとして知られています。グロースハックを実践するには、一般的に「AARRRモデル」というフレームワークを利用します。

具体的には、①ユーザーに関する様々なデータを集めて解析し ②製品やサービスの成長を妨げている要因を見つけ ③改善策を実施してさらなる成長を目指す という流れで行われます。①と②の段階では、ユーザーの行動を詳細に分析する必要があり、このときにコホート分析が重要な役割を果たします。
(関連記事:グロースハックとは?メリットからAARRRモデル・分析方法を解説

グロースハックにコホート分析を使うメリット

コホート分析は、ユーザーが継続利用するための製品やサービス改善に役立ちます。コホート分析をグロースハックに取り入れることで、マーケティング施策の課題をいち早く改善し、製品やサービスの急成長を促すことができます。

コホート分析ができるツール

最後に、コホート分析を行うことができるツールをご紹介しましょう。

Google Analytics

Googleが提供している「Google Analytics」に、コホート分析の機能が搭載されています。Google Analyticsでは、4つの分析項目の設定が可能です。

「コホートの種類」で何によってユーザーを分類するかを決め、「コホートの大きさ」で日・週・月単位でセグメントします。「指標」で何を分析するか(ユーザーあたりのセッション、収益、継続率など)を選択して、「期間」でレポートに使用する期間とコホートの数を選択することで、コホート分析が可能となります。

キャンペーン実施時も、キャンペーン経由のユーザーのリピート率なども計測できます。無料で利用できるので、気軽に始めることができるのもメリットです。

Excel

「Excel」でもピボットテーブルを使うことで、コホート分析ができます。ピボットテーブルを使い、ユーザーのデータを入力すると、リテンションレートなどを簡単に確認できます。Excel操作ができれば無料で利用できるので、初心者でも取り組みやすいツールといえるでしょう。

Mixpanel

世界中で26,000社を超える企業に選ばれており、世界が認めるツールとして、多くの業種やプロダクト・サービスで活用されています。

「Mixpanel」は、行動データの分析ツールで、コンバージョン、エンゲージメント、リテンションという、事業やサービスを成長させる3つの指標をユーザーの行動データを軸に深堀りします。CVRの高いユーザーと低いユーザーの行動にどのような違いがあるのかを比較して改善点を洗い出し、適切なアプローチを行うことで、パワーユーザー(最高な顧客)へと導いていきます。

ECサイトやアプリだけではなく、サブスクリプションサービス、SaaS、メディア、ゲームほか、業種・製品・サービス問わず豊富な導入実績があります。自社の目的やニーズに合ったサービスとサポートを、きっと得られることでしょう。

まとめ

コホート分析とは、顧客の時間経過に伴う行動分析の手法で、顧客維持や継続率の改善に役立ちます。サブスクリプションサービスやSNSなどの浸透により、顧客ロイヤルティを高め、製品やサービス利用の継続率向上が必要不可欠となったことから、注目を浴びるようになりました。

コホート分析を活用すると、ECサイトやアプリのコンテンツやサービス改善につながるほか、需要予測もできることから、事業や経営戦略の構築も可能となります。また、コホート分析は、グロースハックを成功させる手法のひとつであり、製品やサービスを急成長させたいなら、コホート分析ができるツールを利用すると効率的に進められます。

NTTコム オンラインの「Mixpanel」は 、コホート分析も可能なグロースハックツール・プロダクト分析ツールです。Google Analyticsが一般的なサイト等のアクセス解析に利用されるのに対し、Mixpanelはより詳細なユーザーの行動を分析することができます。

自社の製品やサービスの顧客維持や継続利用の改善を実現する、コホート分析ツールの導入を考えているなら、NTTコム オンラインの「Mixpanel」をご検討ください。