創業140年以上の歴史を持ち、岐阜県・愛知県を中心に地域密着型金融を推進している株式会社十六銀行様。
2020年7月から法人向け帳票などのペーパーレス化に取り組む同行では、インボイス制度に対応した帳票もペーパーレスで発行できるよう、ナビエクスプレスを導入しました。導入前の状況やシステム運用に至るまでの取り組みと、導入後の効果について、事務部
事務企画グループの吉田氏、山田氏に伺いました。
インボイス対応により、ペーパーレス化していた帳票の紙郵送を復活させる場合、約120万通以上の発行枚数と、相当な郵送費が発生する想定だった
機密性の高い情報を扱うため、秘匿性が担保された回線が必要だった
約9万先の顧客に対し、一切のミスなくIDや仮パスワードを郵送する必要があった
ナビエクスプレスの導入により、想定していた郵送費よりもはるかにコストを抑えて、インボイス対応とペーパーレス化を両立できた
VPNによる回線が構築でき、秘匿性の高い回線による配信が可能になった
郵送代行サービスの利用とNTTコム オンラインとの綿密な連携により、約9万先の顧客に一切の誤送なくIDと仮パスワードが郵送できた
― まず、貴行の概要と、吉田様と山田様が所属する事務企画グループの業務内容について教えてください。
吉田氏:当行は1877年10月に、第十六国立銀行として岐阜県岐阜市に創業した地方銀行です。現在は岐阜県・愛知県を中心に国内149カ店の本支店、11カ所の出張所などを構え、地域のお客さまのニーズを満たす金融サービスの提供などを通して、地域経済の発展に貢献しています。
私たちは事務企画グループという部署に所属しています。業務フローの構築や、システム導入により業務効率を向上させるといった、当行全体や各営業店の事務効率化を図るための業務を担っています。
― 電子帳票サービスの導入を検討するきっかけを教えてください。
吉田氏: 当行では紙資源の節約やコスト削減の観点から、2020年7月ごろからお手続きの電子化や通知状の郵送廃止といったペーパーレス化に取り組んでいます。
ところが、インボイス制度の施行により、法人などのお客さまに対して、手数料に掛かる消費税の税額区分やインボイス登録番号などを通知しなければならないことに。しかし、当時の当行には、上記のような通知を多くのお客さまに一斉配信するデジタルツールがありませんでした。
そのため、インボイスに対応した紙ベースの通知状を復活させ、郵送したほうが簡単に対応できるのでは、という声が上がっていました。しかし、その場合の発行枚数は年間でおよそ120万通、郵送費も相当の金額になることが想定され、コスト面での懸念が無視できませんでした。
なにより、当行全体でペーパーレス化を強く推進していることもあり、そんな状況下で紙に回帰するという選択自体が考えられませんでした。そうした思いもあり、ペーパーレスとインボイス対応を両立できる電子帳票サービスの導入を検討することとなりました。
― ナビエクスプレスを選定した決め手を教えてください。
山田氏: 2022年2月頃から、ナビエクスプレスを含む電子帳票サービスの比較検討を開始しました。選定のポイントとして主に重視していたのはコストとデータ保存期間です。ナビエクスプレスの場合、初期費用はもちろん、月々の利用料も安く抑えられること、データの保存期間が90日間と他社に比べて長く設定されていたのも魅力的でした。
吉田氏: 加えて、NTTコム オンラインの担当者さんが大変親身になって対応をしてくれたことで、信頼感が増したことも大きかったと思います。以上の決め手があって、最終的にはナビエクスプレスを選定するに至りました。
― 実際にナビエクスプレスで配信を開始するまでに、どのような準備をされましたか?
山田氏: 個人情報や口座番号といった厳重な管理が必要な情報を保持しているので、万が一にも情報が漏洩する事態はあってはなりません。そのため、ナビエクスプレスを運用するにあたり、情報の秘匿性を担保しながら大量のデータを通信できる回線を用意する必要がありました。
そのことをNTTコム オンラインに相談したところ、当行で運用している基幹システムとナビエクスプレスのネットワーク連携に閉域網(VPN)を用いれば、回線の秘匿性を担保しながら使用できると伺いました。そうしたご提案もあり、VPNを用いたネットワーク連携による回線構築をご対応いただきました。
もう一つ慎重に行ったのが、ナビエクスプレスにアクセスするためのIDおよび仮パスワードが記載された案内文書の郵送です。法人を中心とした約9万先のお客さまに確実に文書をお届けできるよう、NTTコム オンラインからご提案いただいた郵送代行サービスを利用しました。
郵送にあたっては、NTTコム オンラインとも綿密に連携しながら、準備段階から郵送する直前まで、何回も郵送先リストの突合を行いました。確認作業を慎重かつ綿密に、かなりの時間を掛けて行ったおかげもあり、何事もなく、お客さま全員に文書をお届けできました。
― 現在のナビエクスプレスの運用状況を教えてください。
山田氏:2023年11月には本格的にナビエクスプレスの運用が始まりました。現在、ナビエクスプレスによる帳票配信が必要なお客さまは、約5.7万件です。こちらのお客さまに対しては、帳票の電子配信ができております。
データの保存期間が過ぎてしまい、帳票のダウンロードができないお客さまからお問い合わせをいただくこともあります。その場合のみ個別に紙で郵送するといった対応を取っています。
データの配信日は、月初の5営業日となっています。データ配信日になると、基幹システムから自動的に出力したCSVデータがナビエクスプレスにアップされます。そして、手数料の種類ごとにデータが自動分割され、その後、お客さまにPDFとCSVが自動配信されるような形で運用をしています。
ナビエクスプレスは、事務企画グループのスタッフ2名ほどがメインの業務と並行してお客様および営業店からの照会対応にあたっています。どのスタッフも業務の負担にならずに対応できています。
― 帳票の電子配信に馴染みのないお客さまもいらっしゃったと思います。そうしたお客さまにはどのようにフォローされましたか?
吉田氏: IDと仮パスワードを郵送する際、お客さまだけでもログインできるよう、NTTコム オンラインからいただいた操作マニュアルもお送りしました。多くのお客様は、マニュアルで問題なく対応いただけたかと思います。
上記で解決できないお問い合わせには、当行のコールセンターと、ナビエクスプレスのサポートデスクでフォローをしました。IDと仮パスワードの大文字・小文字の入れ間違いなどが原因でログインできないという内容が多かったと記憶しています。そういったお問い合わせも、配信開始してから2か月が過ぎるころにはかなり減ったように思いますね。
― ナビエクスプレスを運用しての成果やメリットはありますか?
吉田氏: これから算出する予定ですが、年間約120万通の郵送費が想定されていたことを考えると、かなりのコスト削減が実現できていると思われます。
お客さまも当行内でも、今ではナビエクスプレスを使って帳票をやりとりする環境が自然になっており、運用上の課題点は特に無い様子です。私たちの部署としても、低コストかつ操作しやすいシステムを、インボイス対応とペーパーレス化を両立しながら運用できていることに、本当に満足しています。
当行には、個人のお客さまの住宅ローン関係書類や当座の照合表など、紙ベースでやり取りをしている帳票がまだ存在しています。こうした帳票も、ゆくゆくはナビエクスプレスを活用してお送りできるのではないかと考えているところです。
― 最後に、ナビエクスプレスを用いた帳票の電子配信は、他の金融機関さまにもおすすめできるでしょうか?
吉田氏: 地方銀行で帳票の電子配信に対応しているところは、まだまだ多くない印象です。しかし、数万先のお客さまに紙帳票を郵送している金融機関であれば、業務効率化はもちろん、コスト面でのメリットは感じられるのではないかと考えています。これから電子化を考えている金融機関には、ぜひおすすめしたいサービスですね。