タッチポイントとは?増やすことの効果や設計方法・強化の仕方を解説

目次

スマートフォンの普及や購買行動の多様化に伴い、企業のマーケティング手法も変化が求められています。とりわけ認知度の拡大や顧客体験の向上を目指すには、タッチポイントの最適化が重要です。

しかし、タッチポイントを適切に設計し強化していくにはどうしたらよいのでしょうか。今回は、タッチポイントの種類や増やすメリット、設計や強化する方法を具体例とともに詳しく解説します。

1 タッチポイントとは?

そもそもタッチポイントとは何でしょうか。まずはタッチポイントの意味や種類を解説します。

1-1 タッチポイントとは「顧客接点」のこと

タッチポイントとは、企業や商品・サービスと顧客をつなぐ接点です。商材を認知してもらったり、顧客との関係性を深めたりするための機会や場所、ツールなどを指します。

例えば、店舗での接客のように物理的(直接的)な接触もあれば、チラシやカタログなどを介した間接的な接触もあります。また、公式ホームページや広告など企業側が直接発信する情報がある一方で、利用者の口コミのようにコントロールできないタッチポイントも存在します。

1-2 2つのタッチポイントと具体的な接点の例

購入前から購入後に至るまでのタッチポイントは多種多様です。そこで、オフラインとオンラインの2グループに分け、それぞれの内容を解説します。

1-2.1 オフラインのタッチポイント

インターネットを使用しないタッチポイントでは、紙媒体を活用したり営業担当者が直接関わったりします。

【オフラインのタッチポイント例】

  • 店舗での対応
  • 電話
  • 展示会
  • セミナー
  • ダイレクトメール
  • チラシ
  • カタログ

オフラインのタッチポイントは顧客と直接コミュニケーションをとれるため、企業側の印象を強く残しやすいのがメリットです。とりわけ対面型なら、会話の内容や態度などから相手の感情や温度感を察知しやすく、ニーズを把握しやすいでしょう。しかし、集客戦略によっては、広告費や人件費などのコストが大きくなる場合があります。

1-2.2 オンラインのタッチポイント

インターネットを使用したタッチポイントでは、消費者のパソコンやモバイル端末などを介して接触します。

【オンラインのタッチポイント例】

  • 公式ホームページ
  • SNS
  • Web広告
  • ECサイト
  • ウェビナー
  • レビューサイト
  • メールマガジン

オンラインのタッチポイントで得られる情報は収集・蓄積しやすく、顧客の行動を可視化・分析するのに役立ちます。直接顧客に会う必要がないため、天候や地域、時間帯に縛られないのもメリットです。タッチポイントの種類がますます多様化していく中で、随時自社の戦略に適したタッチポイントを見極めていく必要があります。

2 タッチポイントを増やす・質の向上により得られる効果

タッチポイントの設計や見直しが重要なのはなぜでしょうか。適切な使い方によって実現できる4つの効果を紹介します。

2-1 認知の拡大が期待できる

どんなに素晴らしい商材を提供していても、そもそも知られていなければ購入してもらえません。消費者に「こんな商品があるんだ」と認知してもらうのは、売上に欠かせない重要なステップです。

タッチポイントが増えれば、より多くの人に知ってもらえるチャンスも増えます。認知してもらう、もしくはニーズに気付いてもらえれば、すぐにコンバージョンにつながるユーザーもいるでしょう。

不特定多数の人に向けた宣伝が得意なタッチポイントもあれば、ターゲットを絞ったアプローチができるタイプもあります。目的に合わせた戦略が大切です。

2-2 ブランディング強化につながる

自社の商材を選んでもらうには、他社との差別化が欠かせません。そのために重要なのがブランディングです。

ブランディングでは「どのように認知してもらうか」を意識します。例えば、「高級チョコレートといえば〇〇」とか「ゆっくりコーヒーを飲みたいなら〇〇」といった具合に、自社に対して共通のイメージを持ってもらうのが目標です。

タッチポイントはそのイメージに触れてもらう機会になります。どんなタイミング・方法で、どのような体験を提供するかを管理することは、企業に対するイメージのコントロールにつながります。

2-3 CX向上によりリピート率が改善する

一般的に、新規顧客を獲得するためのコストは、リピーターを維持するコストの5倍かかるとされています(「1:5の法則」)。つまり、企業の長期的な利益向上には、リピーターの創出が欠かせません。

リピート率をアップさせるカギは、ビジネスモデルに適したタッチポイントを設定し、CXを向上させることです。「使いやすかった」「フォローが丁寧だった」といったポジティブな体験や感情の変化は、顧客の満足度に大きな影響を与えます。商材そのものに加え、各タッチポイントの質を向上させ、ファンの獲得を目指しましょう。

2-4 オムニチャネル・マーケティングに対応できる

さまざまなチャネルを連携させ、シームレスな顧客体験の提供を可能にするのが、オムニチャネル・マーケティングです。

例えばあるユーザーは、家ではパソコンを使用し、通勤途中にはスマートフォンのアプリで商品検索をするかもしれません。また、実店舗に訪れたものの欲しい商品の在庫がなく、オンラインショップを利用して購入するケースもあるでしょう。そのような際に販路の違いを意識させないフォローができれば、顧客満足度の向上につながるはずです。

タッチポイントの設定、顧客データの一元化を行えば、スムーズにオムニチャネルへ移行できます。

3 タッチポイントの設計方法

それでは、顧客満足度や売上向上につながるタッチポイントを設計するにはどうしたらよいのでしょうか。3つのステップに分けて設計方法を解説します。

3-1 1|ペルソナを設定する

タッチポイントを設計する際は、架空のユーザー像「ペルソナ」の設定が重要です。名前や性別、年齢などの基本プロフィールに加え、ライフスタイルや価値観に関するさまざまな項目を設定します。

【ペルソナの項目例】

  • 職業
  • 家族構成
  • 居住地
  • 休日の過ごし方
  • 利用しているSNS
  • 趣味
  • よく閲覧するサイト
  • 好きなブランド

自社のブランドイメージや商材に適したペルソナをリアルに設定しましょう。実際の顧客にヒアリングするのも良い方法です。ペルソナが利用しそうな物や行きそうな場所、考え方などをできるだけ具体的にリストアップします。

3-2 2|カスタマージャーニーマップを作る

カスタマージャーニーマップとは顧客の行動や企業との接点、思考や感情の変化などをまとめて視覚的に表現したものです。認知・情報収集・比較・購入の各フェーズで考えられるタッチポイントや施策を、ペルソナの感情や反応と併せて洗い出します。コンバージョンまでのプロセスを、ストーリーを重視して作成しましょう。

カスタマージャーニーマップの作成により、認知や購入のきっかけとなる接点や理由を理解しやすくなります。また、コンバージョンまでにかかる時間や販路の違いによる体験の差なども可視化され、適切なタッチポイントを見極めるのに役立ちます。商品やターゲット層、目的により顧客体験は変化するため、状況に応じて適切なタッチポイントを配置しましょう。

カスタマージャーニーマップに関してはこちらもご覧ください
ジャーニー マップを使用して、より便利な製品を構築する

3-3 3|施策の実行と効果測定を行う

カスタマージャーニーマップに基づくストーリーは、あくまで推測です。そのため、施策を実行した後は、実際にユーザーの反応を見ながら各タッチポイントの効果を確認していく必要があります。定期的にデータの収集・分析を行い、効果を測定します。不足要素の追加やアプローチする媒体の変更などでブラッシュアップし、タッチポイントの最適化を目指しましょう。

やみくもにタッチポイントを増やすと、ネガティブなイメージを与えてしまうリスクがあります。優先順位を見極めて、分析結果から不要と判断できるタッチポイントは、ジャーニーマップから外すことも重要なポイントです。

4 タッチポイントの強化方法

タッチポイントを設計した後も、最適化を続けていく必要があります。そこで、タッチポイントを強化する際に意識したい4つの点を紹介します。

4-1 複数のタッチポイントの発信内容に一貫性を持たせる

一般的に、消費者は複数のタッチポイントを通じて企業や商材への意識を変化させていきます。そのため、すべてのタッチポイントに一貫性を持たせ重要なメッセージを繰り返し伝えれば、ブランドイメージはより浸透しやすくなります。

一方で、各タッチポイントでのメッセージに一貫性がないと十分に伝わらず、ブランドへの印象がぼやけてしまうかもしれません。場合によっては、混乱を招いたり不信感を抱かせたりするリスクもあります。

4-2 デザイン思考によりユーザーニーズを捉える

デザイン思考とはユーザーの課題や悩みに寄り添い理解しようとする、カスタマージャーニーマップを作るうえでベースとなる思考法です。さまざまな立場や経験を持つ人との対話を通してインスピレーションを得ながら、解決策を探っていきます。

共感・定義・概念化・試作・検証のプロセスで行われ、ユーザー視点で再考や改善を重ねていく中で顧客理解が深まります。その結果、ニーズを捉えた施策が実行できるようになり、印象深い体験を提供するタッチポイントのデザインが可能になるでしょう。

4-3 最適なKPI設定を行う

適切なKPI設定は、最終的な目標に向けた進捗状況を客観的に計測するために重要です。CVR(コンバージョン率)を重視して設定しましょう。

例えば、ECサイトの運営において「決済数」を全体的な目標に設定したとします。その場合のKPIには、「サイトへの訪問者数」「お気に入りクリック数」「カートへ入れた数」などを設定できます。いつまでにどれくらいの成果を獲得したいのかがはっきりわかる、具体的な数値を定めましょう。

4-4 顧客データの収集・分析を継続的に行う

タッチポイントの強化にPDCAは欠かせません。その際にカギとなるのは、トラッキングによる継続的な顧客データの収集と適切な分析です。ユーザーの行動パターンが可視化されるため、各タッチポイントの強みや課題を把握できます。

また、CRMやプロダクト分析ツールを導入すれば、業務効率や分析の精度が向上します。その結果、より効果的にPDCAサイクルを回せるでしょう。

トラッキングに関してはこちらもご覧ください
トラッキングとは?活用のメリット・追跡方法・危険性や今後の潮流を解説

5 タッチポイントの最適化には「Mixpanel」

タッチポイントの設定や強化にはデータの統合や可視化、多角的な分析などが欠かせません。そこでおすすめなのが、さまざまな業種の企業から支持されているユーザー行動分析ツール「Mixpanel」です。

顧客情報や行動データが統合できていない場合でも、一括で複数のデータベースをまとめられます。また、データ収集や分析の専門家がいなくても、インサイト分析やファネル分析などを簡単に実行できます。その結果、ユーザーの離脱ポイントや理由を正確に把握したり、成長につながる施策を見極めたりするのが容易になるでしょう。

6 ビジネスモデルに適したタッチポイントと継続的な改善が重要

タッチポイントの強化は、認知を拡大させ、差別化を図り、顧客体験を向上させるために重要です。一連のタッチポイントを通じて印象深い体験が提供できれば、リピーターやファンの獲得にもつながります。ユーザーニーズやビジネスモデルに適したタッチポイントを設計し、継続的な分析や改善を重ねていきましょう。

お問い合わせや資料のダウンロードはこちらから