1917年に創立された国立研究開発法人、理化学研究所。日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学や工学、化学、数理・情報科学、計算科学、生物学、医科学など、幅広い分野で研究を行っています。そんな同研究所は、毎月バックオフィスで発生する明細書発行業務の省力化を目指し、ナビエクスプレスを導入しました。ここでは、その導入理由や活用方法、導入による効果について、財務部会計課の箟氏にお話を伺いました。
理化学研究所 財務部会計課 箟氏
― はじめに、貴所の事業における財務部会計課の役割について教えてください。
箟氏:財務部会計課では、弊所と取引先の間で行った契約の支払業務を行っております。全国各地に拠点があり、その中でも大きなところが、私が勤務する和光事業所を含めた7箇所。全拠点で約3,000人の研究者が在籍してさまざまな研究を進めているため、毎月膨大な支払業務が発生しています。
― どのような処理を行っているのでしょうか?
箟氏:研究に使う資材や薬品を発注している取引先業者さまに対して、毎月お支払いに向けた明細書(買掛金支払明細書)を送り、お支払いする金額の内容をお知らせしています。明細書の内容に問題がないことを業者の経理担当者さまに確認いただいたうえでお支払いをするという流れです。以前は拠点ごとに事業所の会計担当者がその処理を行っていました。月末で締めて翌月末でお支払いするため、毎月20日ごろを過ぎると担当者はその処理に追われていました。
― 以前は財務部会計課の業務においてどのような課題があったのでしょうか?
箟氏:課題は大きく3つありました。1つ目は担当者の「業務負荷」です。全事業所で明細書をお送りしている約400社の取引先それぞれに対して毎月発行・送付しなければなりません。和光事業所では主にFAXやメールを使い、担当署員は毎月1日がかりでその作業に時間を費やしていました。そのため、他にやるべき業務が滞ってしまったり、FAX送信エラー等への対応などでコピー機を占有してしまい、他の人が使えなくなってしまったりといったさまざまな問題があったのです。
2つ目は「運用が統一されていない」という課題。明細書を送る方法としては、メール添付やFAX、郵送、手渡しなどいくつかありますが、特にルールは設けておらず、各拠点の担当者任せになっており、管理上の問題を感じていました。
3つ目は「出勤しないと処理ができない」ということ。弊所では昨今のコロナ禍において、在宅勤務をできる限り推進し、出勤率50%以下の実現を目標にしています。そのなかで明細書発行業務もオンラインで完結できる方法を模索していたのです。
― 課題解決のためにナビエクスプレスをお選びいただいた“決め手”を教えていただけますか?
箟氏:一番の決め手は「導入のしやすさ」でした。帳票配信サービスを利用して明細書データの自動送信を行うためには、まずデータベースに送信先の宛先を登録しなければいけませんよね。とある他社さんのサービスでは、事前に取引先のメールアドレスを入手して登録する必要があると、営業の方から説明を受けました。すでにメールで明細書を送っている取引先の場合は問題ないですが、FAXや郵送でやりとりをしている取引先もたくさんあり、一件一件メールアドレスを聞き出すのも容易ではありません。また、取引先の担当者が変更になった場合、その都度こちらで登録アドレスを変更しなければいけませんよね。
ナビエクスプレスの場合は、個別のメールアドレスに対して配信するのではなく、取引先ごとに設定したアカウントに対して配信します。そのため、取引先の担当者さまにアカウントのIDとパスワードをお伝えすれば、お客さま側で配信先のメールアドレスを登録し、帳票を受け取っていただくことができます。
また、「取引先の利用のしやすさ」もナビエクスプレスを選ぶポイントでした。取引先のなかにはIT環境の整っていない中小企業もあります。ナビエクスプレスは、パソコンなどの専用端末がなくても、URLにアクセスするだけスマートフォンでも帳票を確認できます。相手の企業規模や環境に左右されずに利用しやすいのは大きな魅力ですよね。
― 現在のナビエクスプレスの使い方について教えてください。
箟氏:毎月月末になると、弊所の会計システムから、明細書を発行する対象データを抽出したCSVファイルを生成します。その内容を各事業所で確認したうえでナビエクスプレスにアップロードすれば、明細書のPDFファイルが自動作成され作業完了。取引先のご担当者の登録アドレスに通知され、オンラインで明細書の内容を確認いただけます。
― ナビエクスプレスの導入効果はいかがでしたか?
箟氏:まず、 担当者の作業負荷は大幅に減りました。以前は毎月担当者が1日がかりで処理を行っていましたが、今は2時間程度で終えられます。また、7つの拠点でバラバラに行っていた処理を和光事業所に集約できるようになりました。つまり、毎月7人の担当者が行っていた作業を、1人の担当者が2時間程でできるようになったということです。これは非常に大きな効果だと感じています。FAXや郵送といった作業がなくなり、オンラインで完結できるようになったため、明細書発行の処理を行うために出社する必要もなくなり、テレワークの推進にもつながっています。
― データ配信ではなくFAXなど従来の方法を希望する取引先はないですか?
箟氏:導入して9ヶ月ですべての取引先さまがデータ配信に移行できました。FAXや郵送といった方法では送信ミスといったトラブルもごく稀に発生していましたが、そうしたリスクもなくなりましたし、取引先からの問い合わせの件数も減りました。導入するまでは「新しい方法に対応できない取引先や、戸惑う取引先もあるのでは?」と私たちも懸念していましたが、実際は思ったよりもスムーズに移行でき、安心しています。
―最後に、今後のナビエクスプレスの活用や事業における展望などを教えていただけますか?
箟氏:財務部会計課でナビエクスプレスを導入し、明細書発行業務の負荷軽減や運用統一、オンライン化による在宅勤務の推進など、多くのメリットを感じています。汎用性の高いソリューションですので、会計業務だけでなく、人事業務や契約業務にも相性が良いでしょう。今後はさらに活用の幅を広げることも検討しつつ、弊所全体としてDX化を進めていきたいです。
1917年に創設された物理学、化学、工学、生物学、医科学など基礎研究から応用研究まで行う、日本国内では唯一の自然科学系総合研究所。